働きたくないので断罪ENDを希望します

雨夜りょう

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7:お風呂!入りたいの!!

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「あー、泥酔するほど飲むなんて、いつぶりだっただろ」

 始発から終電まで働いていた真里亜に、泥酔できる時間などない。死ぬまで社畜だったOLが、やっと泥酔できたのだと思うと、感涙ものである。
 時間はどうやら朝を大幅に過ぎたころ。やっと目を覚ましたマリアンヌは、そう言えば風呂に入り損ねていたことを思い出した。

「お風呂入りたーいー」

 簡易風呂を組み立てると、魔法で水を入れ始める。ちょろちょろと勢いのない水が風呂桶を溜めていった。

「そう言えば、マリアンヌにこれだけの量の水を温められないよね?」

 マリアンヌの魔力では、種火を長時間出すか、高火力を一瞬出すくらいしか出来ない。せいぜい、やかんで湯を沸かすのが精一杯だろう。
 もっと言えば、水を浴槽に張り終えるのがなんとかだ。そうなると、沸かすための道具が必要になる。

「よし、なら燃料式の発電機と、超大容量ポータブル電源を購入! ダイエットのために足踏み式の充電器も買っとくか。それもろもろの燃料も買ってー、肝心の湯沸かし器を忘れちゃいけませんよっと」

 水の入った浴槽にポータブル湯沸かし器を入れたマリアンヌは、広めの大型タライを用意する。プラスチック製のそれに排水用の穴を作り、排水口だけがむき出しになった元トイレの上に乗せる。このタライの上で体を洗う事で、湯船と完全に独立させ汚さない仕組みだ。
 ユニットバスが悪いわけではないが、やっぱり日本人としては、ゆっくりと湯船につかり、浴槽の淵に両手を置いて『あ゛~極楽極楽ぅ』って言うまでがセットだろうと、この形式を採用するに至った。

「んじゃ、湧き上がるまで味噌汁でも飲んで待ってますかー。入れるのは夕方かなぁ」

 今日は簡単にレトルトで代用だ、凝った味噌汁を作る元気はない。

「あー、染みるー」

 味噌汁を呑みながら漫画本を読んでいたマリアンヌの耳に、設定温度まで湧いたことを通知するアラーム音が鳴る。
 瞬時に衝立の裏へ移動したマリアンヌは、意気揚々と浴槽へ足を入れた。
 湯気と熱気が部屋に充満し、まるでサウナの中にいるかのようだ。風呂桶から立ち上る熱気が、すでにじめじめしていた空気をさらに重くする。
 その空気を振り払うように首まですっぽりと湯につかったマリアンヌは、久しぶりの入浴に、思わず渋い声を出した。

「あ゛~、気持ち~。久しぶりのお風呂最高!」

 その後、マリアンヌは、お高いシャンプーとトリートメント、ヘアパックまでして綺麗なうるつや髪を手に入れた。
 この世界よりも遥かに発展している商品のおかげで、劇的に髪質が改善されたのだ。同様に肌質も大幅に改善が見られ、マリアンヌは牢屋に居ながらにして、この国の誰よりも優れた容姿を手に入れたのだった。

「あー、すっきりしたー。風呂上りはやっぱりコーヒー牛乳にかぎるよね!」

 タオルドライもそこそこに、マリアンヌは用意したコーヒー牛乳を手に一気飲みした。

「ぷへぇ、うまー」

「ま、マリアンヌ嬢……?」

 淑女らしからぬ声を出したマリアンヌに声がかかる。視線を移すと、驚愕した様子のアランが立っていた。

「おや、アランさんじゃないですか。今日もお仕事ですか」

 ご苦労な事ですと笑みを浮かべると、全力で顔を背けられてしまう。

「ど、どうしてあんた濡れ髪なんだ」

「え? お風呂に入ったからですよ?」

 何を当たり前のことをとマリアンヌは首を傾げる。結婚するまで深い仲になることもなく、ただひたすら純真なお付き合いをするような世界では、女性の濡れ髪は、まさに目の毒だったのだ。

「あ、そうだ! アイスを食べなきゃ! 換気が悪いからなのか、湿気が多いからなのか、暑いんだよね。ここ。アランさん、バニラとチョコとストロベリーどれが良いですか?」

 話をアイスへと移したマリアンヌは、嬉々としてウィンドウを指で滑らせる。

「いや、なんの味か分からんのだが」

「んー? なるほど、じゃあ全部食べましょうね。二人で半分こすれば食べきれますよ」

 そう言って用意したアイスを半分して皿に移してアランに手渡す。

「あーん……んー、おいひぃ! 風呂上がりのアイス最高!」

 ぺろりと食べ終えたマリアンヌは、今日はシーフード味でとカップ麺をアランの分まで用意し、綺麗に腹に収めた後「寝る」とだけ残して、ベッドへと潜り込んでしまった。
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