世界樹の麓に

関谷俊博

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理沙

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弱ったな…。美咲と理沙をつれて、うちへとむかいながら、僕は思った。きっと理沙は、高杉さんの一番きらいなタイプだ。
たしかに理沙のまわりには、いつも人があつまる。クラスの人気者…。それが理沙の立ち位置だ。
あたまの回転もはやい。勉強も体育もよくできる。それを鼻にもかけるようすもなく冗談もいうから、男子にもうけがいい。
だけど、それだけだ。
理沙は、風見鶏のように、まわりの空気をよんで、クルクルとまわっているだけなのだ。中身のない風見鶏…それが理沙だった。
そのことを高杉さんは、すぐ見ぬくにちがいない。それに理沙は、あいてとの距離を縮めようとして、わざとなれなれしい口をきくこともあるのだ。それもすべて理沙なりの計算なのだが…。高杉さんがきを悪くしないかと、僕は心配だった。
思ったとおりだった。高杉さんがマンションのドアをあけたとたんに、理沙はさけんだ。
「すごい! 天才画家の高杉先生だ!」
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