白のマシュー

あやさわえりこ

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帰らない両親

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「ぼくはゆいちゃんの真似をしてたんだよ」笑い混じりの明るい声が高らかに響く。
「ほらほら、遊んでいたらもう三分だよ」
 びっくりしてあたしは時計に顔を近づけた。ほんとだ、もう三回目の針が「十二」を過ぎようとしている。マシューが明るい声で笑った。口から黄色くてキラキラしたものが舞い上がるよう。そのキラキラしたものを浴びたあたしも、自然と笑い出している。
 あたしはやかんのふたをとって、やかんの上に戻しておいた。カップラーメンのふたが自動で開く。隙間から湯気と一緒に、そこからはあたしがこの世で三番目に待っていたものの匂いが漂ってきた。急に食欲をそそられて、あたしは、ふたを全部開けた。スープの、ラーメンの、とってもおいしそうな匂いが、鼻に、口に入ってきた。思いっきり匂いを吸いこんだ。やっぱりあたしはお腹が空いていたんだなと思う、お腹がグーと大きな音を立てた。早くそれをくれと叫んでいるようだった。
 一時の給食以来、およそ十時間ぶりのごはん。
 カップラーメンのめんは、あっというまになくなっていった。あたしは口いっぱいにほおばり、とにかくすすり、よく噛む前にのどに流しこんだ。まだスープは熱々。それも関係ない。舌が熱さを感じるより前に、めんにからんだスープのしょうゆ味がふわっと広がった。ズルズルッと、お父さんと同じような豪快な食べ方。お母さんはお父さんに「テーブルに飛び散るでしょ」と言って笑っていた。あたしもお母さんに言われちゃうかな。
「ずいぶんお腹空いてたんだね」
 あっと気がついた。あたしの右肩ぐらいに、マシューがいた。マシューは笑っている。
「あんまりおいしそうに食べるから」
 カップラーメンの熱さのせいなのかな、ちょっと体がほてる。頬が熱くなる。
「マシューも食べる?」
 そういう頃には、もうめんはなくなっていた。あたしは具の残ったスープを飲んでいた。
「ぼくはいいよ。お腹空いてないからさ」
 ……マシューって何を食べるんだろう?
 まだ熱さの残ったスープは全部飲み干されてしまった。何もなくなったカップを水ですすぎ、ごみ箱にちゃんと捨てておいた。「ついでにはしも水ですすいだら?」マシューにそう言われて勢いの強いシンクの水ですすいだ。お母さんは洗った食器をしばらく置いたままにして、水気をとるらしい。あたしもはしを置いたままにした。
 しばらく使わないからやかんに残った水は全部流しておこう、マシューに言われて気がついた。いつもなら食べっぱなしで片付けはお母さんがやってくれていた。今日は自分でやらなきゃいけない。食べたら後片付けもしないといけないということがよくわかった。
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