虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

46.状況変化

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「おい、何勝手に逃げようとしてるんだよ!?」

黒かった先輩さんが私の首元を掴みます。
かなり乱暴に、そのまま地面に押し倒されます。

「ちょっと、お手洗いに」

「今のお前に自由に便所に行く権利はねぇ、同時にここで漏らす権利もな」

それは困りました。
我慢のし過ぎで病気になってしまいます。
……冗談ですけど。

「それよか、まだお前の弁明を聞いてねぇ。そこのひよっ子にはどう説明したかは知らねぇが」

「ひよっ子じゃないですよ!」

「うるせぇ、黙っとけ。話の邪魔だ」

しっしっと、手を払い黒かった先輩さんは黒い後輩さんを追いやります。

「人質が1人減った。まあ、元からターゲットはこいつ1人でもう1人はおまけみたいなもんだから、問題ないといえばないが、良くはない」

刃物を自然な動作で取り出して、

「普通、人は人を殺さない。特に理由なく、特に利益なく、な。同族殺しは人間含め、動物全体の禁則事項のはず、それをその場のノリでやるとは到底思えない」

私の方に向けて、

「逆なら分かる。そこの嬢ちゃんがお前を殺す、というならな。虐げられてきた恨み、憎しみ、そう言ったもの積み重ね。丁度チャンスがあったから殺した。だが、この状況は分からない」

いつでも殺せる、という感じで、

「あの損傷、勢い余って殺した、という感じではない。明確な殺意がある。殺すつもりで、殺している。他の傷とは違う。お前の言うところの『妨害工作用』の準備とはな」

刃物をチラつかせて、

「さぁ、話せ。あいつを殺した理由を、何のために、殺した?」

尋問をしてきます。
さあ、どうしましょう?
どう、答えましょう?

真実を言うべきなのか、
嘘を続けるべきなのか、

語るべきか、
騙るべきか。

「私が言うと思いますか?」

とりあえず、場を濁します。
その場凌ぎ。

「どうだろうな、だが俺たちはプロだぜ。殺さずに口を破らせた経験なんて売るほどある」

私もプロです。受ける側の。
でも、そろそろタイムアップのようです。

この地面を伝わる振動。
地鳴り。
ーー思ったより、
予測より、
かなり早かったみたいです。

「先輩、外、外見てください!なんかいっぱい来てます」

いつの間にか退場していた後輩さんが、叫びます。

「なんかって何だよ?」

「いや、それが、その、犬とか、猿とか、鳥とかーーもういっぱい来てます!」

「ここはどこの島だってんだよ?やれやれーーそれで、数は?武装は?」

黒かった先輩さんは私を解放し、状況観察に向かいます。
優先度の変更でしょう。
答えるか分からない尋問に時間を割くよりも、
迫り来る危機への対策が大事。
それには、激しく同意です。

でも、対策したところで意味がない場合もあります。
圧倒的な戦力の前には、人の身の浅知恵なんて風の前の塵、です。
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