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「現在、『地上』にいる『生き物』…あ、この『生き物』の定義は『知性と理性を持っているもの』なんです。それ以外の『動植物』などは『生物』と言っています。あなたのいた世界だと、当てはまるのは『人間』のみです。もちろん『動物』にだって知性はあるだろうけど、本能の方が強いでしょう?」
そう言われるとそうなんだろうな。長年付き合ったペットが何を言いたいか、とかは何と無くわかるけど、それでもはっきり意思疎通が出来るかと言われると無理だし、躾けてもマジモンの本能行動を抑える事は出来んやろからね。
…『人間』だって『理性』で『本能』抑えられんかったやんけ、と思ったどこかの誰か、ケンカなら言い値で買うぜ☆
「で、『地上』の『生き物』についての説明に、僕たち『神』も関係してきます」
『地上』の『生物』や『生き物』は、元々『神』が創ったモノなのだそうな。元の世界の創生神話そのものみたいな感じだなー。
現在、『世界』にいる『生き物』は、『人間』・『亜人』・『竜』。以前は『精霊』もいたらしいが、今はいないみたい。ちょっと見てみたかったな、精霊。
「『人間』と『亜人』ってわざわざ分けるんだね。『亜人』って、ファンタジーでお馴染みの『獣人』とかでしょ?」
「…そう…ですね」
お兄さんは、寂しそうな顔で笑って説明を続けた。
『亜人』という種族(?)には、先程私が言った『獣人族』・『森人族』・『坑小人族』・『魔人族』がいるそうだ。
「『人間』…地上では主に『ヒト族』と呼ばれているのですが、それはもちろん、それ以外の『生き物』も…それぞれの神が創り上げたモノなのです。そして、それぞれの『生き物』は創造主である神の『眷族』という扱いになります。そして…」
それぞれの『眷族』からの『信仰心』が、神々の『力』の源となるのですーーー
創生直後、この世界は4人の女神と、3人の男神、7柱の神によって治められていた。
問題の女神は『人間』を創り、彼は『竜』を。他の3人の女神がそれぞれ『獣人』、『森人』、『坑小人』を創り、残り2人の男神が『精霊』と『魔人』を創造した。
そして、『世界』にそれぞれの『眷族』を降ろした。
『眷族』たちはどの種族も順調に増えていった。特に『人間』は他の種族より寿命が短いが、子をなす力は優れており、あっという間に他種族よりも数を増やした。
長命種である『竜』や『魔人』、それらよりは短いが、『人間』よりは長い他の種族も、時間をかけて子孫を増やしていき、『世界』はとても賑やかになっていった。
神たちはその様を穏やかに、また楽しく眺めた。
最初に『世界』に降ろした『眷族』たちは、神が手ずから創り上げた存在。強い『加護』を持っていた。その『加護』の力は世代ごとに薄まっていく。特に『人間』は数が増えるのが早いためどんどん薄まっていく。他の種族もやはり薄まっていく。
そこで例の女神や亜人種を創った女神たちは、『眷族』の中の一部にまた『加護』を与えた。その『加護』は、その血脈に乗って現れるようになり、以前ほど早く薄まらなくなった。
一方で、長命種代表とでもいえそうな『竜』や、そのままで強い力を持つ『魔人』、他の種族とは違いいわゆる『寿命』と言うモノが曖昧で『亜神』と呼ぶ方がいいんじゃないかという『精霊』は数の増え方が緩やかな分、『加護』の薄まりは小さく、強者として君臨した。
神たちは、それぞれの『眷族』から寄越される、己たちへの『信仰心』を糧に、『世界』が健常に動くように『力』を奮う。『世界』が滞りなく巡れば、それぞれの『眷族』たちはまた、神への『信仰』を深くする。
騒がしく、豊かな時が幾度も流れた。
そんなある時、あの女神が己の『眷族』に、今までとは違う『加護』を与えた。それは、個々人で強弱はあれど、『人間』達のほとんどが持てるようにその女神は『力』を注いだ。
そして…この女神の行動が…『世界』を混乱へと導く事になるーーー
『世界』を『健常に』保つため、『神の力』は『世界』を巡る『魔素』を動かす。たまに天候も操るけど、それは『眷族』の願いを叶えるためでは無く、『魔素』を吐き出す『森』を育てるため。
そんな中、例の女神が『眷族』に与えたのは…『魔素』を身体に貯め込めるようにする『器官』。
これまでも、『人間』と『亜人種』全般は、空気中の『魔素』を使い、小さな『魔法』を使っていた。稀に『精霊』に気に入られた者はその力を借りてそれとは違う魔法を使った。
だが…『魔素』を貯められるようになった『人間』は…今までとは比べ物にならない威力と種類の『魔法』を使いこなせるようになった。
『人間』全てが高威力の『魔法』を使いこなせるわけではなかったが、それでも今まで以上の『力』を得た者たちは多かった。
ましてやその『力』を得たのは…『世界』で一番数の多い『人間』だ。これまで数は多けれど、他種族よりも弱かった。しかし、その『人間』が『力』を得た。
その後は…どうなったか。
ーーー蹂躙が、始まった。
それまでも、『人間』たちは強者を中心に集まり、集合体を作り、同族や他種族と諍いを繰り返していた。
強い力を持った『人間』は、同じように力を持った者を集め、主に他種族に向けて今まで以上の弾圧を行い始めた。その際、今までなら対抗できていたが、それすら出来ず下されていく他種族の民。亜人種のほとんどがあっという間に踏み荒らされた。
そして、長命の強者たちも数の暴力にはなす術もなかった。『竜』は『人間』が容易に近づけない場所へと移動した。『魔人』は他の亜人種と同じ未来は歩みたくないと、残った僅かな人数だけで中央大陸を捨て、荒れた土地である『黒雲大陸』へ居を移した。
そして『精霊』は…更なる『力』を求める『人間』に片っ端から狩られていった。
『人間』は、中央大陸の覇者として君臨する事となったーーー
「……うわー…」
思った以上にこの世界の『ヒト族』の位置付けがえげつなかった…。さすがクソ女神の眷族。
…まぁでも、人間の歴史が戦いの歴史なのは、私が元いた世界と同じだ。ただ、こちらの方が争う『生き物』の種類が多かっただけ。…いや、動植物の絶滅のこと考えたらおんなじか?
「…強者が弱者を従えるのはどんな世界でも同じでしょう。弱肉強食、仕方のない事です。なので、『人間』に追われた我々の眷族を憐れと思いはすれど、致し方ないか、と、どの神も思っていたのです」
うーーん? と首を傾げている私にお兄さんが言う。
「ただ…あの女神は…『世界』ではやってはいけない事をした…」
そう言われるとそうなんだろうな。長年付き合ったペットが何を言いたいか、とかは何と無くわかるけど、それでもはっきり意思疎通が出来るかと言われると無理だし、躾けてもマジモンの本能行動を抑える事は出来んやろからね。
…『人間』だって『理性』で『本能』抑えられんかったやんけ、と思ったどこかの誰か、ケンカなら言い値で買うぜ☆
「で、『地上』の『生き物』についての説明に、僕たち『神』も関係してきます」
『地上』の『生物』や『生き物』は、元々『神』が創ったモノなのだそうな。元の世界の創生神話そのものみたいな感じだなー。
現在、『世界』にいる『生き物』は、『人間』・『亜人』・『竜』。以前は『精霊』もいたらしいが、今はいないみたい。ちょっと見てみたかったな、精霊。
「『人間』と『亜人』ってわざわざ分けるんだね。『亜人』って、ファンタジーでお馴染みの『獣人』とかでしょ?」
「…そう…ですね」
お兄さんは、寂しそうな顔で笑って説明を続けた。
『亜人』という種族(?)には、先程私が言った『獣人族』・『森人族』・『坑小人族』・『魔人族』がいるそうだ。
「『人間』…地上では主に『ヒト族』と呼ばれているのですが、それはもちろん、それ以外の『生き物』も…それぞれの神が創り上げたモノなのです。そして、それぞれの『生き物』は創造主である神の『眷族』という扱いになります。そして…」
それぞれの『眷族』からの『信仰心』が、神々の『力』の源となるのですーーー
創生直後、この世界は4人の女神と、3人の男神、7柱の神によって治められていた。
問題の女神は『人間』を創り、彼は『竜』を。他の3人の女神がそれぞれ『獣人』、『森人』、『坑小人』を創り、残り2人の男神が『精霊』と『魔人』を創造した。
そして、『世界』にそれぞれの『眷族』を降ろした。
『眷族』たちはどの種族も順調に増えていった。特に『人間』は他の種族より寿命が短いが、子をなす力は優れており、あっという間に他種族よりも数を増やした。
長命種である『竜』や『魔人』、それらよりは短いが、『人間』よりは長い他の種族も、時間をかけて子孫を増やしていき、『世界』はとても賑やかになっていった。
神たちはその様を穏やかに、また楽しく眺めた。
最初に『世界』に降ろした『眷族』たちは、神が手ずから創り上げた存在。強い『加護』を持っていた。その『加護』の力は世代ごとに薄まっていく。特に『人間』は数が増えるのが早いためどんどん薄まっていく。他の種族もやはり薄まっていく。
そこで例の女神や亜人種を創った女神たちは、『眷族』の中の一部にまた『加護』を与えた。その『加護』は、その血脈に乗って現れるようになり、以前ほど早く薄まらなくなった。
一方で、長命種代表とでもいえそうな『竜』や、そのままで強い力を持つ『魔人』、他の種族とは違いいわゆる『寿命』と言うモノが曖昧で『亜神』と呼ぶ方がいいんじゃないかという『精霊』は数の増え方が緩やかな分、『加護』の薄まりは小さく、強者として君臨した。
神たちは、それぞれの『眷族』から寄越される、己たちへの『信仰心』を糧に、『世界』が健常に動くように『力』を奮う。『世界』が滞りなく巡れば、それぞれの『眷族』たちはまた、神への『信仰』を深くする。
騒がしく、豊かな時が幾度も流れた。
そんなある時、あの女神が己の『眷族』に、今までとは違う『加護』を与えた。それは、個々人で強弱はあれど、『人間』達のほとんどが持てるようにその女神は『力』を注いだ。
そして…この女神の行動が…『世界』を混乱へと導く事になるーーー
『世界』を『健常に』保つため、『神の力』は『世界』を巡る『魔素』を動かす。たまに天候も操るけど、それは『眷族』の願いを叶えるためでは無く、『魔素』を吐き出す『森』を育てるため。
そんな中、例の女神が『眷族』に与えたのは…『魔素』を身体に貯め込めるようにする『器官』。
これまでも、『人間』と『亜人種』全般は、空気中の『魔素』を使い、小さな『魔法』を使っていた。稀に『精霊』に気に入られた者はその力を借りてそれとは違う魔法を使った。
だが…『魔素』を貯められるようになった『人間』は…今までとは比べ物にならない威力と種類の『魔法』を使いこなせるようになった。
『人間』全てが高威力の『魔法』を使いこなせるわけではなかったが、それでも今まで以上の『力』を得た者たちは多かった。
ましてやその『力』を得たのは…『世界』で一番数の多い『人間』だ。これまで数は多けれど、他種族よりも弱かった。しかし、その『人間』が『力』を得た。
その後は…どうなったか。
ーーー蹂躙が、始まった。
それまでも、『人間』たちは強者を中心に集まり、集合体を作り、同族や他種族と諍いを繰り返していた。
強い力を持った『人間』は、同じように力を持った者を集め、主に他種族に向けて今まで以上の弾圧を行い始めた。その際、今までなら対抗できていたが、それすら出来ず下されていく他種族の民。亜人種のほとんどがあっという間に踏み荒らされた。
そして、長命の強者たちも数の暴力にはなす術もなかった。『竜』は『人間』が容易に近づけない場所へと移動した。『魔人』は他の亜人種と同じ未来は歩みたくないと、残った僅かな人数だけで中央大陸を捨て、荒れた土地である『黒雲大陸』へ居を移した。
そして『精霊』は…更なる『力』を求める『人間』に片っ端から狩られていった。
『人間』は、中央大陸の覇者として君臨する事となったーーー
「……うわー…」
思った以上にこの世界の『ヒト族』の位置付けがえげつなかった…。さすがクソ女神の眷族。
…まぁでも、人間の歴史が戦いの歴史なのは、私が元いた世界と同じだ。ただ、こちらの方が争う『生き物』の種類が多かっただけ。…いや、動植物の絶滅のこと考えたらおんなじか?
「…強者が弱者を従えるのはどんな世界でも同じでしょう。弱肉強食、仕方のない事です。なので、『人間』に追われた我々の眷族を憐れと思いはすれど、致し方ないか、と、どの神も思っていたのです」
うーーん? と首を傾げている私にお兄さんが言う。
「ただ…あの女神は…『世界』ではやってはいけない事をした…」
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