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三章 領主と領民
53.お屋敷
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私の短いような、長いような家出は終わりました。
誘拐という特殊な経験と、
妹様を手にかけるという特別な経験。
けれど、事の詳細を知るのは私と、意識不明のレオリーゼさんしかいません。
名前も知らぬ黒い先輩さんは自死し、
妹様は私に殺されました。
真相は闇の中、というところです。
久しぶりに感じる、マーテルロの屋敷を眺めならがら、しみじみと考えてしまいました。
あの日常に戻るのと思うと、少し……というかとても気分が滅入ります。
でも、これまでとは状況が違います。
妹様がもういないということ、
私は人を殺した存在になったということ。
その違いは、大きいと思います。
言葉にしなければ、消えてしまいそうな事実ですけれど。
誘拐されてしまう前の私とは、全然違うのです。
「お前は……オルテシアッ!」
お父様と共に屋敷内に戻ると、お兄様が待ち受けていました。
そういえば、この姿の私とお兄様との間には、色々とありましたね。
今となっては些細な問題に感じてしまいますが。
「いや違う、こいつはフォルテシア=マーテルロ。お前の妹だよ」
鬼気迫るお兄様を、面倒そうにお父様が嗜めます。
「え、でも、髪がーー」
「これはただの被り物だ。お前の目はどこについている、この愚かものが」
乱暴にお父様は私をフォルテシアの姿に、黒髪に戻します。
そして、3秒も待たずにオルテシアの姿に、金髪に戻しました。
「なら、そいつのことはどうでもいい。オルコットは?本当の妹は?」
「オルコットはもう駄目だ。一応、別れの言葉はかけるのは許そう」
お兄様に向け、妹様の部品が詰まった袋を渡しました。
「え、オルコット?……お父様、これはーー」
「そういうことだ。辛いだろうが、名家の宿命。受け入れろ」
お兄様は袋を抱えて泣きました。
気品もなく、
恥もなく、
感情のままに、泣き叫びました。
「別れの言葉と言っただろう、愚か者が」
お父様は、そう言ってお兄様を蹴りつけます。
へぶぅ、と悲鳴のようなものをあげて、倒れ伏します。
「アデルよ。お前はマーテルロの次期当主なのだぞ。妹1人消えた程度の悲しみで、何を泣き叫ぶ?恥を知れ、誇りを覚えろ」
「……申し訳、ありません」
お兄様は顔を伏せたまま謝ります。
お父様は、そこにもう一度蹴りつけました。
「お前は謝罪の意味を理解しているのか?言葉だけの謝罪には何の価値もない。行動が伴わなければ、ただの言葉だ。加えて言えば、相手の顔を見ずに放つ謝罪など、相手を不快させるだけだ。これも覚えておけ」
そう吐き捨てるように教え、お父様は屋敷へと戻ります。
その場には、私とお兄様だけが残されました。
何か言葉をかけるべきでしょうか……とも思いましたが、私は何も言わず、自室に戻ることにしました。
誘拐という特殊な経験と、
妹様を手にかけるという特別な経験。
けれど、事の詳細を知るのは私と、意識不明のレオリーゼさんしかいません。
名前も知らぬ黒い先輩さんは自死し、
妹様は私に殺されました。
真相は闇の中、というところです。
久しぶりに感じる、マーテルロの屋敷を眺めならがら、しみじみと考えてしまいました。
あの日常に戻るのと思うと、少し……というかとても気分が滅入ります。
でも、これまでとは状況が違います。
妹様がもういないということ、
私は人を殺した存在になったということ。
その違いは、大きいと思います。
言葉にしなければ、消えてしまいそうな事実ですけれど。
誘拐されてしまう前の私とは、全然違うのです。
「お前は……オルテシアッ!」
お父様と共に屋敷内に戻ると、お兄様が待ち受けていました。
そういえば、この姿の私とお兄様との間には、色々とありましたね。
今となっては些細な問題に感じてしまいますが。
「いや違う、こいつはフォルテシア=マーテルロ。お前の妹だよ」
鬼気迫るお兄様を、面倒そうにお父様が嗜めます。
「え、でも、髪がーー」
「これはただの被り物だ。お前の目はどこについている、この愚かものが」
乱暴にお父様は私をフォルテシアの姿に、黒髪に戻します。
そして、3秒も待たずにオルテシアの姿に、金髪に戻しました。
「なら、そいつのことはどうでもいい。オルコットは?本当の妹は?」
「オルコットはもう駄目だ。一応、別れの言葉はかけるのは許そう」
お兄様に向け、妹様の部品が詰まった袋を渡しました。
「え、オルコット?……お父様、これはーー」
「そういうことだ。辛いだろうが、名家の宿命。受け入れろ」
お兄様は袋を抱えて泣きました。
気品もなく、
恥もなく、
感情のままに、泣き叫びました。
「別れの言葉と言っただろう、愚か者が」
お父様は、そう言ってお兄様を蹴りつけます。
へぶぅ、と悲鳴のようなものをあげて、倒れ伏します。
「アデルよ。お前はマーテルロの次期当主なのだぞ。妹1人消えた程度の悲しみで、何を泣き叫ぶ?恥を知れ、誇りを覚えろ」
「……申し訳、ありません」
お兄様は顔を伏せたまま謝ります。
お父様は、そこにもう一度蹴りつけました。
「お前は謝罪の意味を理解しているのか?言葉だけの謝罪には何の価値もない。行動が伴わなければ、ただの言葉だ。加えて言えば、相手の顔を見ずに放つ謝罪など、相手を不快させるだけだ。これも覚えておけ」
そう吐き捨てるように教え、お父様は屋敷へと戻ります。
その場には、私とお兄様だけが残されました。
何か言葉をかけるべきでしょうか……とも思いましたが、私は何も言わず、自室に戻ることにしました。
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