みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

文字の大きさ
236 / 414
第7部 大乱闘スマッシュシスターズ

第26話 突撃! 司馬家のお昼ごはん! ~お腹の中がリオのカーニバル編~

しおりを挟む
「その様子を見るに、お昼はマダみたいデスネ! ちょうどよかったデース! 一緒に食べまショウ!」

「「「蜂谷!(ハチヤさん!)」」」



 パァッ! と、俺たちの顔が華やぐ。

 そこには、いつか見た数人の男たちを引きつれた蜂谷が、色素の薄い髪を風に靡かせて、こちらを見ていた。

 彼女を目にした瞬間、俺たち3人は打ち合わせでもしていたかのように視線を交差させ、同時に小さく頷いた。

 もはや俺達の間に言葉はいらない。

 考えていることは、みな同じだった。



「どうぞ、どうぞ! ぜひ一緒にお昼にしましょう!」
「ココ空いてるから座っていいよ!」
「よかったら、後ろの野郎共も一緒に食おうぜ!」



 さぁさぁ、座って! 座って!

 と、蜂谷たちを例のバイオテロご飯の前へスタンバイさせる。



「ワォッ! 大歓迎デスネ~ッ!」と、満更でもない表情を浮かべながら、ペタンとその場にお尻をつける蜂谷。

 それにならって、ハニービーの男たちも蜂谷の周りに腰を下ろした。

 よし……人柱の数は揃った。

 あとは司馬ちゃんが帰ってくるまでに決着をつけるだけだ。



「いやぁ、ちょうどよかったです! 実はお弁当を作り過ぎちゃって。出来れば皆さんで食べてくれませんか?」

「いいんデスカ! こんな豪華な食事をいただいテモ?」
「もちろん。むしろわたし達を助けると思って、全部食べてくれると嬉しいです」
「うんうん! 遠慮しないでジャンジャン食べていいんだよ?」



 さも自分が作ってきたかのような雰囲気を醸し出しながら、司馬ちゃんのお弁当を勧める双子姫。

 流石は姉妹なだけあって、ナイスコンビネーションだ。

 蜂谷も蜂谷で、疑うことを知らない無垢なる少女らしく、



「ではお言葉に甘えて……この美味しそうなから揚げヲ!」


 と素手で掴む。

「後ろのみなさんもぜひ!」と、芽衣が野郎たちに方へ、毒物お弁当を差し出す。

 女神スマイル全開の芽衣を前に、男どもは鼻の下をこれでもかと伸ばしながら「それじゃ……」と、次々素手でお弁当のオカズをつまんでいく。

 気がつくと、お弁当の中身は空になっていた。

 蜂谷は子分たち全員にオカズが行き渡ったことを確認すると、口元をだらしなく歪めながら、大きく口を開けて、



「それじゃ……いただきマース!」

「「「「「「いただきまーす」」」」」



 パクリ! と、司馬ちゃんお手製のバイオテロご飯を口にした。



◇◇◇



『こっちだ保健委員! よしっ、そっち側の担架を持て! 救護室まで運ぶぞ!』
『まさかこの時期に集団で食中毒を起こすなんて……』
『おい、こっちにも気を失っているヤツが居るぞ!』



 体育祭実行委員と保健委員が持ってきた担架に乗せられ、救護室まで移動させられて行く、ハニービーの男たち。



『ところで、さっきからズンドコ♪ ズンドコ♪ と、何の音だコレは?』

『お、お腹の中です! 気を失っている男性たちのお腹の中から、サンバのリズムが聞こえてきます!』

『一体どういう原理で鳴っているだ!?』



 野郎共の呻き声と共に、サンバのリズムが青空へと吸い込まれる。

 リオのカーニバル並みにハジけている男たちを横目に、俺は何とも言えない気分を味わったまま、遠ざかって行く野郎たちの姿を眺めた。



「……なぁ芽衣さんや」
「……なんですか、士狼さんや?」

「俺、今、罪悪感で押しつぶされそうなんですが……?」

「奇遇ですね、わたしもです……」



 2人してピーポーピーポー♪ と運ばれていく男達の後ろ姿を眺める。

 そんな俺たちの背後で「はわわっ!? はわわっ!?」と、オロオロ!? している爆乳わん

 あっちへオロオロッ!?

 こっちオロオロッ!?

 何ともせわしない。

 まるで落ち着きがない子犬のようだ。

 まったく、抱きしめてヨシヨシしてやろうか?

 優しくも激しい、イタリア映画の伊達男のように熱烈に抱きしめて「ジュテーム♪」と、下手くそな愛の言葉を耳元で囁いて――



「そろそろ現実に戻ってきてください、士狼」
「ハッ!?」



 ぎゅぅぅぅぅぅ~っ! と、キツくお尻をつねられ、妄想世界からカムバック。

 ただいまジャパン。

 俺が意識を取り戻したと同時に、お腹を押さえたまま青い顔を浮かべて、ニヒルに微笑んでいた蜂谷が、ヒョコヒョコッ!? と、チキンのように足を内股にしながら近づいてきた。



「ま、まさか食事に毒を盛っているとは。さ、さすがは喧嘩狼デスネ……。勝利のためなら、どんな汚い手段も使う……。ますますウチのチームに欲しくなりまシタヨ!」

「何か知らないうちに俺の株が上がってる……」



 あと毒じゃないよ?

 司馬ちゃんの実力だよ?

 プルプルッ!? と、KO寸前のボクサーのように足を震わせて笑う蜂谷。

 時折「くぁっ!?」と、小さくうめいては、身体をクネクネと左右に揺らす。

 耳を澄ませば、彼女のお腹からもサンバのリズムが聞こえてくるではないか。

 関係ないんだけどさ? なんで女の子の呻き声って、あんなに色っぽいんだろうか?

 シロウ、なんだかイケナイ扉が開いちゃいそうだよ。



「蜂谷さん、わたしが言うのもアレですが……速く保健室へ行った方がいいですよ?」

「そ、そうだよ! 脂汗が凄いよ? 我慢せずに速く行った方がいいよ!」

「ふっ。この程度の腹痛で保健室へ行くなど、チキンのすることデース!」



 内股のままニヒルに笑う蜂谷こそ、1番チキンぽかった。



「くぁっ!? そ、そう言えバ! ワタシ、トイレで女神さまと会う約束をしてたんデシタ!」



 クルリッ! と、身を180度回転させ、トイレの妖精となるべく、ヒョコヒョコ! と校舎に向かって歩み出す蜂谷。

 その哀愁漂う後ろ姿を見守っていると、蜂谷は首だけコチラに振り返り、



「きょ、今日の騎馬戦、楽しみにしているデスヨ!」

「そんなこといいから、はやく行ってください! 間に合わなくなっても知りませんよ!」

「漏れちゃう! 漏れちゃうよ!?」

「くぅぅぅぅぅ~ッ! か、必ず仕返ししてみせますカラネ!」



 そう捨て台詞を残して、蜂谷は瞳に涙の膜を作りながら、トイレへと微速前進。

 彼女の肛門括約筋に幸あれ!

 と3人で敬礼している間に、入れ違いになるような形で、肩で息をした司馬ちゃんが、お茶を手に持って帰ってくる。



「遅くなって、すみませ~ん。校舎で販売しているお茶が売り切れだったので、近くのスーパーまでひとっ走りしてきました。……って、あれ? 騒がしいっすけど、何かあったんすか?」

「いいえ、何もありませんでしたよ。ねぇ2人とも?」

「おうっ! まったくもって、何もなかった。不気味なくらい、何もなかった。怖いくらい、何もなかった!」

「あ、あはは……」



 表情1つ変えることなく、シレッ! と適当なことをつぶやく、芽衣と俺。

 そして気まずそうに視線を明後日の方向へと背ける、よこたん。

 そんな微妙な空気を肌で感じ取ったのだろう。

 司馬ちゃんは頭の上に「?」を浮かべていた。

 が、すくさま「そうだ!」と、頭の中の豆電球をピカリンッ! と輝かせ、



「よく分からないっすけど、こういうときは甘いモノを食べるのが1番っすよね! 自分、デザートも作ってきたんで、みんなでコレを食べ――」

「さぁ! 午後からのプログラムも、頑張っていきましょうか!」
「よ、よぉし! 張りきっちゃうぞぉっ!」
「あっ、テメェら!?」



 脱兎の如くとは、まさにこのこと。

 古羊姉妹は、俺が制止するよりも速く、その場を離脱。

 は、速い!?

 芽衣はともかく、あの爆乳わんでさえ、近年稀にみないほど素早い動きで、人混みの中へと消えていったぞ! 

 いや、感心している場合じゃない。



「どうしたんすかねぇ、古羊先輩たち? ……あっ! 大神先輩、申し訳ないっすけど、待っていて貰ってもいいっすか? 教室にデザートを置いて来ちゃったみたいで。すぐに取りに戻ってきますね!」

「ま、待って司馬ちゃん!? 無理して取りに戻らなくてもっ!? ……行っちゃった」



 放たれた弓矢の如く、再び校舎の中へと駆けて行く司馬ちゃん。

 そんな彼女から視線を切り、俺は地面に転がっているロリ巨乳と、今はもう動かない親友を、冷めた目で見下ろした。

 なるほど。

 もうすぐ俺も、『あぁ』なるのか。

 未来予知に近い精度で、数分後の自分の姿に身体を震わせていると、背後から「うわっ!? なんじゃこりゃっ!?」と、誰かが太陽に向かって吠えていた。

 こ、この声は、まさかっ!?


 俺は弾かれたように声のした方向へ振り返ると、そこには――



「な、なんで猿野がこんな所でノビてるんだ? 邪魔で仕方がねぇよ」
「あ、アマゾぉぉぉ~ンっ!」
「ん? どうした大神? そんな泣きそうな顔をして? あの日か?」



 あの日が一体どの日なのか、問いただしたいこと山の如しだったが、今はそんな事どうでもいいっ!

 俺は怪訝けげんそうな顔を浮かべているアマゾンの肩を、ガシッ! と掴んだ。



「な、なんだよ大神? い、言っておくがオレは、お前と違ってノーマルだぞ!?」



 アマゾンはいつも通りトチ狂った事をほざいていたが、俺はお構いなしに、真っ直ぐコイツの目を見据えて、言ってやった。



「なぁアマゾン、女の子の手料理を食べたくないか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...