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あれも、これも、と教えてくれるのは助かるのだが、途中から話が脱線し始め、作るのに苦労した話とか、何がどう凄いのかとか、そういう話になり始めた。
たぶん、話している途中で楽しくなってしまったんだろうけど、わたしが簡単なことしか分からないことを忘れて、どんどんと専門的な用語が飛ぶし、基本や応用まで理解できている前提で話が進む。
一割も理解でいないが、なにか一つか二つ、わたしが知らない原理の説明を飛ばして話しかけていることはなんとなく分かる。それが察せるようになっただけ、勉強の成果が出ている、と考えてもいいんだろうか。
説明に戻ってくれ、と言いたいところだけど――。
「それで、ここの部分をコンパクトにするのが難しくてさ、丁度いい大きさの魔石がなくて――」
口調が砕けているのにも気がつかず、笑顔で興奮して話ているのを見ると、どうにも口を挟むのは気が引ける。眼鏡越しでも、目が輝いているのが分かるくらいなのだから。
もう好きなだけ話したらいいよ、とわたしは会話の修正を諦め、聞き役に徹した。
苦労話を聞くのも無駄じゃないし。考えるのは苦手だが、覚えるのは得意なので、この話を覚えておけば、そのうち役に立つこともあるだろう。これだけ熱心に話していれば、そのときわたしが一緒にいなくても、まるで共にいたかのように感情を込めて話すことができそうだ。
これだけ楽しそうに話しているのを聞くと、こっちまで楽しくなってきてしまう。
「本当に魔法道具のことが好きなんですのね」
ふ、と、マシンガントークのように区切れがなかったオクトール様の言葉が途切れた瞬間、思わずわたしはそんなことを言ってしまった。
しかし、オクトール様は「えっ?」と目を丸くしている。てっきり、「そうなんだ!」と勢いよく肯定されるものだと思っていたのだが。
「好きじゃなければ、ここまで開発を続けることも、熱く語ることもできないでしょう?」
違うの? とわたしは首を軽く傾げる。
これだけ話していて好きじゃない、なんて反応になるとは思えない。
でも、オクトール様はすっかり勢いをなくしてしまった。
「……僕は、魔法道具が好き……なんだろうか?」
「いや、わたしに聞かれましても」
自覚がなかったのか? 少なくとも、嫌いではないはず。嫌いだったら、百歩譲って、わたしの勉強を見ることはあっても、こうして実物を見せてやろう、とか、話しているうちに楽しくなって話が脱線してしまう、とか、そういうことはないはず。
「好きなんでしょう?」
再度聞いてみるも、オクトール様はなんだか腑に落ちない、という表情のままだった。
たぶん、話している途中で楽しくなってしまったんだろうけど、わたしが簡単なことしか分からないことを忘れて、どんどんと専門的な用語が飛ぶし、基本や応用まで理解できている前提で話が進む。
一割も理解でいないが、なにか一つか二つ、わたしが知らない原理の説明を飛ばして話しかけていることはなんとなく分かる。それが察せるようになっただけ、勉強の成果が出ている、と考えてもいいんだろうか。
説明に戻ってくれ、と言いたいところだけど――。
「それで、ここの部分をコンパクトにするのが難しくてさ、丁度いい大きさの魔石がなくて――」
口調が砕けているのにも気がつかず、笑顔で興奮して話ているのを見ると、どうにも口を挟むのは気が引ける。眼鏡越しでも、目が輝いているのが分かるくらいなのだから。
もう好きなだけ話したらいいよ、とわたしは会話の修正を諦め、聞き役に徹した。
苦労話を聞くのも無駄じゃないし。考えるのは苦手だが、覚えるのは得意なので、この話を覚えておけば、そのうち役に立つこともあるだろう。これだけ熱心に話していれば、そのときわたしが一緒にいなくても、まるで共にいたかのように感情を込めて話すことができそうだ。
これだけ楽しそうに話しているのを聞くと、こっちまで楽しくなってきてしまう。
「本当に魔法道具のことが好きなんですのね」
ふ、と、マシンガントークのように区切れがなかったオクトール様の言葉が途切れた瞬間、思わずわたしはそんなことを言ってしまった。
しかし、オクトール様は「えっ?」と目を丸くしている。てっきり、「そうなんだ!」と勢いよく肯定されるものだと思っていたのだが。
「好きじゃなければ、ここまで開発を続けることも、熱く語ることもできないでしょう?」
違うの? とわたしは首を軽く傾げる。
これだけ話していて好きじゃない、なんて反応になるとは思えない。
でも、オクトール様はすっかり勢いをなくしてしまった。
「……僕は、魔法道具が好き……なんだろうか?」
「いや、わたしに聞かれましても」
自覚がなかったのか? 少なくとも、嫌いではないはず。嫌いだったら、百歩譲って、わたしの勉強を見ることはあっても、こうして実物を見せてやろう、とか、話しているうちに楽しくなって話が脱線してしまう、とか、そういうことはないはず。
「好きなんでしょう?」
再度聞いてみるも、オクトール様はなんだか腑に落ちない、という表情のままだった。
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