『ダーク』裁かれない罪人達は神の箱庭で地獄を見る

歌龍吟伶

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一斉に目覚めさせられた人間たちは、眩しいほど純白の部屋でパニックを起こす。


「な、なんだここは!?」

「どうなっているの!?」

「誰だ貴様ら!!」

「なんなのよここは!」

「わしを誰だと思っておる、神聖なる聖王だぞ!!」

「突然神が現れたと思ったら…なんなんだ!?」


エルクィードは台座に腰掛け、口々に叫んでいる人間たちを煩そうに見下ろし口を開く。


「ゴールまで行けば幸せを見せてあげる」


それだけ告げるとその場から姿を消した。

残された人間達は更に混乱し叫ぶ。


「な!?なんだいまのは!!」

「誰だったのだ、神ではないのか!?」

「何様だ偉そうに!出てこい!!」


しかしいくら叫んでも返事もなければ戻ってくることもない。

何もない空間に放置された六人は、互いに顔を見合わせた。


「…あんた達は誰なんだ?俺はプォンタン国の第一王子アーフォだ!」

「その婚約者のアンよ!」

「あんただと、無礼者!私はキーン王国の国王カネーダだぞ!」

「王妃ピーカよ!無礼者!」

「ふん、王族共が偉そうに…わしは聖王シードだ!」

「…俺様はチー侯爵家の跡継ぎシーモだ」


国王夫妻がシーモを見て驚いた顔をし、詰め寄った。


「貴様!チー侯爵の息子か!!」

「ここはどこなの!早くどうにかしなさい!!」

「うっ…そ、そんなこと言われましても、俺にも分からないんですよ!」


縋り付いてくる国王夫妻を突き飛ばし、剣を抜くシーモ。


「な!?無礼者め!国王に剣を向けるなど!死刑だぞ!」

「知るか!ここは国じゃない、もう関係無い!」


武器を持っているのはシーモともう一人、アーフォだけ。

自然と二人に視線が集まる中、聖王を名乗ったシードが口を開いた。


「…ともかく、ここを出るしかあるまい。先程の小僧は、ゴールに行けば幸せがあるようなことを言っていた。ここに居ても何も変わらぬし水も食べ物も無いからな」


しかし国王夫妻はそれを拒否。


「何を言っておるのだ、貴様らが食べ物を持ってこい!」

「そうよ、どうしてわたくしたちが歩かなければならないの!?」


冗談ではないと威張り散らす二人を、シーモは呆れた顔で見下した。


「は!こんな状況でも何もしない役立たずが!そんなだから内乱が起きるんだよ!」


キーン王国では内乱が起き始めたところで、国王夫妻は城のみ守りを固めて籠城中だったのだ。

シーモも屋敷を捨て隠れ家に潜んでいた。

怒鳴り合う三人を尻目に、アーフォとアンが部屋から出る決意をして入り口へ向かう。


「俺たちは行くぞ、ここに居ても白すぎて目が痛いだけだ」

「アーフォさまぁ、わたくしを守ってねぇ」


甘えた声を出してアーフォの腕にしがみつくアン。

彼女は、姉の婚約者だったアーフォに色仕掛けをして横取りした挙句に姉の悪口を広めて家からも追い出した悪女。

アーフォも第一王子だというのに頭が足りない若者で、あっさりアンに乗り換え嘘を鵜呑みにした。

恐る恐る外へ出る二人を追って、シーモとシードも外へ出る。


「ま、待て!!」


置いていかれた国王夫妻は遠ざかっていく四人をしばらく見ていたが、見えなくなった頃ようやく立ち上がり追いかけた。
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