76 / 121
三章 領主と領民
74.おはなし
しおりを挟む
疑問はさておき、そもそもの目的である交渉を始めていきたいと思います。
妹様のことを含め、どこまで話していようといまいと関係ありません。
過去は変えられませんし、私がこうして自由のままなのですから、状況は変わりません。
「いえ、レオリーゼさんと少しだけ『おはなし』をしようかなと」
「話だと?お前たちに話すことなど何もないっ!」
がしゃり、
がしゃん。
元気に鎖が音を出します。
いやはや、元気そうでなによりです。
それと、彼女はお前『たち』と言いました。
私とこれまでの拷問官の方を同一している。
ふむふむ、
なるほどなるほど。
「そんなにつんけんしないでくださいよ。誘拐犯と被害者の仲じゃないですか」
「黙れっ!妹殺し、呪いの黒髪持ちにかける言葉なんて、私は持ち合わせていない」
十分話してくれていますけどね。
けれど、ちゃんと私のことは認識してしまっているようですね。
拷問で、都合良く記憶がなくなっていたらーーとも思いましたが、やはりそれはご都合主義でしたね。
当たり前のように覚えているみたいです。
それに、黒髪のことも。
私自身、こうして被り物をしている時間の方が長くなったので、自身の本来の髪の色の認識が薄くなってきているのですが。
薄くならないのは、虐げられてきた記憶だけ。
まあ、
記憶に刻み込まれているだけで、
忘れないというだけなんですけどね。
今がいいなら、それでいいのです。
今の私が平和で楽しく過ごせているのなら、それで。
「困りましたね。せっかくレオリーゼさんを助けてあげようと思ったのに。そんなことを言われたら、とても悲しいです」
「お前が私を助ける?何を馬鹿な」
疑いの言葉。
だけれど、これまたきちんと会話が成立しています。
妹殺しの、
呪いの黒髪持ちと。
「馬鹿なことではありません。レオリーゼさん、あなたは私の恩人なのですから」
「恩人?」
聞き返す彼女に、私はにっこり笑いかけます。
「そうです。恩人。あなたと、あの先輩さんが私たちを誘拐してくれから、今の私があるんです」
それは確かな事実。
だけれど、あくまできっかけ。
妹様のことを含め、どこまで話していようといまいと関係ありません。
過去は変えられませんし、私がこうして自由のままなのですから、状況は変わりません。
「いえ、レオリーゼさんと少しだけ『おはなし』をしようかなと」
「話だと?お前たちに話すことなど何もないっ!」
がしゃり、
がしゃん。
元気に鎖が音を出します。
いやはや、元気そうでなによりです。
それと、彼女はお前『たち』と言いました。
私とこれまでの拷問官の方を同一している。
ふむふむ、
なるほどなるほど。
「そんなにつんけんしないでくださいよ。誘拐犯と被害者の仲じゃないですか」
「黙れっ!妹殺し、呪いの黒髪持ちにかける言葉なんて、私は持ち合わせていない」
十分話してくれていますけどね。
けれど、ちゃんと私のことは認識してしまっているようですね。
拷問で、都合良く記憶がなくなっていたらーーとも思いましたが、やはりそれはご都合主義でしたね。
当たり前のように覚えているみたいです。
それに、黒髪のことも。
私自身、こうして被り物をしている時間の方が長くなったので、自身の本来の髪の色の認識が薄くなってきているのですが。
薄くならないのは、虐げられてきた記憶だけ。
まあ、
記憶に刻み込まれているだけで、
忘れないというだけなんですけどね。
今がいいなら、それでいいのです。
今の私が平和で楽しく過ごせているのなら、それで。
「困りましたね。せっかくレオリーゼさんを助けてあげようと思ったのに。そんなことを言われたら、とても悲しいです」
「お前が私を助ける?何を馬鹿な」
疑いの言葉。
だけれど、これまたきちんと会話が成立しています。
妹殺しの、
呪いの黒髪持ちと。
「馬鹿なことではありません。レオリーゼさん、あなたは私の恩人なのですから」
「恩人?」
聞き返す彼女に、私はにっこり笑いかけます。
「そうです。恩人。あなたと、あの先輩さんが私たちを誘拐してくれから、今の私があるんです」
それは確かな事実。
だけれど、あくまできっかけ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる