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「…はっ?えっと、もう一度言ってもらっていいかな?」
 涙は引っ込んだ。

「まっ、そうなるよな。これは俺のばあちゃんから聞いた話だ。その占いをしたのはそのばあちゃんなんだけど…一族からも変わり者扱いされていたな」

「へぇ…」

「信じないよな、そりゃそうだ。誰も信じなかった。しかし一人だけ信じた人がいた」

「誰がそんな話を信じるの?」
 私はクスリと笑った。兵士が怖がっている私に慰めるつもりで話を作っているのだろうと思った。

「王様だよ」

「王様?」

「そう、現国王のジョナサン・フォア・モグリベル。モグリベル国王だ」
 ユリウスの父である。
「そ、そう。そんな話を信じたのね。陛下は占いがお好きだったのかしら?」
「まあ、そうかもね。王宮専属の占い師や魔術師なんてどこの国でもいるさ。でも国王はうちのばあちゃんの占いをなぜか昔から贔屓にしてくれていたらしい」
「…よく当たる方だったのかな」
 感情のない言葉を返す。
「そうかもしれない。で、国王に言われ密かにあんたを探っていたらしい」
「…」
 私にとってどうでもいい話だったがその兵士は淡々と話を進める。話を進める間も魔の森に近づいていった。

 髪の色、瞳の色、何月の満月の日、場所は城から南方と細かい方角を指示した。髪の色は珍しい色で赤毛とも言えない色。瞳の色は青に近い色とだけ。そしてその近くでその月に産まれていたのが私だった、との事だ。
 産まれたばかりの私の髪色は母譲りの金髪だった。父は赤毛だったのでいずれ赤毛になるかもしれんなとは言われていた。瞳の色は生まれた時は緑で青ではなかったが、十歳を境に髪色はピンクプラチナに瞳は青になっていた。


 髪色や瞳の色は魔力内の属性で決まってくると言われている。成長の過程で思春期になる頃に魔力の属性が変わる事が稀にあるのだそうだ。

 そんなこともある事から髪色と瞳の色が違っていたとしても国王は私を見張っていたそうだ。
 しかし王太子には生まれる前から婚約者が定められていた。国王とはいえ勝手に変更することは出来なかったのだ。
 そこで国王は私に婚約者ができないように仕向けていたとか、父の仕事も優遇し、三女を王子と同じ学園に通わせるようにしていたらしい。

 国王になればそんな事も出来るのかと…でも国王でも私の発明したものは売れるようにすることは出来なかったのだな。まあ、つぶれていないのは国王のおかげか…

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