進水式
あの子は駆けている
大きくカーブした湾岸道路を
潮の香りとカモメたち
荒い息づかいと胸の高鳴り
やがて大きな客船が見えてくる
あの子の母親は
あの子と父親を置いて
ほかの男と街を出ていった
あの子の父親はこの街の造船所で
重機に潰されて死んでしまった
きょうは父親が遺した船の進水式
だからあの子は駆けていく
父親が遺した夢をつかもうとして
空と海の向こうに夢をつかもうとして
完結しました。
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