もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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「もうよろしいわ。ユリウス、処刑だけは許してあげて、彼女に悪気があったわけではないのよ。ただ幼かった。それだけのようですわ」
 と、シンフォニーはユリウスの胸に顔を寄せた。

「シンフォニー、君は優しすぎるよ。まず上級貴族である君にひどい仕打ちをしていたことですら許されない行為なのだよ?それだけで下級は処刑を言い渡されても文句は言えないのだ。でも君がそう言うなら追放だけで許してあげようかな?」
「それでいいと思いますわ」
 見つめ合いユリウスはシンフォニーの形のいい鼻に人差し指でチョンチョンと触れた。ユリウスの癖である。ちょっと前までは何度も私にしていたことだ。

 もちろん納得出来るものではなかったが、どうやらあの美しいシンフォニーにハメられたようだ。私に親切に接してくれていたお姉さま方も今や当たり前にシンフォニーについている。ああ、私は「ざまぁ」されているのだとちょっと冷静だった。


 そして二人は茫然としている私を残しダンスホールから消えた。取り巻き連中もそのあとに続いた。残された私は兵士に腕を取られ無理やり馬車に放り込まれた。そして隣に見張りの兵士が乗ってきた。
「出してくれ」
 兵士がそう言うと馬車は動き出した。そして自分の邸を通り過ぎる。てっきり家に戻されるのだと思っていた。しかし馬車はそのまま通行門まで行き貴族街から出てしまった。まさか、このまま本当に街の外に追放されるのだろうか。

 そんなバカな展開があるのだろうか。普通なら荷造りをして親に許しを請いどこか遠い田舎に追放されるとか、はたまた親からも勘当され冒険者登録をして色んな発明をしたり料理テロを催したりするもんじゃなかろうか…
 などと頭の中で前世の読み物を思い出し現実逃避をする。現実は馬車に揺られ城内から城外へそして貴族街、平民街を抜け、門を抜けると田畑の風景が現れた。冷静さを失い段々と顔面蒼白になっていく。
 馬車に揺られながら、なぜ私がという思いが込み上げる。



 この世界には魔法が当たり前に存在している。攻撃魔法を使えるのは訓練された騎士や兵士であり、一般人は使えない。一般では生活魔法が主流だ。その生活魔法を助ける魔法陣や簡単な魔法円などもあり、魔法は生活になくてはならないものだ。

 私はその中で発明をすれば家が潤うに違いないと考えた。前世に馴染んでいた百均などに売られていたものをこちらでも作ってもらい売ればいいのだと思ったのだ。安易に前世の読み物頼りだが、すぐにうまく行き大金持ちになると思っていた。しかし現実はそんな思うようになるはずもなかった。
 こちらの世界にも生活序盤がある。それを無視して前世の便利グッズを押し付けても売れるわけがないのだ。すっかり信用をなくした私は父にもう少し順を追って売っていけばなどと言っても聞き入れて貰えなかった。
 学園に入りいい婿を探し出し父にもう一度信用して貰おうと頑張ったのだ。

 田畑を通り過ぎ、馬車が森の中に入っていく様子を見ながら私は独り言のようにつぶやいた。

「なにがいけなかったのかな…」

 大きな目からは涙が零れる。それを聞いた見張りの兵士がその言葉を受け取った。

「あんたが王妃に相応しいと生まれる前に占いに出ていた」

 名もないその兵士からとんでもないことを聞かされた。
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