虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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三章 領主と領民

63.黒髪令嬢は国を滅ぼすことを思い出しましたとさ

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「……暇、です」

煌びやかな部屋で、私は呟きます。
あの程度のことで、お兄様は『しんどい』とか『もう無理』とか仰っているのでしょうか。
この程度のことで、妹様は『ストレス』とか『死んじゃいたい』とか、仰っていたのでしょうか。
人に向き不向きはあるとはいえ、理解に苦しみます。

彼、あるいは彼女が私の境遇に陥っていたら、どうだったのでしょう?
もしかしたら、
もしかして、ですが、
うまく耐え忍んだのでしょうか?

自身の運命を受け入れて、何もせずそのままに命絶えるその時まで、与えられた人生を全うしたのでしょうか?
それとも、
私のように、あるいは私より上手く、
自身の運命に反逆して輝かしい未来を掴んだのでしょうか?

……。
…………。

どうしようもない、無駄な思考ですね。
非生産的で、無意味な。

「それだけ、暇を感じているということでしょうか」

1人現状を呟き、ふかふかなベットにごろんとする。
私は何がしたいのでしょうか?
何が、したかったのでしょうか?
もっと色々とやりたいことがあった気がします。
もっとさまざまなやるべきことがあった気がします。

「ーーあ、この国を滅ぼすんだった」

私はむくりと起き上がり、かつての野心と野望を思い出しました。
急な生活の変化、
お父様からの扱い、
それに併せての周りの扱い。
ぬくぬくと気持ちいのいいぬるま湯のような気分で、気が抜けていました。
(そういえば、温かいお風呂にも入れるようになりました、それも毎日です)

国を滅ぼすとなれば、こうして暇を持て余している場合ではありません。
入念に計画を立て、
万全の準備をしなくてはいけません。

何事も作るのは難しく、壊すのはそれより容易い。
そう言う人はたくさんいますが、それは間違っています。
ケースバイケース、というものです。
壊そうと思っても、壊せないものはたくさんあります。
利権を手にした現体制とか、正にそれなのです。
容易に倒せるのは、その体制の頂点に立つものだけです。

私は、大きなチャンスを手に入れました。
オルコット=マーテルロという立場を。
ここを起点に、勢力を作りましょう。
この国の綻びはたくさんあります。
時間をかければ、大変ですができないことはありません。

私は過剰に豪華な装飾が施された椅子に座り、思案します。
考えことは得意です。
集中するのも得意です。
国を壊すのは初めてですが、精一杯頑張りたいと思います。
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