218 / 382
第10章 ダンジョン攻略
5【ダンジョン再攻略1】
しおりを挟む
<<グリル視点>>
「よし、準備は出来たか?
今日はマサル様が検分として、一緒にダンジョンに入られる。
お前ら、気合い入れていけよ!」
「「「おー!」」」
ダンジョン2度目の挑戦だ。
前回みたいな不様な真似は出来ない。
もちろん、あの魔物達相手に油断することはあり得ない。
今日は総力戦で臨む。
前回、3階層まで行ったが、今回はそこから続けられるらしい。
俺達は庁舎の地下室に移動する。
前回、戻って来た場所だ。
あの時の悔しさが思い出される。
「皆さん、遅れずについてきて下さいねー。」
ランス様の声に皆頷く。
ゴクッっと、息を呑む音が響く。
ランス様に続いて光のゲートをくぐる。
目の前は、あの洞窟だった。
今回の挑戦には、冒険者120人を投入した。
30人1組で4チーム。
3チームが、入れ替わりで戦闘を行う。
怪我で戦えなくなった者が出たら、予備の4チーム目の者と入れ替える。
60人戦えなくなった時点で、リタイヤする予定だ。
ウチのギルドで当面、主戦場となるこのダンジョンを全員に経験させたかったんだ。
30人1組とするのは、ダンジョンが狭くてそれ以上は、動けなくなるからだった。
3階層目は、やはりイノシシが出てくる。
出来るだけ瞬殺しないと、この前の二の舞になるからだ。
それを踏まえてバランスの良いチーム構成にした。
奥に向かって進んで行くと、はぐれのイノシシが時々出てくる。
弓使いに先制をさせて、その隙に剣士が斬りかかる。
今のところ、各チーム3匹までは、対応出来るようになった。
マサル様から借りた『亜空間バッグ』という魔道具に獲物を次々と放り込んでいく。
なんとか3階層を突破出来た。
今のところ負傷者は数名だ。
1人重傷者がいたが、マサル様が持っておられたポーションで完全に回復してしまった。
他の連中も欲しそうにしているが、あんな回復力の高いポーションなんて、俺達に買えるわけ無かろう。
4階層目は、巨大蜂の魔物だった。
体長30センチメートル近い蜂が大挙して襲ってくる。
前衛の30人が、蜂の群れに囲まれた。
剣士が善戦しているが、相手が悪い。
弓使いが刺されてしまった。
剣士も疲れが出て来たみたいだ。
交代させたいが、被害が増える光景しか見えない。
歯噛みしていると、後ろから光の輪が戦っている冒険者達のところに飛んで行く。
その光に包まれた途端、彼等は息を吹き返した。
10数分の戦いの後、なんとか蜂を全滅させられた。
「あの光を浴びた途端に傷が全て癒えて、身体中に力が漲ってきたんだ。
光に包まれた後は、蜂の攻撃も弱く感じられて、一気に形勢が逆転したよ。」
興奮した彼等を労いながらマサル様を見ると、マサル様はニコッと笑みを浮かべて、サムズアップしてきた。
俺は深く頭を下げた。
それに気付いた皆も一斉にマサル様に頭を下げたのだった。
<<冒険者サリ視点>>
わたしの名はサリ。
エルフの血を受け継ぐ弓使いだ。
10年前まで、わたしはごく一般的な冒険者だった。
全世界にマリス様の祝福の光が振り撒かれた、そうマサル様とリザベート様がご成婚されたあの日、祝福の光を浴びたわたしの中のエルフの血が目覚めたのだ。
その日を境にわたしの弓矢に精霊が宿り、矢に炎を纏うようになったのだ。
決して消えない、燃えない、でも魔物だけを焼き尽くす紅蓮の炎は、D級冒険者だったわたしをA級に押し上げてくれた。
わたしの転機ともなった、マリス様の祝福を授けて下さったマサル様とリザベート様のお役に立ちたいと願い、今回の新規ギルドへの移動申請を出したのだ。
3階層でのイノシシの魔物は、手強かった。
だが、わたしの炎の矢を使えば、どうということは無い。
大き過ぎるため、さすがに矢だけで仕留めることは出来ない。
いや時間を掛ければ問題無いが、時間を掛けてしまうと、仲間を呼ばれる恐れが高い。
わたしの矢は、イノシシの目を貫き脳を焼く。
イノシシの動きを防いでいる間に間髪入れず剣士が数人掛りで斬り付け仕留めた。
この連携でイノシシを撃退し無事3階層を攻略したのだ。
皆の意気も高く、勇んで4階層に降りたのだが、そこには弓使いにとって最悪の蜂の魔物だ。
宙を飛び、羽根が放つ風は矢の方向を変えてしまう。
その羽音は不快で、思考力を低下させ、その尾の針が出す毒は身体を麻痺させてしまうのだ。
その蜂の魔物は体長30センチメートルで、宙を自在に飛ぶ蜂は矢で狙うには小さ過ぎ、刀で切るには動きが速過ぎる。
あっという間に我等は蜂に囲まれてしまう。
弓を振り回して蜂を落とそうとしたが牽制するのが精一杯だった。
剣士達も同様で刀を振り回すも、仕留めるには至らない。
時間が過ぎて行く中で、徐々に我等にも疲労が見え始め、蜂に刺され始めた。
やがて毒により重症化する者も現れ、もはやと思われた時、我等を淡い光が包んだ。
光は疲れを癒し、毒を中和していく。
反対に蜂達は苦しそうだ。
思わぬ形勢逆転に我等は勢い付き、一気に蜂を殲滅していった。
わたしは、この光をあの日の祝福の光に重ねた。
そしてマリス様に感謝する。
祈りを終え振り返ると、マサル様の優しい笑顔が見えたのだった。
「よし、準備は出来たか?
今日はマサル様が検分として、一緒にダンジョンに入られる。
お前ら、気合い入れていけよ!」
「「「おー!」」」
ダンジョン2度目の挑戦だ。
前回みたいな不様な真似は出来ない。
もちろん、あの魔物達相手に油断することはあり得ない。
今日は総力戦で臨む。
前回、3階層まで行ったが、今回はそこから続けられるらしい。
俺達は庁舎の地下室に移動する。
前回、戻って来た場所だ。
あの時の悔しさが思い出される。
「皆さん、遅れずについてきて下さいねー。」
ランス様の声に皆頷く。
ゴクッっと、息を呑む音が響く。
ランス様に続いて光のゲートをくぐる。
目の前は、あの洞窟だった。
今回の挑戦には、冒険者120人を投入した。
30人1組で4チーム。
3チームが、入れ替わりで戦闘を行う。
怪我で戦えなくなった者が出たら、予備の4チーム目の者と入れ替える。
60人戦えなくなった時点で、リタイヤする予定だ。
ウチのギルドで当面、主戦場となるこのダンジョンを全員に経験させたかったんだ。
30人1組とするのは、ダンジョンが狭くてそれ以上は、動けなくなるからだった。
3階層目は、やはりイノシシが出てくる。
出来るだけ瞬殺しないと、この前の二の舞になるからだ。
それを踏まえてバランスの良いチーム構成にした。
奥に向かって進んで行くと、はぐれのイノシシが時々出てくる。
弓使いに先制をさせて、その隙に剣士が斬りかかる。
今のところ、各チーム3匹までは、対応出来るようになった。
マサル様から借りた『亜空間バッグ』という魔道具に獲物を次々と放り込んでいく。
なんとか3階層を突破出来た。
今のところ負傷者は数名だ。
1人重傷者がいたが、マサル様が持っておられたポーションで完全に回復してしまった。
他の連中も欲しそうにしているが、あんな回復力の高いポーションなんて、俺達に買えるわけ無かろう。
4階層目は、巨大蜂の魔物だった。
体長30センチメートル近い蜂が大挙して襲ってくる。
前衛の30人が、蜂の群れに囲まれた。
剣士が善戦しているが、相手が悪い。
弓使いが刺されてしまった。
剣士も疲れが出て来たみたいだ。
交代させたいが、被害が増える光景しか見えない。
歯噛みしていると、後ろから光の輪が戦っている冒険者達のところに飛んで行く。
その光に包まれた途端、彼等は息を吹き返した。
10数分の戦いの後、なんとか蜂を全滅させられた。
「あの光を浴びた途端に傷が全て癒えて、身体中に力が漲ってきたんだ。
光に包まれた後は、蜂の攻撃も弱く感じられて、一気に形勢が逆転したよ。」
興奮した彼等を労いながらマサル様を見ると、マサル様はニコッと笑みを浮かべて、サムズアップしてきた。
俺は深く頭を下げた。
それに気付いた皆も一斉にマサル様に頭を下げたのだった。
<<冒険者サリ視点>>
わたしの名はサリ。
エルフの血を受け継ぐ弓使いだ。
10年前まで、わたしはごく一般的な冒険者だった。
全世界にマリス様の祝福の光が振り撒かれた、そうマサル様とリザベート様がご成婚されたあの日、祝福の光を浴びたわたしの中のエルフの血が目覚めたのだ。
その日を境にわたしの弓矢に精霊が宿り、矢に炎を纏うようになったのだ。
決して消えない、燃えない、でも魔物だけを焼き尽くす紅蓮の炎は、D級冒険者だったわたしをA級に押し上げてくれた。
わたしの転機ともなった、マリス様の祝福を授けて下さったマサル様とリザベート様のお役に立ちたいと願い、今回の新規ギルドへの移動申請を出したのだ。
3階層でのイノシシの魔物は、手強かった。
だが、わたしの炎の矢を使えば、どうということは無い。
大き過ぎるため、さすがに矢だけで仕留めることは出来ない。
いや時間を掛ければ問題無いが、時間を掛けてしまうと、仲間を呼ばれる恐れが高い。
わたしの矢は、イノシシの目を貫き脳を焼く。
イノシシの動きを防いでいる間に間髪入れず剣士が数人掛りで斬り付け仕留めた。
この連携でイノシシを撃退し無事3階層を攻略したのだ。
皆の意気も高く、勇んで4階層に降りたのだが、そこには弓使いにとって最悪の蜂の魔物だ。
宙を飛び、羽根が放つ風は矢の方向を変えてしまう。
その羽音は不快で、思考力を低下させ、その尾の針が出す毒は身体を麻痺させてしまうのだ。
その蜂の魔物は体長30センチメートルで、宙を自在に飛ぶ蜂は矢で狙うには小さ過ぎ、刀で切るには動きが速過ぎる。
あっという間に我等は蜂に囲まれてしまう。
弓を振り回して蜂を落とそうとしたが牽制するのが精一杯だった。
剣士達も同様で刀を振り回すも、仕留めるには至らない。
時間が過ぎて行く中で、徐々に我等にも疲労が見え始め、蜂に刺され始めた。
やがて毒により重症化する者も現れ、もはやと思われた時、我等を淡い光が包んだ。
光は疲れを癒し、毒を中和していく。
反対に蜂達は苦しそうだ。
思わぬ形勢逆転に我等は勢い付き、一気に蜂を殲滅していった。
わたしは、この光をあの日の祝福の光に重ねた。
そしてマリス様に感謝する。
祈りを終え振り返ると、マサル様の優しい笑顔が見えたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる