虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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三章 領主と領民

67.光と暗

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腐臭、
ボロ布のような衣服、
生気を失った瞳、
朽ちかけた壁に背中を預け、動こうとしない人たち。

楽しげな街並みの裏側には、期待通りの世界が広がっていました。
私の匂いセンサーは伊達ではありません。

「オルコット様、こんなところにいてはお体が穢れます」

「そんなことはありません。身分は違えど、彼らと私は同じ人間ではありませんか」

それに、穢れというならば私の方が一枚も二枚も上手のはずです。
呪いの黒髪、それが穢れでなくてなんでしょう。
今は被り物で隠してはいますが、それを剥いでしまえば彼らとて逃げ出すかもしれません。
呪われる、
穢れる、と。

ペントレイアさんの静止を気にもせず、私は暗い道をてくてくと歩いています。
異臭や醜いものが視界に入りますが、あまり気になりません。
ああ、そうなんですね、と思う程度。

この世界は誰かの犠牲なしには成立しません。
私たちが生きるために動物さんや植物さんの命を犠牲にしています。
マーテルロ家が富めるということは、他の誰かが貧するということ。
一部の街の繁栄のために搾取された区画、それがここということなんでしょう。

世界は、残酷です。
どうしようもなく醜いです。

先程、私を褒めてくれた人々も、この区画の人々の存在は理解していることでしょう。
だけれど、何もしません。
そうなっているから、仕方ない。
自分の身を割いてまで、助ける義理もない。
豊かになろうと、這い上がろうとしない彼らにも責任がある。
だからーー私は悪くない。

そんな風に考えてるのかもしれません。

「あ、そうだ」

私はふと決心しました。
国を崩すためのプラン、
崩した後の統治方法。

どんな風に崩し、
どんま風に創るか。

革命にしましょう。
光と闇、
明と暗、
富めるものと貧するもの、
この関係を逆にしましょう。

丁度、誘拐された時に、私と妹様の立場が入れ替わったように。
妹様はもういない。
どんな気持ちだったか、きちんと聞いていません。
だから、その感情を彼らに聞いてみましょう。

今度は大丈夫。
時間はたっぷりとあるのですから。

「オルコット様?」

「ごめんなさい。もう十分です。満足しました」

決意を胸に、
笑顔は顔に。

私、オルコット=マーテルロはお屋敷へと、綺麗な世界へと足を進めました。
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