虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

25.もう1人の黒い人

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それから数日、お父様の言葉が私の頭の中を巡りました。
お父様が私の立場なら、現状を打破できる、そんなことがありうるのか、と思いました。

そもそも、お父様が黒髪を一番気にしているはずなのに。
唾棄すべき存在とか、
恥ずべき印とか、
悪魔の象徴とか、
色んな悪名を呼んでいたのは、お父様なのに。
どうして、そんな発言ができるのか、甚だ疑問です。
お父様の口から、お兄様たちに言ってくれれば、私の状況はきっと改善されると思うのですがーーそれを他責、というのでしょうか。
自分の力を信じられない、
他力本願、という考え方なのでしょうか。

ですが、同時に私の中で一つの解釈が生まれました。
叛逆しても、大丈夫なのかもしれない、と。
ここで言う『叛逆』がお父様が思うところの、
自分の立場を自身の力と智慧で勝ち取る、
という手法に合致しているかは定かではありません。

ただ、自身の力で現状を打開するという意味では、同じです。
私は、精神論系の本を棚に戻し、代わりにあの被り物を取り出しました。

オルテシアへの変身帽子。
フォルテシア=マーテルロの象徴を消し去り、ただの少女のオルテシアになれる道具。

やはり、これを被るだけで、勇気が湧いてくるような気がします。
私は普通、
ただの女の子なんだ、
と錯覚さしてくれます。

と、その時でした。

ガチャリ、と自室のドアが開きます。
不幸の足音、そんな気がしました。
お父様か、
妹様か、
それとも、いつものお兄様か。

「あれ、マーテルロの娘は1人じゃなかったのか?」

現れたのは黒い人影。
髪の色が、というレベルではなく、全身が夜闇のように黒い。
黒い帽子に、
黒い外套、
黒い手袋。
少し露わになっている肌も、私よりも色が暗めの焦げ茶色です。

もしかして、魔女の一族なのかもしれません。
私と同じ、虐げられている一族の人なのかもしれません。
だけれど、私とこの人は初対面です。
黒い人はだいたい友達、なんていうことはないのです。
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