可哀想な君に

未知 道

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番外編

白井 真『奏多よりも最強な存在』

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「真くん。今から、両親に会いに行こう」
「……ん? 誰の?」
「僕の父さん、母さん」
「…………へぁっ!?」

 頭の中に、『奏多は、人の子だったのか!?』といった、普通に聞いたなら酷いことが浮かぶ。
 けど、奏多を知っている人なら頭を縦に振るはずだ。こんな人間離れした奏多が、人間として生まれていて、親しみを込めて『父さん、母さん』と言うなんて、と。

「もう、真くんの両親とおばあさんには挨拶したから、次は真くんの番」
「え? 挨拶なんて……いつした?」

 奏多とこういった関係になったのは、両親は勿論のことだが……おばあちゃんが亡くなってからなのだ。
 だから、訝しげに奏多を見てしまう。

「生前には、会ってないよ。、ね。次からは一緒に、顔見せに行こう」
「――……あっ! まさか……」

 両親やおばあちゃんのお墓。とても綺麗にされていた。蒼井が墓石を掃除してくれていたのかと、勝手に思っていたが――。

「奏多、墓石……綺麗に掃除してくれていた?」
「当たり前でしょ。真くんを、この世に誕生させてくれた存在だよ? 大事にしないと」

 感動や嬉しさというものが、ジィ~ンと胸に沁み渡る。
 普段は自己中な奏多だけど。たまに、こういう人情に厚いことを、サラッとやってくれる。
 だから、さっき『奏多は、人の子だったのか!?』と思っていたことを否定し。『奏多は、ちゃんと人の子だ』という考えに改めた。



 ♢◆♢


「あらあら~。こんな可愛らしい子が、奏多の相手なのねぇ~」
「ほんとうだなぁ、いい子そうじゃないか~」
「…………あ、えっと。白井 真です。よろしくお願いします」
「ふふふ、畏まらなくて、いいわよぉ~」
「ははは、そうだぞ~」
「父さん、母さん。今日、泊まるけど。いいよね?」
「いいわよぉ~」
「ゆっくりしていけ~」

 ポカーンと、ふわふわ~とした奏多の両親を眺める。

(え、え? もっと、こう……。人間離れした、怖い感じのを想像してたから。頭が追いつかねぇ……)

 確か……。奏多の女版な母親の方が、篠崎家の血筋らしいが(父親は入婿だという)。ふんわりふんわりしていて……すぐ誰かに騙されてしまいそうな人に見える。これで、よく今まで篠崎家でやっていけたなと、驚きしかない。

 それに、男の俺が奏多の相手で全く気にしていないのも、重ねて驚いてしまった。
 多分、奏多が事前に伝えていたのもあるだろうが……。それでも、奏多は一人っ子だと言っていたのだ。
 親は、孫を見たいものだとよく聞くが。見たところ、一切気にしているようには感じない。

「今日は、お赤飯ねぇ」
「お祝いだから、鯛も用意しようか~」
「ほどほどにしてね。大量すぎても、食べきれないから」
「大丈夫よ~」
「明日、食べればいいからなぁ」

 ふわふわ~と、簡単に騙されてしまいそうな奏多の両親と。飄々として読めない、奏多の雰囲気が混ざり合い。なんだか、摩訶不思議な光景に映る。だから、本当に親子なのか? と疑ってしまった。

 いや、もしかしたら……。人から騙されそうな、両親のため。奏多は努力して、処世術を身につけたのかもしれない。

(そうやって、人の考えは読め、人からは読まれない性格になってしまったのか……?)

 もう、奏多のことを『両親を守る、健気な子』のようにしか見えなくなった。

 奏多を、熱い眼差しで見つめていると。奏多とパチリと目が合い、その目の中に欲が滲むのが確認出来た。

(ま、まさか……。いや、此処は奏多の実家だ。流石に、自分の両親がいるひとつ屋根の下で、そんな暴挙を働かないだろ。うん、絶対そうだ)



 ♢◆♢


「か、奏多っ! 此処では、やめ……っ、ふぅんっ! ぁあ……!」
「なに言ってるの? 真くんが、僕を誘ったんだよ? 頬を赤らめ潤んだ目で、僕をずっと誘ってたんだから」

 後ろの蕾に指をさしこまれたが、滑りが良くなかったのか。奏多はそこに顔を寄せ、ペチャペチャペチャと舌で舐めてくる。

「あぁっ、そんなとこ、舐めないで……!」

 奏多を退かすため、髪の毛を掴もうと手を乗せたが。猫の毛のように柔らかく、サラサラとしていて、ずっと触れていたくなるくらいの触り心地だ。
 以前、この髪を強く引っ張ってしまったことがあったが。今は、引っ張ることで、もし痛ませてしまったら嫌だと思い。力を込められずに、撫でるような形となってしまった。
 そうしているうちに。奏多は、唾液を後ろの蕾に垂らし。指を激しく出し入れし始めた。

「……っ! 家に! 俺たちの家に、帰ってから……奏多といっぱいするから……! 今は、駄目だって! 奏多の両親が来たら、どうすんだよ……っ!」

 脚を大きく広げられ。ひくつく穴に、奏多の硬いモノの先端が、ぬぷぷ……と入り込む。

「大丈夫。僕の両親だって、そこまで馬鹿じゃ――」
「なんか、喧嘩してる~? 駄目だよ仲良くしな……――ああ、仲良くしてたんだねぇ。良かった、良かった~」
「あらあら、若いっていいわねぇ~。元気で~。ふふふ」

 そして、奏多の父親と母親は「頑張ってね~」と言って、手を振り。何事もなかったように、すぐに去って行った。

「……奏多。ほら、来たじゃん」
「はぁ……。うん、止めよう。萎えちゃったし」

 奏多は、ゲンナリとしたように頭を抱えている。

(奏多に、こんなダメージを与えるなんて……。ある意味、奏多の両親が一番最強なのかもしれないな)


 ――奏多の両親が、満面な笑みで出してくれたご馳走は、大量なおせち料理のようなものだった。


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