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終章
115.決着の理由
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「邪魔だ、どいてろっ!」
お兄様は乱暴に私を投げ捨てると、チャンドラさんに相対しました。
再度、私を貫いた剣を握りしめ、切っ先を彼へ向けます。
対するチャンドラさんはフライパンに包丁、まともな武器とは言えませんが、盾と片手剣という攻防一体の装備は、若干の有利に見えます。
「おい、チャンドラ、これはどういうつもりだ?反逆でもするつもりか?」
「反逆?あぁ、そうかもしれませんね。ですが、領主様も倒れ、獣達も解き放たれた。この国は既に成立していない。国がなければ、治める側の人間の価値も消え失せる」
「ふっ、料理人風情がっ!」
お兄様は会話を中断し、チャンドラさんへと剣を繰り出します。
危なげにチャンドラさんはフライパンで防御。
たどたどしく、いなします。
これはーー不味そう、ですね。
「どうした?張り切って出てきた割には随分な動きの騎士様だな?」
「私の本職は料理人ですからね。ーーっ、そもそも、こうして武器というか、商売道具を人様に向けるのも、くっーー、初めてですから」
「ならば、大人しくそこで姫様が陵辱されるのを見物していればいいものをっ!」
横薙ぎ、
突き、
上段の振り下ろし。
大した攻撃ではないはずですが、お兄様もマーテルロの一族として
ーー否、マーテルロの次期後継として育てられた身。
落ちこぼれと、出来損ないと揶揄されようとその実力は一般人のそれよりは、幾分かは高いのです。
消費された時間の差。
耐えてきた時間の差。
それは、想いの力、勝つべき理由といった幻想では埋められない。
絶対的な差異。
「ほら、ほらっ、お前が倒れれば、せっかくの救出劇も、ただの悲劇に変わるぞ?」
「ぐっ、ぅぬぅ、ふぬぅ」
一撃一撃が、チャンドラさんの体を削っていきます。
このまま続ければ、彼の負けは明らかです。
たぶん、一度としてまともに勝利することが出来なかったお兄様にとって、初めての勝利を掴むことになるのでしょう。
妹ととしては、それを応援すべきなのでしょうが、状況が状況です。
それに、私はただの妹ではありません。
悪い子、
呪われた子、
なのです。
男同士の戦いを、ただ黙って見ているだけ、というのはあり得ません。
傍観者の私は、あの時、既に死んでいるのですから。
「そろそろ終わりにしようか、もう飽きてきたんでな」
お兄様は侮蔑に満ちた笑みを浮かべ、チャンドラさんに剣を向けます。
言葉など紡がなければ、そこで終わっていたことでしょう。
無言で貫ければ、その手に勝利は舞い降りたでしょう。
少なくともーー
「終わるのはーーお兄様、です」
私の存在を、忘れていなければ。
お兄様は乱暴に私を投げ捨てると、チャンドラさんに相対しました。
再度、私を貫いた剣を握りしめ、切っ先を彼へ向けます。
対するチャンドラさんはフライパンに包丁、まともな武器とは言えませんが、盾と片手剣という攻防一体の装備は、若干の有利に見えます。
「おい、チャンドラ、これはどういうつもりだ?反逆でもするつもりか?」
「反逆?あぁ、そうかもしれませんね。ですが、領主様も倒れ、獣達も解き放たれた。この国は既に成立していない。国がなければ、治める側の人間の価値も消え失せる」
「ふっ、料理人風情がっ!」
お兄様は会話を中断し、チャンドラさんへと剣を繰り出します。
危なげにチャンドラさんはフライパンで防御。
たどたどしく、いなします。
これはーー不味そう、ですね。
「どうした?張り切って出てきた割には随分な動きの騎士様だな?」
「私の本職は料理人ですからね。ーーっ、そもそも、こうして武器というか、商売道具を人様に向けるのも、くっーー、初めてですから」
「ならば、大人しくそこで姫様が陵辱されるのを見物していればいいものをっ!」
横薙ぎ、
突き、
上段の振り下ろし。
大した攻撃ではないはずですが、お兄様もマーテルロの一族として
ーー否、マーテルロの次期後継として育てられた身。
落ちこぼれと、出来損ないと揶揄されようとその実力は一般人のそれよりは、幾分かは高いのです。
消費された時間の差。
耐えてきた時間の差。
それは、想いの力、勝つべき理由といった幻想では埋められない。
絶対的な差異。
「ほら、ほらっ、お前が倒れれば、せっかくの救出劇も、ただの悲劇に変わるぞ?」
「ぐっ、ぅぬぅ、ふぬぅ」
一撃一撃が、チャンドラさんの体を削っていきます。
このまま続ければ、彼の負けは明らかです。
たぶん、一度としてまともに勝利することが出来なかったお兄様にとって、初めての勝利を掴むことになるのでしょう。
妹ととしては、それを応援すべきなのでしょうが、状況が状況です。
それに、私はただの妹ではありません。
悪い子、
呪われた子、
なのです。
男同士の戦いを、ただ黙って見ているだけ、というのはあり得ません。
傍観者の私は、あの時、既に死んでいるのですから。
「そろそろ終わりにしようか、もう飽きてきたんでな」
お兄様は侮蔑に満ちた笑みを浮かべ、チャンドラさんに剣を向けます。
言葉など紡がなければ、そこで終わっていたことでしょう。
無言で貫ければ、その手に勝利は舞い降りたでしょう。
少なくともーー
「終わるのはーーお兄様、です」
私の存在を、忘れていなければ。
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