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まだまだ続くよ情報収集
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『神』たちの『力』の源は、『眷族』からの『信仰心』。
では、それが無くなってしまったらーーー?
「…『人間』たちは中央大陸にいた他種族たちをほぼ下しました。僕の眷族たちは体躯の大きさもさることながら、個々の力も強大であったために、全て狩り尽くされる前に『人間』の追っ手が届かない所へと逃げる事が出来ました。それに、『竜』はどの個体も長命ですから、当時まだ僕の『最初の眷属』が生きていたので、『僕と言う創造主』の事を知っていたのです」
お兄さんは当時のことを思い出しているのか、遠い所を見るように視線を動かしながら話す。
「…ですが…他の種族は…」
足元に落ちた視線は、そのまま上がらなかった。
あのクソ女神は、『人間』たちが他種族たちの頂点に立ったその時…本来ならば許されない行為である『地上』へ顕現したのだと言う。
『神』というのは言ってみればエネルギーの塊みたいなモノなので、下手に地上に降りてしまうと魔素が乱れてしまうらしい。そのせいで土地が荒れたり天候がおかしくなることもあるそうだ。そしてその時も後々その場所は荒れたらしい。本当、碌なことせんな、あいつ。
「…ん? あいつ、私の元の世界にも降りたんじゃなかったっけ?」
「あ、あちらの世界はあちらの『神』が管理していますから、『神力』の質が違うのでこちらの『世界』程影響しないんですよ。…全く影響が無いわけじゃないようですが、一応力を抑えた上で、こっそり狙いの魂に『マーキング』するだけなので…こちらへ『召喚』されるまで気づかないそうで…。そんなんだから不名誉な二つ名つけられるんですよ…」
本当に本当に、碌なことせんな、あいつ(2回目)
地上に顕現した駄女神の姿は、多くの『生き物』の目に触れた。
そしてそれは…『生き物』たちの…特に、『亜人種』たちに大きな影響を与えたーーー
「影響と言うか…」
『自分たち』を『創って』くれたのは『女神』である。
その『女神』に常に感謝し、信仰する事を忘れないようにーーー
「…長い時の中で、『最初の眷族』の記憶と記録が残っていたのは…僕の眷族だけでした。そして、僕たち『神』は容易に『地上』へ姿を現す事はできない…」
彼らに残っていたのは、自分たちの『創造主』が『女神』である、と言う知識だけ。
「…嫌な予感しかしない」
「…まぁ、ご想像通りかと…」
中央大陸にいる『生き物』たちの『神』は、あの『女神』となったーーー
「…己の創造した眷族からの『信仰』が届かなくなった『神』たちは…どんどんと『力』を失いました。代わりに、あの女神に『力』が流れた…。そのため…彼の女神は…この『世界』で最も力を持つ神となったんです…」
その後、『最高神』となった女神は、まず『森人』を創った女神を消し去った。創り上げた『眷族』が、己の創り上げた『人間』より美しかったのが腹立たしかったそうだ。
次に、『坑小人』を創った女神を消した。『人間』より器用に色々な物を作り出す…特に、神殿が豪華だったのが許せなかったらしい。
更に、『獣人』を創った女神は、枷をつけ、『神力』を極限まで奪い、『地上』へ堕とした。消すほどじゃないけどそのまま『天上』に居座られるのも嫌だったと。
だから、本っ当ーーに、碌なことせんな、あいつ(3回目)
「いくら力を得たと言っても、『創造主』を覚えている眷族を持つ僕には流石に手を出せませんでした。それは、『魔人』を創った神にもいえたのですが、あいつはあの女神がいる『天上』を嫌い、自ら『亜神』まで力を落とし、自分の眷族を連れて『黒雲大陸』へ降りました。その後しばらくは…眷族たちの『王』として過ごしたようですが…いつの頃からか追えなくなり…今はどうしているのかわかりません…」
お兄さんが今までで一番悲しそうな顔をした。仲良かったのかな…その神と。
「最後に…『精霊』を創った神は…彼も『魔人』を創った神と同じように、今どうしているのかわからないのですが…彼の場合は他のどの神とも違いました」
さっきの説明で少し出たように、元々『精霊』は他の『生き物』とは一線を画すモノだそうだ。まぁ『亜神』に近いって言ってたもんね。そもそも『亜神』が何かよーわからんけど。
「彼の神は、僕たちと違い『眷族』を作る際に『己自身を削って』創り上げたのです」
要は、『自分』を切り分けたカタチだったらしい。そのため、他のどの種族とも違う生態を持った。
まず、確固とした『肉体』を持たない。だが、幽体というわけでも無く、気分次第で『受肉』もできる、何とも言えない不思議生物だったようだ。
そして、『神』に違い存在なので、気に入った相手に『加護』を与えられる。もちろん神ほど強い加護を与えられるわけでは無いが、精霊特有の魔法を与えられたようだ。
「彼の場合、最初の眷族はもちろんのこと、三世代目辺りまで彼との繋がりが強かったため、加護を求めた『人間』に狩られる度に彼自身の力も直接削がれたんです」
『地上』の事にどの神よりも興味を持ち、己がそうそう降りられない存在だと知り、どうしたら強く濃く繋がりを持てるだろうか、と考えた結果の『身の切り売り』で、数は少なくとも誰よりも『地上』と繋がれたが…同時に慈しんだ存在に一番『力』を奪われた。
「…彼は、ある時突然『天上』から消えました…。僕に一言の言葉も無く…」
『力』を削がれて消えてしまったのか、『地上』へ降りたのかすらわからないのだそうだ。
それから、あの女神とたった二人で残された『天上』で…『世界』を好き勝手する女神と『人間』を眺める事しか出来なかったというーーー
では、それが無くなってしまったらーーー?
「…『人間』たちは中央大陸にいた他種族たちをほぼ下しました。僕の眷族たちは体躯の大きさもさることながら、個々の力も強大であったために、全て狩り尽くされる前に『人間』の追っ手が届かない所へと逃げる事が出来ました。それに、『竜』はどの個体も長命ですから、当時まだ僕の『最初の眷属』が生きていたので、『僕と言う創造主』の事を知っていたのです」
お兄さんは当時のことを思い出しているのか、遠い所を見るように視線を動かしながら話す。
「…ですが…他の種族は…」
足元に落ちた視線は、そのまま上がらなかった。
あのクソ女神は、『人間』たちが他種族たちの頂点に立ったその時…本来ならば許されない行為である『地上』へ顕現したのだと言う。
『神』というのは言ってみればエネルギーの塊みたいなモノなので、下手に地上に降りてしまうと魔素が乱れてしまうらしい。そのせいで土地が荒れたり天候がおかしくなることもあるそうだ。そしてその時も後々その場所は荒れたらしい。本当、碌なことせんな、あいつ。
「…ん? あいつ、私の元の世界にも降りたんじゃなかったっけ?」
「あ、あちらの世界はあちらの『神』が管理していますから、『神力』の質が違うのでこちらの『世界』程影響しないんですよ。…全く影響が無いわけじゃないようですが、一応力を抑えた上で、こっそり狙いの魂に『マーキング』するだけなので…こちらへ『召喚』されるまで気づかないそうで…。そんなんだから不名誉な二つ名つけられるんですよ…」
本当に本当に、碌なことせんな、あいつ(2回目)
地上に顕現した駄女神の姿は、多くの『生き物』の目に触れた。
そしてそれは…『生き物』たちの…特に、『亜人種』たちに大きな影響を与えたーーー
「影響と言うか…」
『自分たち』を『創って』くれたのは『女神』である。
その『女神』に常に感謝し、信仰する事を忘れないようにーーー
「…長い時の中で、『最初の眷族』の記憶と記録が残っていたのは…僕の眷族だけでした。そして、僕たち『神』は容易に『地上』へ姿を現す事はできない…」
彼らに残っていたのは、自分たちの『創造主』が『女神』である、と言う知識だけ。
「…嫌な予感しかしない」
「…まぁ、ご想像通りかと…」
中央大陸にいる『生き物』たちの『神』は、あの『女神』となったーーー
「…己の創造した眷族からの『信仰』が届かなくなった『神』たちは…どんどんと『力』を失いました。代わりに、あの女神に『力』が流れた…。そのため…彼の女神は…この『世界』で最も力を持つ神となったんです…」
その後、『最高神』となった女神は、まず『森人』を創った女神を消し去った。創り上げた『眷族』が、己の創り上げた『人間』より美しかったのが腹立たしかったそうだ。
次に、『坑小人』を創った女神を消した。『人間』より器用に色々な物を作り出す…特に、神殿が豪華だったのが許せなかったらしい。
更に、『獣人』を創った女神は、枷をつけ、『神力』を極限まで奪い、『地上』へ堕とした。消すほどじゃないけどそのまま『天上』に居座られるのも嫌だったと。
だから、本っ当ーーに、碌なことせんな、あいつ(3回目)
「いくら力を得たと言っても、『創造主』を覚えている眷族を持つ僕には流石に手を出せませんでした。それは、『魔人』を創った神にもいえたのですが、あいつはあの女神がいる『天上』を嫌い、自ら『亜神』まで力を落とし、自分の眷族を連れて『黒雲大陸』へ降りました。その後しばらくは…眷族たちの『王』として過ごしたようですが…いつの頃からか追えなくなり…今はどうしているのかわかりません…」
お兄さんが今までで一番悲しそうな顔をした。仲良かったのかな…その神と。
「最後に…『精霊』を創った神は…彼も『魔人』を創った神と同じように、今どうしているのかわからないのですが…彼の場合は他のどの神とも違いました」
さっきの説明で少し出たように、元々『精霊』は他の『生き物』とは一線を画すモノだそうだ。まぁ『亜神』に近いって言ってたもんね。そもそも『亜神』が何かよーわからんけど。
「彼の神は、僕たちと違い『眷族』を作る際に『己自身を削って』創り上げたのです」
要は、『自分』を切り分けたカタチだったらしい。そのため、他のどの種族とも違う生態を持った。
まず、確固とした『肉体』を持たない。だが、幽体というわけでも無く、気分次第で『受肉』もできる、何とも言えない不思議生物だったようだ。
そして、『神』に違い存在なので、気に入った相手に『加護』を与えられる。もちろん神ほど強い加護を与えられるわけでは無いが、精霊特有の魔法を与えられたようだ。
「彼の場合、最初の眷族はもちろんのこと、三世代目辺りまで彼との繋がりが強かったため、加護を求めた『人間』に狩られる度に彼自身の力も直接削がれたんです」
『地上』の事にどの神よりも興味を持ち、己がそうそう降りられない存在だと知り、どうしたら強く濃く繋がりを持てるだろうか、と考えた結果の『身の切り売り』で、数は少なくとも誰よりも『地上』と繋がれたが…同時に慈しんだ存在に一番『力』を奪われた。
「…彼は、ある時突然『天上』から消えました…。僕に一言の言葉も無く…」
『力』を削がれて消えてしまったのか、『地上』へ降りたのかすらわからないのだそうだ。
それから、あの女神とたった二人で残された『天上』で…『世界』を好き勝手する女神と『人間』を眺める事しか出来なかったというーーー
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