みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第8部 ぽんこつMy.HERO

第12話 魚住メバチはメンヘラ臭い

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「――う~ん? ごめんね……? 流石にお手伝いは厳しいかなぁ……」
「い、いえいえっ! 無理を承知で頼んでいるだけなんで、気にしないでください!」



 場所は空き教室から打って変わって、3年G組の教室。

 そこで俺と大和田ちゃんは、3学年きってのメカクレ美少女にして『森実高校美少女ランキング』第7位の、魚住メバチ先輩に【あるお願い】をしていた。



「ほんとにごめんね……? 選挙活動に協力してあげたいのは山々なんだけど……。来週、模試があって……」



 メバチ先輩は申し訳なさそうな笑顔を浮かべたまま、俺に向かって両手を合わせて頭を下げる。

 そう、俺の作戦は至極単純明快なモノであり、ようは『求心力のある人材を味方につけよう!』 という、全力の他力本願であった。

 大和田ちゃんは、うるっ!? と庇護欲を誘うように瞳を潤ませながら、メバチ先輩になお食い下がろうとする。



「あ、あの……魚住センパイ? 本当にダメですか? 正直ウチら、猫の手も借りたいほど困ってまして……」

「大神くんのお願いだから、手を貸してあげたいけど……。今回ばかりは流石に、ね……?」



 メバチ先輩は申し訳なさそうに苦笑を浮かべながら、



 ――ガシッ!



 と俺の尻をワシ掴んできた。

 ……なんでこの人、急に俺の尻を触ってきたんだろう?



「力になれなくて、ごめんね……?」



 頭の中に「?」が乱舞する中、ムニムニ♪ と変幻自在に形を変えていく、シロウ・ヒップ。

 なんで近頃の乙女は、男の尻を撫でまわすのが好きなのだろうか?

 痴女なのかな?

 それとも、お尻かじり的な虫なのかな?



「「……」」



 そんな俺たちのやりとりを、遠くのドアの方からジーッ! と見ている4つの瞳は、もちろん古羊姉妹のモノだ。

 相も変わらす、同級生に向けちちゃダメな光彩を失った瞳で俺たち……というか、主に俺の尻を揉み続けているメバチ先輩を凝視し続けている。

 なんだろう?

 あの2人、今にも目からビームが出そうで超怖い……。

 何もしてないのに、すっごく怖い。

 ナニコレ?

 武者震いかな?

 人知れずブルブル!? 震えていると、メバチ先輩が「ところで」と、大和田ちゃんに鋭い視線を送った。



「大和田さん、だっけ……? 大神くんと仲良さそうに見えるけど、どういう関係、なのかな……?」

「ウチと大神センパイの関係、ですか? そうですねぇ~」



 大和田ちゃんは、にんまり♪ と笑みを深めて。



「セクハラの被害者と加害者の関係ですね♪」

「異議あり! 違いますよ、メバチ先輩!? 俺はただ、大和田ちゃんの選挙活動を手伝っているだけですっ!」



 慌てて大和田ちゃんの爆弾発言を鎮火しにかかる、俺。

 ちょっ、やめて!?

 コレ以上、俺の風評被害を広げないで!?

 きゃっぴるんるん♪ と、ご機嫌の大和田ちゃんを前に、どこか試すような視線を向けるメバチ先輩。

 な、なんだろう?

 今日のメバチ先輩、ちょっと怖いや。



「2人はその……付き合ってる、とかではないの……?」



 ぽっ! と、頬を赤く染めながら、そんな事を口走るメバチ先輩。

 瞬間、大和田ちゃんがカラカラッ! と笑いながら、顔の前で手を横に振った。



「あははっ! 魚住センパイも面白いジョークを言いますね? ウチが大神センパイとお付き合いするだなんて、そんなコト死んでもあるワケないじゃないですかぁ~っ♪」

「ほんとに……?」

「ほんとですよぉ! 大神センパイと付き合うくらいなら、魚介類にキスされた方が100万倍マシです♪」



 酷い言われようだ。

 なになに?

 新手のツンデレかな?

 俺のこと、大好きなのかな?



「ならよかった……」



 どこかホッとした表情を浮かべる、メバチ先輩。

 俺をこき下ろして笑顔を浮かべるなんて、やっぱり先輩も、ドSさんなのかな?



「もし付き合ってたら、どうしようかと思った……」

「んん~? あれれ~? ウチとセンパイが付き合ってたら、魚住センパイに何か問題でもあるんですかぁ~?」



 大和田ちゃんが、ニタァ~♪ と意地の悪い笑みを顔に張りつける。

 う~んっ!

 流石は兄妹というべきか、人を弄るときの笑顔が、お兄ちゃんソックリじゃないか!

 大和田ちゃんは『面白いオモチャを見つけちゃった!』と言わんばかりに、ニッチャリ♪ と口角を引き上げる。

 そんな彼女を尻目に、メバチ先輩は恥ずかしそうに、モジモジし始めた。



「問題というか、ちょっと大変かなって……」
「大変?」
「うん、大変……。だって……」



 メバチ先輩は、恋する乙女のようにはかなく笑みをこぼしながら。



「もしそうだったら、ワタシ、大和田さんを●●●●●して、●●に埋めなきゃいけなくなるから……」

「「…………」」



 おっとぉ?

 雲行きが怪しくなってきたぞぉ?

 見ると隣に立っていた大和田ちゃんの顔が、みるみる青くなっていくじゃないか!

 も、もしかしたら、俺たちはヤバい人に声をかけてしまったのかもしれない。

 と後悔したところで、もう遅い。

 メバチ先輩は、相変わらずモジモジしながら、放送禁止用語をマシンガンのごとく掃射そうしゃし始めた。



「あぁ、でも●●●●●は今の日本だと●●●●●だし、●●●●●するなら●●●●●の方がいいのかなぁ……? いや、●●●●●を●●●●●するだけなら、ギリギリ●●●●●だし、それに●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●すれば何とか――」

「あぁっ! すいません、魚住センパイッ! そういえば、このあと予定があったので、ウチらはこの辺りで失礼しますね!? それでは!」



 大和田ちゃんは、ガシッ! と俺の手を掴むなり、


 ――パピュ―ッ!


 と風の如くその場を撤退した。

 そのとき、俺は思ったね。

『賢明な判断だ』ってね♪
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