2 / 6
2
しおりを挟む
見立て通り王子の国はなかなかに大きく、お城も立派な作りだった。
「さあ、ここが姫のお部屋です」
案内されたお部屋には、調度品どころかドレスやジュエリーもそろっている。
「お疲れでしょうから、今日はゆっくりお休みください。何かあれば、メイドに申し付けを」
「何から何まで、どうもありがとう」
王子は意外にも紳士だった。お城に着いたらもっとぐいぐい来るかと思ったけれど。
メイドたちが、てきぱきと私の着替えを手伝ってくれる。
なんだか少し対応が冷たい気がするけれど、まあそれも仕方がないか。メイドたちからすれば、主人が突然連れてきた見知らぬ姫なのだから。
その日から、私たちは一緒に暮らし始めた。
一緒の時間を過ごしてみると、王子はやはり悪い人ではなさそうだった。
「姫、しばらくは不安でしょうがご安心ください。この城の警備は固めてあります。魔法使いが現れても、きっとあなたをお守りしますから」
そう言いながら、ぐいっと腕に力こぶを作る。
正直に言えば、力こぶに魅力は感じない。まあでもたしかに、このくらいの力自慢のほうが私を守りきってくれるのかもしれない。
魔法使いより強い人でなくてはいけないのだから。
ある時は、狩りで得た獲物を見せてくれた。
「どうです? この大きな角! もし魔法使いがやってきても、私にとっては良い的ですよ」
王子は銃を構えて打つ真似をする。
私は狩りにも興味がないけれど……魔法使いにも銃は効くのだろうか。
そしてある時は、馬で遠乗りに連れていってくれた。
「私の愛馬は速いでしょう! もし魔法使いがあなたをさらったとしても、この愛馬ですぐに追いついてみせますよ」
たしかにこの馬は速いけれど、空を飛ぶ魔法使いに敵うのだろうか。
馬上の激しい揺れで気分が悪くなりながらも、私は王子に愛想笑いをした。
それにしてもこの王子、魔法使いの話ばかりしている気がする。
「さあ、ここが姫のお部屋です」
案内されたお部屋には、調度品どころかドレスやジュエリーもそろっている。
「お疲れでしょうから、今日はゆっくりお休みください。何かあれば、メイドに申し付けを」
「何から何まで、どうもありがとう」
王子は意外にも紳士だった。お城に着いたらもっとぐいぐい来るかと思ったけれど。
メイドたちが、てきぱきと私の着替えを手伝ってくれる。
なんだか少し対応が冷たい気がするけれど、まあそれも仕方がないか。メイドたちからすれば、主人が突然連れてきた見知らぬ姫なのだから。
その日から、私たちは一緒に暮らし始めた。
一緒の時間を過ごしてみると、王子はやはり悪い人ではなさそうだった。
「姫、しばらくは不安でしょうがご安心ください。この城の警備は固めてあります。魔法使いが現れても、きっとあなたをお守りしますから」
そう言いながら、ぐいっと腕に力こぶを作る。
正直に言えば、力こぶに魅力は感じない。まあでもたしかに、このくらいの力自慢のほうが私を守りきってくれるのかもしれない。
魔法使いより強い人でなくてはいけないのだから。
ある時は、狩りで得た獲物を見せてくれた。
「どうです? この大きな角! もし魔法使いがやってきても、私にとっては良い的ですよ」
王子は銃を構えて打つ真似をする。
私は狩りにも興味がないけれど……魔法使いにも銃は効くのだろうか。
そしてある時は、馬で遠乗りに連れていってくれた。
「私の愛馬は速いでしょう! もし魔法使いがあなたをさらったとしても、この愛馬ですぐに追いついてみせますよ」
たしかにこの馬は速いけれど、空を飛ぶ魔法使いに敵うのだろうか。
馬上の激しい揺れで気分が悪くなりながらも、私は王子に愛想笑いをした。
それにしてもこの王子、魔法使いの話ばかりしている気がする。
0
あなたにおすすめの小説
森の民に拾われ天使と呼ばれた私は、今日もスープを煮込みます
Mag_Mel
恋愛
森の民が暮らす村には、“天からの恵み”が落ちてくる聖域があった。
ある日そこに、記憶も名も持たぬひとりの女が落ちてくる。
彼女は「リコリス」と名付けられ、族長ライオネルの庇護のもと穏やかな日々を送るが、恵みは次第に毒や兵器へと姿を変え、村を脅かし始める。
このままでは愛する人々と平穏な日常が失われてしまう。
リコリスは自身に宿る力を使い、天と地を繋ぐ穴を閉じようと決意するが――。
*小説家になろうでも投稿しています
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
私に悪役令嬢は荷が重い。
木山楽斗
恋愛
「……わかっているのかしら? 平民のあなたが、この学園にいるということが、そもそもおかしいということが」
平民であるメアリに対して、私はそう言った。
取り巻きとともに特別な平民である彼女を、いびっているのだ。
「フレーナ様の言う通りよ。あなたなんかね。この学園に通っていい存在ではないのよ。薄汚い平民の分際で貴族の領分に入ってこようなんて……」
「ちょっと、それは言い過ぎではないかな?」
「え? そうですか?」
しかし私は、取り巻きのサナーシャの言葉に思わず口を挟んでしまった。
薄汚いというのは言い過ぎなのではないか、そう思ってしまったのだ。
それからはもう、ぐだぐだだった。
もう一人の取り巻きのクレリアは言葉が出てこなかったし、結局第二王子であるイージス殿下が現れ、私達は退くことになってしまった。
わかっていたことではあるが、どうやら私に悪役令嬢は荷が重いらしい。
これから本当にやっていけるのか、私は不安でいっぱいだった。
「その他大勢」の一人で構いませんので
和島逆
恋愛
社交界で『壁の花』ならぬ『壁のマンドラゴラ』という異名を持つマグダレーナ。
今日も彼女は夜会の壁に張りつき、趣味の人間観察に精を出す。
最近のお気に入りは、伯爵家の貴公子であるエリアス。容姿・家柄ともに申し分なく、年頃の令嬢たちから熱い視線を送られている。
そんなエリアスが選んだのは、なんと『壁のマンドラゴラ』であるマグダレーナで──?
「いや、わたしはあくまでも『その他大勢』の一人で構わないので」
マグダレーナは速攻で断りを入れるのであった。
貧乏伯爵家の妾腹の子として生まれましたが、何故か王子殿下の妻に選ばれました。
木山楽斗
恋愛
アルフェンド伯爵家の妾の子として生まれたエノフィアは、軟禁に近い状態で生活を送っていた。
伯爵家の人々は決して彼女を伯爵家の一員として認めず、彼女を閉じ込めていたのである。
そんな彼女は、ある日伯爵家から追放されることになった。アルフェンド伯爵家の財政は火の車であり、妾の子である彼女は切り捨てられることになったのだ。
しかし同時に、彼女を訪ねてくる人が人がいた。それは、王国の第三王子であるゼルーグである。
ゼルーグは、エノフィアを妻に迎えるつもりだった。
妾の子であり、伯爵家からも疎まれていた自分が何故、そんな疑問を覚えながらもエノフィアはゼルーグの話を聞くのだった。
その執事は、十三番目の愛を叫ぶ
れおぽん
恋愛
「貴女を愛しています。……ええと、お名前は?」
次期皇女を決める最終儀式の場。 並み居る高貴な皇配候補たちは、誰一人として花嫁の名前を答えられなかった。 彼らが愛していたのは「皇女」という肩書きであり、彼女自身を見てはいなかったからだ。
場が凍りつく中、国は体裁を保つために「偽の名前」を彼女に与えようとする。 だが、その時――。
「ふざけるなッ!!」
乱入してきたのは、薄汚れた一人の使用人だった。 彼は知っていた。彼女がどんな時に笑い、どんな時に傷つき、そして本当はどんな名前なのかを。
地位も名誉もない使用人の「真摯な愛」が、薄っぺらな貴族たちの求婚を論破する。 身分差×主従×逆転劇。魂を揺さぶるヒューマンドラマ。
呪われた姿が可愛いので愛でてもよろしいでしょうか…?
矢野りと
恋愛
我が国の第二王子が隣国での留学を終えて数年ぶりに帰国することになった。王都では彼が帰国する前から、第二王子の婚約者の座を巡って令嬢達が水面下で激しく火花を散らしているらしい。
辺境の伯爵令嬢であるリラ・エールは王都に出向くことは滅多にないので関係のない話だ。
そんななか帰国した第二王子はなんと呪われていた。
どんな姿になったのか分からないが、令嬢達がみな逃げ出すくらいだからさぞ恐ろしい姿になってしまったのだろうと辺境の地にまで噂は流れてきた。
――えっ、これが呪いなの?か、可愛すぎるわ!
私の目の前の現れたのは、呪いによってとても愛らしい姿になった第二王子だった。
『あの、抱きしめてもいいかしら?』
『・・・・駄目です』
私は抱きしめようと手を伸ばすが、第二王子の従者に真顔で止められてしまった。
※設定はゆるいです。
※5/29 タイトルを少し変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる