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三章 領主と領民
68.口止め
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決意を新たにした私はるんるん気分でお屋敷へと戻りました。
あの路地裏で虐げられた人たちと、
街中の楽しげな人たち、
彼らの立場が私の気まぐれで入れ替わった時、どんな顔をするのか楽しみでありません。
恨み言を投げかけられるのか、
感謝の言葉を告げられるのか、
はたまた何も言われないのか。
あぁ、どうなるんでしょうか?
どうなるんでしょうか?
「オルコット様、先程見た景色はお忘れください」
「どうして?あの方々たちもマーテルロ家を支える領民でしょう?」
ペントレイアさんの言葉に私は質問で返す。
皮肉たっぷりに。
「いえ、それは、そうですが。ただ、あの者たちはオルコット様が触れるべき人間ではありません。いや、人間として扱うべきでもありません」
「では、どのように扱えば良いのでしょうか?」
「ただの景色。マーテルロ家を構成する部品とでもお考えください。あの者たちに情けは無用です。オルコット様が気にかけるべきは街の中の人々。力なき自堕落な連中のことは考慮する必要などないのです」
「そうーーですか」
私は短く返します。
否定もせず、
特段肯定もせず。
ただ、短い相槌の言葉だけを。
「併せて、お父様にも先程の件はご内密に。どんなお叱りを受けるか分かりません」
「多分大丈夫でしょうが……分かりました。お父様には街中の景色のみを見たと報告しておいてください。私もそれに口裏を合わせましょう」
あの人が、その一件に目くじらを立てるとは思えないのですが。
けれど、ペントレイアさんが望むのなら、そうしましょう。
彼は私に尽くしてくれる大事な従僕、使用人。
たとえ、それがお父様の命令一つで消え去る淡い関係でも。
たとえ、胸に抱える野心のための偽りの忠義でも。
私を支え、尽くしていくれるという事実は変わらないのです。
だから、私も仮の主人としてそれに報いましょう。
できる限り、
できる限りはーー
あの路地裏で虐げられた人たちと、
街中の楽しげな人たち、
彼らの立場が私の気まぐれで入れ替わった時、どんな顔をするのか楽しみでありません。
恨み言を投げかけられるのか、
感謝の言葉を告げられるのか、
はたまた何も言われないのか。
あぁ、どうなるんでしょうか?
どうなるんでしょうか?
「オルコット様、先程見た景色はお忘れください」
「どうして?あの方々たちもマーテルロ家を支える領民でしょう?」
ペントレイアさんの言葉に私は質問で返す。
皮肉たっぷりに。
「いえ、それは、そうですが。ただ、あの者たちはオルコット様が触れるべき人間ではありません。いや、人間として扱うべきでもありません」
「では、どのように扱えば良いのでしょうか?」
「ただの景色。マーテルロ家を構成する部品とでもお考えください。あの者たちに情けは無用です。オルコット様が気にかけるべきは街の中の人々。力なき自堕落な連中のことは考慮する必要などないのです」
「そうーーですか」
私は短く返します。
否定もせず、
特段肯定もせず。
ただ、短い相槌の言葉だけを。
「併せて、お父様にも先程の件はご内密に。どんなお叱りを受けるか分かりません」
「多分大丈夫でしょうが……分かりました。お父様には街中の景色のみを見たと報告しておいてください。私もそれに口裏を合わせましょう」
あの人が、その一件に目くじらを立てるとは思えないのですが。
けれど、ペントレイアさんが望むのなら、そうしましょう。
彼は私に尽くしてくれる大事な従僕、使用人。
たとえ、それがお父様の命令一つで消え去る淡い関係でも。
たとえ、胸に抱える野心のための偽りの忠義でも。
私を支え、尽くしていくれるという事実は変わらないのです。
だから、私も仮の主人としてそれに報いましょう。
できる限り、
できる限りはーー
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