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次の日も雨が降っていた。案の定熱が出てしまったが、その日の夜もセシリアはこっそりと出かけた。
そのような事を行っていれば、体調が良くならないのは当然の事だ。それでもセシリアは花畑へと出かけるのを止めようとはしなかった。
「はぁ……もう、慣れたものね……きっと、庭師、に……なれるわ」
疲れ果てたセシリアは、倒れるようにして地面に転がる。喘鳴が、風音よりも大きく夜に響いた。
(ああ、疲れた。こんな所で眠ってはいけないのだけれど、ちょっと……だけ)
重たくなる瞼に逆らえず、セシリアは目を閉じる。
次に目を覚ました時、セシリアは自室のベッドの上に居た。
「……私?」
「セシリア! 良かった、目を覚ましたのね」
母親がセシリアへと駆け寄り、メイドへ医者を呼ぶように指示をして、瞳に涙を浮かべてセシリアの手を握ってくる。
「お母様?」
「丸五日も意識が無かったのよ、ああ……本当に良かった」
なるほど、どおりで母親が泣いている筈だと納得したと同時に、日課にしていた花植えを五日もおろそかにしていることに愕然とした。
そのことに呆然としていると、扉から父と医者が入ってくる。
「セシリア! 早く状態を診てくれ!」
指示された医者は速やかにセシリアを診察する。肺雑はあるものの重篤ではなく、安静にして薬を服用すれば良くなるだろうとの診断だった。
安堵の息を漏らす両親に申し訳なさを感じながら、今日こそは花畑へ行かなければとセシリアは思う。
「セシリア、今日はゆっくり休みなさい」
「はい、お父様」
疲れから深い眠りについたセシリアが目覚めたのは、彎月が真上に浮かぶ頃だった。
「お嬢様? どうかされましたか」
足音を忍ばせて部屋の扉を開いたセシリアは、びくりと肩を跳ねさせる。普段は居ない筈の使用人が控えていたからだ。
「え、えっと……水、そう水が欲しいのよ。喉が渇いてしまって」
「ああ、畏まりました。ご用意致します」
そう言って使用人はその場を後にする。そのまま部屋を立ち去るわけにはいかないと、セシリアはテラスへと足を進める。
どうにか外に出られないかと下を覗き見るも、普段は門扉の近くに居る兵士が今日は邸の近くをうろついている。このままでは出かけられないではないか。
「な、なんで?」
独り言ちる声をかき消すようにノックの音がする。
「は、入ってちょうだい」
上ずる声を隠して平静を装うと、セシリアはコップを受け取り使用人に出て行くように伝える。その日は何度出かけようとしても使用人達が近くにいてどうにも出かけられなかった。
そのような事を行っていれば、体調が良くならないのは当然の事だ。それでもセシリアは花畑へと出かけるのを止めようとはしなかった。
「はぁ……もう、慣れたものね……きっと、庭師、に……なれるわ」
疲れ果てたセシリアは、倒れるようにして地面に転がる。喘鳴が、風音よりも大きく夜に響いた。
(ああ、疲れた。こんな所で眠ってはいけないのだけれど、ちょっと……だけ)
重たくなる瞼に逆らえず、セシリアは目を閉じる。
次に目を覚ました時、セシリアは自室のベッドの上に居た。
「……私?」
「セシリア! 良かった、目を覚ましたのね」
母親がセシリアへと駆け寄り、メイドへ医者を呼ぶように指示をして、瞳に涙を浮かべてセシリアの手を握ってくる。
「お母様?」
「丸五日も意識が無かったのよ、ああ……本当に良かった」
なるほど、どおりで母親が泣いている筈だと納得したと同時に、日課にしていた花植えを五日もおろそかにしていることに愕然とした。
そのことに呆然としていると、扉から父と医者が入ってくる。
「セシリア! 早く状態を診てくれ!」
指示された医者は速やかにセシリアを診察する。肺雑はあるものの重篤ではなく、安静にして薬を服用すれば良くなるだろうとの診断だった。
安堵の息を漏らす両親に申し訳なさを感じながら、今日こそは花畑へ行かなければとセシリアは思う。
「セシリア、今日はゆっくり休みなさい」
「はい、お父様」
疲れから深い眠りについたセシリアが目覚めたのは、彎月が真上に浮かぶ頃だった。
「お嬢様? どうかされましたか」
足音を忍ばせて部屋の扉を開いたセシリアは、びくりと肩を跳ねさせる。普段は居ない筈の使用人が控えていたからだ。
「え、えっと……水、そう水が欲しいのよ。喉が渇いてしまって」
「ああ、畏まりました。ご用意致します」
そう言って使用人はその場を後にする。そのまま部屋を立ち去るわけにはいかないと、セシリアはテラスへと足を進める。
どうにか外に出られないかと下を覗き見るも、普段は門扉の近くに居る兵士が今日は邸の近くをうろついている。このままでは出かけられないではないか。
「な、なんで?」
独り言ちる声をかき消すようにノックの音がする。
「は、入ってちょうだい」
上ずる声を隠して平静を装うと、セシリアはコップを受け取り使用人に出て行くように伝える。その日は何度出かけようとしても使用人達が近くにいてどうにも出かけられなかった。
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