可哀想な君に

未知 道

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番外編

篠崎 三葉『兎の皮を被ったゴリラ』 3

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 はぁ……と、熱い息が口から漏れてしまう。
 焦れったく、スリスリと膨らみを撫でられ。もっと、強い刺激が欲しいんだと。身体がガクガクと震えた。

 そんな俺を見ながら、奈央子はクスクスと面白そうに笑う。

「……っ、くる……しい……」

 俺がそう言ってから、漸く。俺の窮屈になったズボンと下穿きを、奈央子が脱がせる。

 奈央子が立ち上がり。そのスカートからショーツを、するする下ろし。可愛らしい薄ピンク色のショーツが、顕になった。

 ぼんやりとした頭で、ただそれを視界に入れる。

「もっともっと、私だけ見て……」

 俺の強ばりに、柔らかな秘唇が擦り付けられ。クチックチッという濡れた音が耳に入り、余計に熱が込み上がってくる。

「三葉、大好き」

 ――ぐぷぷぷぷッ! 張り詰めたモノが、熱い媚肉に包まれていく。

「はぁ、ぁあ……っ!」

 頭のなかは、凄まじい“快楽”で占められる。

「……っ、ぅ"う"っ……!」

 ――けど、奈央子の苦しそうな声が聞こえ、ハッとした。
 奈央子が、痛そうに顔を歪めている。

 こんなことをするくらいだ。だから、こういった経験があると思っていた。
 奈央子を見ていると、まったく経験が無いのだと分かった。

「……な、お……こっ! もう、止め……ろって!」

 奈央子は、満足に解しもせず。俺のモノを、己の膣に押し込むようにしている。
 その奈央子の身体が心配になり。押し退けようとしたが、身体に力が上手く入らない――。

 だが、俺が逃げようとしたのが分かったのだろう。奈央子は叩き付けるかのように、俺の全ての強ばりを、その身に埋め込んだ。

「……ふっ、くぅっ……!」

 キュッ、キュゥッと、ナカが締まり。快楽がじわりじわりと、再び頭のなかへと侵入してきて。身体がふるりと震えた。

「……絶対っ、逃がさない! 私がずっとずっと、三葉を見ていた。他の女なんかに、渡さない! だから、今までだって。ずっと、邪魔してやったんだから! 三葉は、私を選ばなきゃいけないの! 私としか、こんなことだってさせない!」

(ああ、だからか……)

 今まで、少なくはない女性と付き合ってきた。なのに、いつもデートする前に振られていたのだ。しかも、その中には、向こうから告白してきた者だっていたのにだ。

 あまりに短時間で振られるものだから、すぐにデートをしようとしたのが悪かったのかと思い。会社内などで仲良くしていても、結局また振られる。
 だから、最近は疲れたのもあり。告白されても断るようにしていた。

「三葉がどんな所に逃げても、すぐ見つけ出すから……。何度だって……私が孕むまで同じことを、何度だってするんだから!」
「…………ふ、んんっ……!」

 口を重ねられ、強く腰を叩き付けられる。

 奈央子に言われた言葉に対し。嫌だとか、気持ち悪いとかは一切感じなかった。
 ただ、『怖いくらいに、愛されてるな』と感じた。

 なんで、俺の周囲には……奏多や父さん、奈央子のような、歪んだ愛を向けてくる奴しかいないのだと、苦い気持ちになる。

 搾り取るようなナカの動きに、もう耐えきれなくなり。奈央子に口を重ねられたまま、低く呻いた。

 ――お腹に溜まったものが、外に溢れ出し。腰が震わせながら、継続的に欲を吐き出していく。

 俺が射精していることに気付いたのだろう。奈央子は腰をググッと隙間なく、強く押し付けてきた。


「三葉、見て……? こんな、いっぱい。三葉のが、私の中に入ったよ」

 気付いたら。奈央子が、俺から離れていて。スカートを上げ、とろとろと白い液を溢れ出す場所を見せてくる。それに混じるよう、赤い色もあった。

 未踏の場所に。初めて、俺が入った証。

 そんなものを見せられ、カッと身体が熱くなってしまう。

「ふふふ。三葉、硬くなったよ……。ここに、また入れたい?」
「……奈央子、話をしよう」

 時間が経ったからか、言葉は普通に出せるようになっている。
 だから、奈央子と……ちゃんと話をしなければと思ったのだ。

 奈央子は、スッと目を細め。俺のを再び、バチュッと全て埋め込んだ。
 ナカに吐き出した精によって、滑りが良くなり。先程とは比べ物にならないくらいに、激しく腰を上下に動かしている。

「はぁっ、くぅ……んん! 奈央、子。待ってって……っ!」
「駄目、駄目、駄目っ! 三葉、もっと中に注いで! 早く、早くっ!」

 薬の影響か、激しさによるものか。直ぐに、精を奈央子の膣内へと吐き出す――。

「……はぁ、はぁ! ……んっ! ま、待て、奈央子!」

 奈央子が、また腰を動かす。

(これ、エンドレスじゃねぇか! し、死ぬ……!)

「……おっ、俺も、奈央子を気になってたんだよ! ずっと!」
「え?」

 奈央子の動きがピタリと停止し、ホッとする。

「…………嘘。だって、三葉。私じゃなくて、いつも他の女を選んだ」

 奈央子の顔に、怒りがブワリ浮かぶ。

「それは……。いま思うと、相手に酷いことしたなって、すげぇ後悔してるけどさ……。お前に、似ているとこがある女性ばっかを選んでた」

 奈央子は思い出すように、斜め下を見てから。パッと俺に視線を戻す。

「な、なんで? なんで、私に……告白してくれなかったの?」
「……出来ねぇよ。だって、もし断られたら気まずくなる。それでお前が、いつもの庭園に来てくれなくなるかもって思ったら……出来なかった。それに、人間として強い奈央子に、俺のように弱い奴は相応しくないとも思ってた。だから、俺でも守ってあげられるような女性ばかりを選んでいたんだ……」

 俺の話を、黙って聞いていた奈央子が。話が終わった途端、ギュウと俺を抱き締めてきた。

「なら、私が守るから! 三葉は、私がずっと守ってあげる!」

 奈央子は俺の胸元に頬を寄せ、嬉そうな明るい声で言う。上目遣いしているのが、あざといが……めちゃくちゃ可愛い。

「大丈夫。これから、ちゃんと強くなるよ。奈央子のためにもな……」

 自然な笑みが顔に浮かぶ――。
 今までの、意識したものじゃない。心が満たされ、幸せだから浮かぶ笑顔。

 奈央子は、目を見開いた後。頬を染め、うっとりと、とろけるように笑った。

 その奈央子の顔に、いつの間にか動けるようになっていた手を伸ばす。

 奈央子の顔が近付き、唇を重ねられる間際。ふわふわとした感触が、腕に当たった。
 見ると――マシロちゃんが俺の腕に乗り、奈央子の頬に、鼻をチョンチョンとさせていた。

 ……俺の代わりに、キスしてくれたみたいだ。

「ああっ! マシロちゃんのご飯の時間っ! マシロちゃん、ごめんね」

 奈央子が慌てて、俺から身体を離し。バタバタとキッチンに駆けて行く。

(……え? あいつ、身体頑丈すぎだろ。あんなして、よく走れるな。やっぱり、ゴリラじゃね?)

 そういえば……。奈央子は、兎の耳のついたふわふわなパーカーを、行為中もずっと着ていた。

(兎の皮を被ったゴリラだな、あれは……)

 見た目は、確かに兎のように愛らしく、守ってあげたくなるように可憐だ。
 けど、実際その身体は……。俺が思っていた以上に、ゴリラのように逞しいものだった。


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