虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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三章 領主と領民

58.変化

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技巧を凝らした料理の味は、なんとういうか不思議な感じでした。
多分、舌が慣れていないのでしょう。

本来は物凄く美味しく、
その感動で服が弾け飛んだり、
味のイメージ映像が具現化したりするのでしょうが、
私程度ではそのようなことはありませんでした。

黙々と、料理を口に運びます。
単純な栄養として、体に取り込みます。
味なんて、あってもなくても同じ。
この体の血肉にさえなればいいのです。
だから私にとっては、
贅を凝らした盛り付けも、
高級な食材も、
希少な珍味も、
別段必要なく感じました。

まあ、このように目の前に出されれば普通にいただきますけれど。
ただ、無駄あるいは余分と感じるだけです。
必要以上に、コストをかけるという行為は。
その余分を、かつての私の食事に回してくれればどれだけ良かったかと。

過去を変えることはできません。
当然、過去の自分に眼前の料理を分け与えるということも。

「どうした、この手の料理の味には体が慣れぬか?」

「はい、驚きの連続です」

「そうかそうか。ゆっくり食べるといい。時間はたっぷりとある」

お父様は笑顔で言います。
その笑顔は、かつて私に教育を施している時のソレとは違い、不気味に感じました。
まるで、書物出てくる優しい父親のような顔。
そんなはず、ないのに。
泡のようにすぐに消えて無くなって、いつも厳しく恐ろしいお父様になるはずなのに。

ただ、妹様が消えた。
ただ、その立場に成り代わった。
それだけで、これ程までに扱いが変わるものなのでしょうか?

私は疑問を抱えつつ、料理を体内へと取り込んでいきました。
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