虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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一章 黒髪令嬢の日常

11.オルテシア≠フォルテシア

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ーーなんて言葉は、私は口にしませんし思いもしません。
私は世界からの嫌われ者。

いつもいじめられ、
いつも虐げられ、
いつも弄ばれる。

そんな私が助けを求めても、
それに応じる者はいないということを、
とうの昔に理解しています。
熟知しています。
身に染みています。

それと同時に、自分が現状を打破できない弱く愚かな人間であることも、
理解しています。
理解は、しています。
分かっている、つもりです。
だけれど、何もせずに受け入れたくはないのです。

「オルテシア、君はどんな声で鳴くのか、とても楽しみだ」

歩を進めつつ、お兄様は笑みを消さず、不吉なことを言います。
相手が使用人とはいえ、その発言はNGだと思います。
それに、私の声は変わらないので、オルテシアもフォルテシアと同じ声で鳴くことになります、たぶん。

……と状況分析している場合ではありません。
私の不吉センサーはビンビンに反応しています。
危険レベル、不幸レベル共に最大で警告を発しています。

あの部屋に連れ込まれたらお終いなのです。
そこで試合終了です。
そこからは、お兄様のゲームが始まってしまうのです。

ならば、抗うなら今なのです。
今の私はフォルテシア=マーテルロではありません。
呪いの黒髪もなければ、
虐げられるべき理由もありません。

生まれたばかりの存在、
ただの使用人のオルテシアなのです。

「やめて、くださいっ!」

私はお兄様の手を捻り、繋がれていた手を解除しました。
私の細腕でも、力学の応用で多少のインチキはききます。

てこの原理、
モーメント。

「使用人風情が、優しくしてやったら付け上がりやがって!」

捻られた手を恨めしそうに見つめながら、お兄様は咆哮します。
蛇さんの次は、犬さんのようです。
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