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束の間の安息
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血の匂いが混ざる風に乗ってきた爆発音が耳に響く。
何処かで大規模な魔法合戦が起きているのだろうかと、兵士の手当てをしながら、衛生救護班の天界兵は思った。
「大きな傷は回復魔法で塞ぎました…無理はしないでくださいね」
無理をしているのは自分ではないかと心の叫びに耳を塞ぎながら、何度目になるか分からない慈しみの言葉を紡ぐ。
「ありがとう…」
兵士の礼に頷き次の治療に向かうため立ち上がろうとした瞬間、強烈な眩暈に襲われ体がふらつく。
治療をした兵士が支えてくれたため転ぶことは免れたものの収まる気配はなく、幼さの残る顔を歪ませて天界兵は蹲った。
「大丈夫ですか?!」
「大丈夫です…ちょっと、力を使い過ぎたみたいで…」
兵士の問いかけに苦笑して頷くが、脳が揺らされているかのように視界が歪む。
この数日間一切休む暇なく神通力による治療を行っていた身体が悲鳴をあげるのも無理はないだろうか、とぼんやりする頭で考える。
「レン様、一度…戦線離脱なさっては如何ですか?」
レンと呼ばれた天界兵は驚いて兵士の顔を見ると、男は笑って子供を慰めるかのように頭をそっと撫でた。
「でも……他の人の迷惑に…」
「此処から南に向かえば、まだ戦火のない丘に出られます。人はもう居ないですが体を休める事が出来るでしょう」
言葉を遮る様に兵士が言葉を続け、支えていてくれた腕が離れる。
頭の奥は未だに疼痛が残るが、眩暈はだいぶ落ち着きも止まり、平衡感覚も回復していたレンは兵士に深く頭を下げた。
「さぁ早く、他の上官に気付かれる前に」
兵士の言葉に頷き、レンは南へ向かった。
途中に会った人の手当てをしながら歩いていくと、暗雲が切れ始め少しずつ青空が見え始める。
目の前には美しい緑が広がり、少し離れた丘の上には新緑の葉を枝いっぱいに広げた大樹が立っていた。
「まだこんな場所があったんだ…」
さやさやと草同士が擦れる音が耳に優しく響き、レンは景色を眺めるだけでも心が癒されていく気がした。
城内にも広い庭はあるが、それとはまた違う初めて見る風景に子供のような好奇心が沸き立ち、レンは大樹を目指して歩き始めた。
何処かで大規模な魔法合戦が起きているのだろうかと、兵士の手当てをしながら、衛生救護班の天界兵は思った。
「大きな傷は回復魔法で塞ぎました…無理はしないでくださいね」
無理をしているのは自分ではないかと心の叫びに耳を塞ぎながら、何度目になるか分からない慈しみの言葉を紡ぐ。
「ありがとう…」
兵士の礼に頷き次の治療に向かうため立ち上がろうとした瞬間、強烈な眩暈に襲われ体がふらつく。
治療をした兵士が支えてくれたため転ぶことは免れたものの収まる気配はなく、幼さの残る顔を歪ませて天界兵は蹲った。
「大丈夫ですか?!」
「大丈夫です…ちょっと、力を使い過ぎたみたいで…」
兵士の問いかけに苦笑して頷くが、脳が揺らされているかのように視界が歪む。
この数日間一切休む暇なく神通力による治療を行っていた身体が悲鳴をあげるのも無理はないだろうか、とぼんやりする頭で考える。
「レン様、一度…戦線離脱なさっては如何ですか?」
レンと呼ばれた天界兵は驚いて兵士の顔を見ると、男は笑って子供を慰めるかのように頭をそっと撫でた。
「でも……他の人の迷惑に…」
「此処から南に向かえば、まだ戦火のない丘に出られます。人はもう居ないですが体を休める事が出来るでしょう」
言葉を遮る様に兵士が言葉を続け、支えていてくれた腕が離れる。
頭の奥は未だに疼痛が残るが、眩暈はだいぶ落ち着きも止まり、平衡感覚も回復していたレンは兵士に深く頭を下げた。
「さぁ早く、他の上官に気付かれる前に」
兵士の言葉に頷き、レンは南へ向かった。
途中に会った人の手当てをしながら歩いていくと、暗雲が切れ始め少しずつ青空が見え始める。
目の前には美しい緑が広がり、少し離れた丘の上には新緑の葉を枝いっぱいに広げた大樹が立っていた。
「まだこんな場所があったんだ…」
さやさやと草同士が擦れる音が耳に優しく響き、レンは景色を眺めるだけでも心が癒されていく気がした。
城内にも広い庭はあるが、それとはまた違う初めて見る風景に子供のような好奇心が沸き立ち、レンは大樹を目指して歩き始めた。
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