『ダーク』裁かれない罪人達は神の箱庭で地獄を見る

歌龍吟伶

文字の大きさ
4 / 8

森のオアシス

しおりを挟む
魔物に怯える一行は、水の音に気づき顔を上げる。


「…水?水があるのか!?」


逃げ回り喉はカラカラだ、音を頼りに薄暗い森を歩くと柔らかい光が見えてきた。

青白い光に導かれるように近づいていくと、そこには泉が。


「水だ!!」


シーモ、アン、シードの三人は押し合うように泉へ駆け寄り、必死に水を飲む。

貴族だ聖王だと威張り散らしていた彼らだが、なりふり構わず水面に口をつけたり服を濡らしながら水を飲む姿は獣のようだ。

喉を潤していると、ガサリと木々が揺れ人影が現れた。


「…アーフォ様!?」


そこにいたのは、アンを突き飛ばして逃げて行ったアーフォ。


「…アン!?無事だったのか」

「ひ、酷いですわ!私を置いて逃げるなんて!」

「す、すまない…だが無事でよかった、さあこっちへおいで」

「嫌です!私はもうシーモ様と行くことにしました!」

「何だと!?」


アーフォは自分で見捨てておきながら、アンが他の男に乗り換えたことを怒る。


「ふん!腰抜けめ、俺様の方が良いに決まっている!」

「ふざけるな!アンは俺の婚約者だ!」


こんな状況だというのに女を取り合う二人。

シードは呆れ顔でその場に座り込む。


「争っている場合か…武器を持っているのはお前たちだけなのだぞ」

「こんなやつと協力できるか!」

「俺様だってお断りだ!」


言い争いを続けていると、再びガサガサと物音が。


「ひぃっ!」


音がした方を見ると、ズタボロになった国王夫妻が駆け込んできた。

豪華な服は見る影もない。


「陛下…」


髪は乱れ息も絶え絶え、城で威張っていた頃の姿は遠い過去のよう。

シーモは驚きと共に湧き上がる優越感に浸る。


(くくく…役立たずのジジイとケバいだけの女。ジジイは要らねえが、王妃を犯し殺すのは面白そうだな)


国王のことは見捨てて王妃だけ欲しいと考えるシーモ、どんな状況でも彼の頭の中は性欲で満たされているようだ。


「き、貴様ら…わしらを助けんか!この無能どもが!」

「そ、そうよ…わたくしたちを誰だと思っているの!無礼者!」

「そんなこと言ってる場合かー?周りを見てみろよ、誰があんたらを助けてくれるってんだ」


自国でないのをいいことに、国王に対して上から目線で話すシーモ。

国王夫妻は唇を噛み締める…ここまで来れたのが奇跡だと分かっているから。

よく死なずに泉へ辿り着いたものである…それが管理人の支配によるものだと知るはずもなく。

彼らは飲水にありつけた事を喜び、しばらく体を休めた。

不思議なことに、泉の周りには魔物が近寄ってこない…彼らは水を求めないのだろうか。

回らなくなっていく頭でそんな事を考えるが、体を休めていると空腹をより強く感じ耐えられなくなってくる。

周囲を見渡してみても、食べられそうなものは見つけられなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果

景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。 ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。 「俺……ステラと離れたくない」 そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。 「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」 そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。 それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。 勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。 戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──? 誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

処理中です...