王子が好みじゃなさすぎる

藤田菜

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 見立て通り王子の国はなかなかに大きく、お城も立派な作りだった。

「さあ、ここが姫のお部屋です」

 案内されたお部屋には、調度品どころかドレスやジュエリーもそろっている。

「お疲れでしょうから、今日はゆっくりお休みください。何かあれば、メイドに申し付けを」
「何から何まで、どうもありがとう」

 王子は意外にも紳士だった。お城に着いたらもっとぐいぐい来るかと思ったけれど。

 メイドたちが、てきぱきと私の着替えを手伝ってくれる。
 なんだか少し対応が冷たい気がするけれど、まあそれも仕方がないか。メイドたちからすれば、主人が突然連れてきた見知らぬ姫なのだから。


 その日から、私たちは一緒に暮らし始めた。
 一緒の時間を過ごしてみると、王子はやはり悪い人ではなさそうだった。

「姫、しばらくは不安でしょうがご安心ください。この城の警備は固めてあります。魔法使いが現れても、きっとあなたをお守りしますから」

 そう言いながら、ぐいっと腕に力こぶを作る。
 正直に言えば、力こぶに魅力は感じない。まあでもたしかに、このくらいの力自慢のほうが私を守りきってくれるのかもしれない。
 魔法使いより強い人でなくてはいけないのだから。



 ある時は、狩りで得た獲物を見せてくれた。

「どうです? この大きな角! もし魔法使いがやってきても、私にとっては良い的ですよ」

 王子は銃を構えて打つ真似をする。
 私は狩りにも興味がないけれど……魔法使いにも銃は効くのだろうか。


 そしてある時は、馬で遠乗りに連れていってくれた。

「私の愛馬は速いでしょう! もし魔法使いがあなたをさらったとしても、この愛馬ですぐに追いついてみせますよ」

 たしかにこの馬は速いけれど、空を飛ぶ魔法使いに敵うのだろうか。
 馬上の激しい揺れで気分が悪くなりながらも、私は王子に愛想笑いをした。

 それにしてもこの王子、魔法使いの話ばかりしている気がする。
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