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別れと再会
リーベガルドはどこだ
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王の居住区域は当然広い。執務室、寝室、客室、食堂、衣裳室、そして控室。他にも用途別に様々な部屋が用意されている。
「すごい数の部屋だろう?」
「それにしても、少し多すぎやしないか?」
王の居住区域の廊下には部屋に繋がる扉が所狭しと並んでいた。
「私たちもそう思った。まるで、身を隠す場所を作り出しているようだ。」
「このような未来を、想像していたというのか。」
「もしかしたらな。」
「其方達はもう全て確認し終わったと言っていたな。」
「あぁ。どの部屋も見たはずだが。」
城の外では既に日が沈もうとしていた。
このまま探し始めても、すぐに夜になってしまうか。
「もう日も落ちる。明日、ここから探すことにしよう。」
「誰か連れて来るか?」
「いや。私だけでいい。」
ジュビエールの提案も理解はできる。だが、リーベガルドを討つのは私の役目だ。
「私も明日も来るからな!」
「来るのか?!」
「もちろんだ!」
「はぁ。其方の部下にはなりたくないな。」
どこぞの隊と突然合流させられた部下達に同情する。
翌日は朝から、王の居住区域にある部屋を端から調べていった。ジュビエール達はやはり部屋の中を見渡しただけで、壁掛けの裏など気にもしなかったそうだ。
下働きの通路など、兵士が知るわけもない。
ジュビエールに探す場所を教え、二人で手分けをして探した。途中いくつか通路の入り口を見つけたが、どれも食堂や広間に繋がるだけのもので、中に人の隠れる場所はなかった。
城で探せる期間のうち、二日間がこうして無駄に過ぎ去っていく。
「今日で最後か。」
三日目の朝、王の執務室の部屋の扉の前でそう呟いた。
「あぁ。やっと最後の部屋だ。」
私の口にした『最後』を違う意味で捉えたか。まぁ、どちらでも良い。
姫との約束の為には、明日の朝にはコーゼを発たなければならない。王を討つことよりも、優先すべきは姫との約束だ。
王の執務室の中を丁寧に見て回る。執務机の後ろに設置されている、巨大な本棚を見ている時であった。
ガタン!本棚が回転し、更に奥に部屋を見つける。
「これは!」
「王族に伝わる書物のようだ。」
壁一面に広がったのは無数の本。一つ手に取ってみれば、コーゼ国の歴史や王族の血統図。間違いなく秘文書ばかりだ。
「アイシュタルト、この奥に通路があるぞ。」
奥の部屋を私と一緒になって調べていたジュビエールが、隠し通路を見つけた。
これは下働きの使うものではないな。王族しか立ち入れぬ部屋にある通路。リーベガルドはこの奥か。
今すぐたどり着いてやる。待っていろよ。
ようやく思いを遂げられる、その期待で口角が上がる。抑え切れぬ殺気が漏れた。
「アイシュタルト、生かして捕らえろよ!」
通路の中を足早に進んでいく私に、ジュビエールが後ろから声をかけた。
そんなこと、どうだって良い。
この手で。
リーベガルドを。
通路の奥の突き当たりに人が一人通れるだけの小さい扉を見つける。
見つけた。隠し部屋だ。
このような場所、さほど大きい部屋だとは思わぬが、何人で隠れておる?ジュビエールと二人でなんとかなるだろうか。
後ろから響いてくるのはジュビエールの足音だ。
『生かして捕らえよ』なんとも厄介な命令だな。こちらはたった二人、加減などできるわけもなかろう。
そんなもの、する必要もない。
私を突き動かすのは姫に対する仕打ちへの怒り。そして私に素直になることを教えてくれたロイドの頼み。
顔も見たことのない王の命令など、きけるわけもないな。
扉の前で葛藤していた私に、ジュビエールが追いついてきた。
「待ってたのか?」
「あぁ。部屋の中に何人いるかもわからぬからな、人数は多い方が良い。いけるか?」
「もちろんだ。」
姫の痛み、私が借りた恩、どちらもここで返させてもらう。
私は小さい扉を思い切り開け放った。
「すごい数の部屋だろう?」
「それにしても、少し多すぎやしないか?」
王の居住区域の廊下には部屋に繋がる扉が所狭しと並んでいた。
「私たちもそう思った。まるで、身を隠す場所を作り出しているようだ。」
「このような未来を、想像していたというのか。」
「もしかしたらな。」
「其方達はもう全て確認し終わったと言っていたな。」
「あぁ。どの部屋も見たはずだが。」
城の外では既に日が沈もうとしていた。
このまま探し始めても、すぐに夜になってしまうか。
「もう日も落ちる。明日、ここから探すことにしよう。」
「誰か連れて来るか?」
「いや。私だけでいい。」
ジュビエールの提案も理解はできる。だが、リーベガルドを討つのは私の役目だ。
「私も明日も来るからな!」
「来るのか?!」
「もちろんだ!」
「はぁ。其方の部下にはなりたくないな。」
どこぞの隊と突然合流させられた部下達に同情する。
翌日は朝から、王の居住区域にある部屋を端から調べていった。ジュビエール達はやはり部屋の中を見渡しただけで、壁掛けの裏など気にもしなかったそうだ。
下働きの通路など、兵士が知るわけもない。
ジュビエールに探す場所を教え、二人で手分けをして探した。途中いくつか通路の入り口を見つけたが、どれも食堂や広間に繋がるだけのもので、中に人の隠れる場所はなかった。
城で探せる期間のうち、二日間がこうして無駄に過ぎ去っていく。
「今日で最後か。」
三日目の朝、王の執務室の部屋の扉の前でそう呟いた。
「あぁ。やっと最後の部屋だ。」
私の口にした『最後』を違う意味で捉えたか。まぁ、どちらでも良い。
姫との約束の為には、明日の朝にはコーゼを発たなければならない。王を討つことよりも、優先すべきは姫との約束だ。
王の執務室の中を丁寧に見て回る。執務机の後ろに設置されている、巨大な本棚を見ている時であった。
ガタン!本棚が回転し、更に奥に部屋を見つける。
「これは!」
「王族に伝わる書物のようだ。」
壁一面に広がったのは無数の本。一つ手に取ってみれば、コーゼ国の歴史や王族の血統図。間違いなく秘文書ばかりだ。
「アイシュタルト、この奥に通路があるぞ。」
奥の部屋を私と一緒になって調べていたジュビエールが、隠し通路を見つけた。
これは下働きの使うものではないな。王族しか立ち入れぬ部屋にある通路。リーベガルドはこの奥か。
今すぐたどり着いてやる。待っていろよ。
ようやく思いを遂げられる、その期待で口角が上がる。抑え切れぬ殺気が漏れた。
「アイシュタルト、生かして捕らえろよ!」
通路の中を足早に進んでいく私に、ジュビエールが後ろから声をかけた。
そんなこと、どうだって良い。
この手で。
リーベガルドを。
通路の奥の突き当たりに人が一人通れるだけの小さい扉を見つける。
見つけた。隠し部屋だ。
このような場所、さほど大きい部屋だとは思わぬが、何人で隠れておる?ジュビエールと二人でなんとかなるだろうか。
後ろから響いてくるのはジュビエールの足音だ。
『生かして捕らえよ』なんとも厄介な命令だな。こちらはたった二人、加減などできるわけもなかろう。
そんなもの、する必要もない。
私を突き動かすのは姫に対する仕打ちへの怒り。そして私に素直になることを教えてくれたロイドの頼み。
顔も見たことのない王の命令など、きけるわけもないな。
扉の前で葛藤していた私に、ジュビエールが追いついてきた。
「待ってたのか?」
「あぁ。部屋の中に何人いるかもわからぬからな、人数は多い方が良い。いけるか?」
「もちろんだ。」
姫の痛み、私が借りた恩、どちらもここで返させてもらう。
私は小さい扉を思い切り開け放った。
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