もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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 プロムの後はユリウスがはっちゃけ、すぐに王様や王妃様に謁見させてもらえた。なぜかこんな私を認めて下さり婚約も正式に許可された。私はユリウスの正式な婚約者になった。

 プロムの後の事は目まぐるしくてよく覚えていない。あれよあれよとユリウスとの話がまとまっていった。しかし学園もまだ1年残っている。各国の要人を招いて結婚披露パーティーもしなければならない。
 たくさんの侍女やメイドを連れ、ドレスや装飾品を新調する為に体の採寸や仮縫いなど、忙しくまた夢のような時間が過ぎた。父母とはユリウスとの結婚の話を「でかした」と言わんばかりの表情で喜んでくれていた。

 しかしそんな夢みたいな事は長くは続かなかった。

 ざまぁされたのだ。私はユリウスにシンフォニーと同じように罵倒され、あげく暗い夜の森の中に置き去りにされた。魔の森という大変恐ろしい場所だ。女の子が一人で一晩なんて過ごせる事など出来ない場所だ。

 場所はあのダンスホールだ。ある日忙しくしていた私は何日もユリウスに会えないでいた。そしてあのダンスホールにユリウスから呼び出されたのだからホイホイと向かった。
 扉を開けるとそこには、たくさんの上級貴族に囲まれたユリウスとなぜかシンフォニーの姿があった。不思議な事にあの後シンフォニーがどうなったか気にもしていなかった。そして気が付くとあのプロムの時と正反対な構図になっていた。

 ユリウスが肩に抱いているのはシンフォニーだ。そして私を見下し薄っすらと笑っている。あの時私はあんな感じで笑っていたのだろうか。

「おまえは私をだましていたのだな?シンフォニーから全部聞いている」
 何も聞かされていない私は突然のユリウスの言葉に愕然とした。
「だます?わ、私はどのようにユリウス様をだましていたのでしょうか?」
 私は涙目でユリウスに問いかけた。
「む、そんな可愛い顔をしてしらばっくれてもダメだ!」
「いいえ、いいえ、本当にわからないのです!」

 ユリウスの説明だと噴水広場での運命的な出会いは故意であったこと。
 (それはそうかも、運命的な出会いになるかは微妙)
 美しいその髪色はユリウスに関心を示してもらうために染めていること。
 (は?)
 可愛く潤んだその瞳は魔法の目薬を使い潤わせていること。
 (は?は?)
 目薬を使用している所は皆に見られていること。
 (ただの目薬はみんなするでしょう)
 そしてあろうことかそれには魅了の粉が少なからず混入していて誰もが恋に落ちるというまがい物であること。
 (??)
 それを魔力が多く魔術が得意な私が作っていたこと。
 (いやいや)
 そしてそれを使い、周りのお姉さま方にも味方にしていたこと。
 (いやいや)
 そして皆に魅了をかけ、シンフォニーに悪役をさせていたこと。
 (いやいやいやいや)
 などを言い放たれた。

「お待ちください、そんな事あり得ません!私は知っての通り、そんなに魔術が得意ではありません。そんなもの作れたりしません!私は目が大きいので乾燥しやすく目薬は市販のものを頻繁に指していただけです。髪の毛も生れ付きです。両親に聞いて頂いてもかまいません」
 私は精一杯、マヤって見せた。

 そもそも噴水広場は運命的な出会いだったのだろうか、帰ろうと私にあんたが声を掛けてきたのではなかったか。

「うそおっしゃい!あなたは元は普通の金髪だったのに十代に入った事からピンクプラチナになったと、あなたのお姉さまから聞いていますよ。魅了の目薬を発明したのでしょう?」
「髪色や瞳の色は成長するうちに変化する人もいると聞いています。魅了の目薬を発明だなんて!」
「まだあるわよ。幼少の頃からやたらと聞いた事ないような便利グッズを作らせて売ろうと親に助言していたらしいわね?」
「そ、それは…生活をする上でこんな物があれば便利なのではと、父に持ちかけただけです。その時は父も賛成してくれたのですが、需要が定まらず売れ残りがたくさん出てしまいました。父には迷惑を掛けてしまいました。でも宣伝さえうまく行けば売れると確信しておりましたが父からはもうよいと言われ…」
「その宣伝とやらを王子であるユリウス様、王族にさせようと考えていたのではないの?」
「まさか!本当に違います!本当です!」
 あんなに優しかったユリウスは冷たい表情で私を見ていた。ゾッとした。これは冗談では済まされない。
 味方であった王子であるユリウスから敵認定されれば今後の人生はないものに等しい。しかも上級貴族に対して、身に覚えがなかろうが魅了を行っているとなれば処刑もあり得る。証拠があるなしの問題ではないのだ。下級貴族の地位とはそんなものだ。私はガタガタと震えどうにか誤解だけは解こうと必死になった。

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