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第五章
81:別に、俺、尻を使ってどうこうしたいわけじゃなくて
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つまり、完全に寝ぼけている。
だから、ルルはされるがまま、アスランの隣に横たわった。
久しぶりの確かな触れ合い。
さっき、急に指を絡められたときみたいに心臓がドクドクと音を立てている。
普段よりかなり早い月狂いの夜の兆しがあるせいで、すぐ下半身に充血が極まっていく。
それに、ウォルトとミレイの痴態まで見てしまった。
規則ただしいアスランに眠りにルルはすっかり安心して、彼の胸元に顔をうずめた。
思いっきり息を吸い込んで、アスランの肌からまだかすかに香る甘いオレンジの香りを貪る。
そして、愚痴を言った。
「主、聞いてください。さっき、ウォルト様とミレイの部屋に行ったんです。俺、見ちゃって。何をって、ウォルト様とミレイが寝ている姿です。最初、ウォルト様がミレイを折檻していると思ったんです。だ、だ、だって、ぶっとい性器をミレイの尻の穴に入れてたんですから。でも、そうじゃなかった。ミレイは何だか気持ちよさそうで、幸せそうで……だから、……いいなあって」
アスランの呼吸が一瞬止まって、ルルは我に変える。
「主?主?起きてないですよね?」
返事は無く、呼吸もまた規則正しいものになったので、「もう少しだけ、こうさせてください」とアスランの胸に額をこすりつけ、また話し始めた。
「別に、俺、尻を使ってどうこうしたいわけじゃなくて、ただ、月狂いの夜とかそうじゃない日とか関係なく、身体をあの二人は重ね合ってるんだろうなって思って。なんか、そのう、いいなあって。だって、前もあんなミレイの声を聞いたんです、俺。そのときは分からなくて。一番羨ましいのは、ミレイが綺麗だからじゃなくて、ウォルト様が、ミレイは俺自身を気に入ってくれたからって、こっちも心を許したって、あいつの純真さを褒めてたことです。俺にはできない。出会った時、助け出された時、旅を開始した直後だって、この人は本当にいい人なんだろうか?この人についていったら俺は、剣士として成長できるだろうかって、そういう計算ばかり。でも、旅を続けるうちに、月狂いの夜を何度も超えるうちに、主のこと、その、どんどん……」
ルルは口ごもる。
でも、心の中のもやもやをなんとか言葉にしようとした。
的確な言葉は、たぶんこれだ。
「その……す、好きになっていってしまって」
眠ってはいるが、当人を目の前にして素直な思いを打ち明けると、恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「この気持ち、どうしていいのかわからないんです。進軍すれば、俺はゴート城に置いていかれ、主は古代の魔女に呪い殺されてしまうかもしれない。だって、古代魔法の第一人者なら、進軍で一番危険なことをやらされるはずです。もう、古代の魔女なんてどうだっていい。王都の兵士が数回苦しんだからって何だっていうんだ。主を攫って、どこか遠くに逃げたい」
突然、ルルの後頭部にアスランに手が置かれて、ルルは心臓が飛び上がりそうになった。
でも、アスランの胸は規則正しく上下しているし、ルルの髪をただ弄っているので、目が覚めたわけではなさそうだ。
「行かないと」
彼の腕の中にいては、延々と本音を垂れ流してしまいそうだった。
ルルは、アスランの胸の中で大きく息を吸い込み、最後の甘いオレンジの香りと、ぬくもりを味わった。
だから、ルルはされるがまま、アスランの隣に横たわった。
久しぶりの確かな触れ合い。
さっき、急に指を絡められたときみたいに心臓がドクドクと音を立てている。
普段よりかなり早い月狂いの夜の兆しがあるせいで、すぐ下半身に充血が極まっていく。
それに、ウォルトとミレイの痴態まで見てしまった。
規則ただしいアスランに眠りにルルはすっかり安心して、彼の胸元に顔をうずめた。
思いっきり息を吸い込んで、アスランの肌からまだかすかに香る甘いオレンジの香りを貪る。
そして、愚痴を言った。
「主、聞いてください。さっき、ウォルト様とミレイの部屋に行ったんです。俺、見ちゃって。何をって、ウォルト様とミレイが寝ている姿です。最初、ウォルト様がミレイを折檻していると思ったんです。だ、だ、だって、ぶっとい性器をミレイの尻の穴に入れてたんですから。でも、そうじゃなかった。ミレイは何だか気持ちよさそうで、幸せそうで……だから、……いいなあって」
アスランの呼吸が一瞬止まって、ルルは我に変える。
「主?主?起きてないですよね?」
返事は無く、呼吸もまた規則正しいものになったので、「もう少しだけ、こうさせてください」とアスランの胸に額をこすりつけ、また話し始めた。
「別に、俺、尻を使ってどうこうしたいわけじゃなくて、ただ、月狂いの夜とかそうじゃない日とか関係なく、身体をあの二人は重ね合ってるんだろうなって思って。なんか、そのう、いいなあって。だって、前もあんなミレイの声を聞いたんです、俺。そのときは分からなくて。一番羨ましいのは、ミレイが綺麗だからじゃなくて、ウォルト様が、ミレイは俺自身を気に入ってくれたからって、こっちも心を許したって、あいつの純真さを褒めてたことです。俺にはできない。出会った時、助け出された時、旅を開始した直後だって、この人は本当にいい人なんだろうか?この人についていったら俺は、剣士として成長できるだろうかって、そういう計算ばかり。でも、旅を続けるうちに、月狂いの夜を何度も超えるうちに、主のこと、その、どんどん……」
ルルは口ごもる。
でも、心の中のもやもやをなんとか言葉にしようとした。
的確な言葉は、たぶんこれだ。
「その……す、好きになっていってしまって」
眠ってはいるが、当人を目の前にして素直な思いを打ち明けると、恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「この気持ち、どうしていいのかわからないんです。進軍すれば、俺はゴート城に置いていかれ、主は古代の魔女に呪い殺されてしまうかもしれない。だって、古代魔法の第一人者なら、進軍で一番危険なことをやらされるはずです。もう、古代の魔女なんてどうだっていい。王都の兵士が数回苦しんだからって何だっていうんだ。主を攫って、どこか遠くに逃げたい」
突然、ルルの後頭部にアスランに手が置かれて、ルルは心臓が飛び上がりそうになった。
でも、アスランの胸は規則正しく上下しているし、ルルの髪をただ弄っているので、目が覚めたわけではなさそうだ。
「行かないと」
彼の腕の中にいては、延々と本音を垂れ流してしまいそうだった。
ルルは、アスランの胸の中で大きく息を吸い込み、最後の甘いオレンジの香りと、ぬくもりを味わった。
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