もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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37.

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「なるほど、盲点でした。魔石の量を変更して記号を使うなど…素晴らしい。これは完璧な魔法円ですよ。今回は円と縦の2枚だけですか?」
「すいません。羊皮紙とインクが無くなってしまって。今日はその補充がてらこの魔法円の感想を聞こうかと思いまして訪ねました」

「なるほど、ではこちらにヴァイを通してください。スノースパイク同様に特許の申請をします。次にまとめて持って来られる間に特許申請は終了しているでしょう。レシピはその後公開になります」
「わかりました。10日後くらいにまとめて持ってきます」
「お待ちしております」

 スムーズに話は進んだ。ヨモの所に寄ろうと考えていた所で女性とぶつかってしまった。
 その勢いでリアはよろけてこけそうになった。謝ろうとぶつかった女性にふり返って見ると女性はよろけることもなく、リアを睨んでいた。見覚えのある顔だったが思い出せない。
「おい、何している!」
 ギルが声を掛けるもその女性は「いい気になるんじゃないわよ」とリアにしか聞こえない声で言うとギルドの奥に消えた。
「大丈夫ですか?誠に申し訳ございません」
「いえ、ぶつかっただけですし…彼女は…」
「覚えていませんか?以前あなたの魔法円を貶し、奪い取ろうとしていた職員です。タルと言います」
「ああ、ありましたね。そんな事が」
「ええ、まあ。彼女には減給と謹慎を言い渡したのですが暴露大会になりましてね。魔法部の半分が移動になり、急遽外部から助っ人頼むという恥ずかしい話になったのです。私も減給ですよ。まったく…」
「彼女はどこに?」
「今では外で馬番です。馬車で来た客人の馬の受け入れをしています。今の季節は寒いし夏は暑いで不満が出ているようです。反省をすれば試験を受けなおして、移動になった他の職員もこの部署にも戻れるようにするつもりだったのですが…あれではダメですね」
「アホですね」
「え?」
「いえ、ではまた」
「お気をつけて」

 リアはヨモとティータイムを過ごし、買い出しを山ほどして森に帰った。リアはあの女の事など忘れていた。

 リアは何でも入る麻袋を今でも愛用している。さすがに持ち歩くのに見た目が悪いのでちょっと大きめの肩掛けカバンにその麻袋を入れている。端から見れば店に入ってはいるが何も買わずに店を行き来しているように見えるだろう。
 しかし、八百屋で野菜を買ったり、パン屋でたくさんのパンを買い込こんでいるのに、店を出れば手ぶらになっている光景は不思議でならない。しかし魔法のショールで守られている地味なリアを誰も注目していなければ不思議がられる事はない。


「ご苦労さん、あんたが言っていたスノースパイクっての?魔術屋に行ったら在ったんだよ。すごい便利だね~。見回りも楽になったんだよ」
 門番がリアに話しかける。
「そうでしょう。私も最初お店で見つけた時は興奮したもの。そういえばなんか今度、雪かきの魔法円が出るっていったよ」
「何?本当か?雪かきが魔法円になったら革命だぞ!早速買いに行くか」
「あっはは、なんかまだ未入荷らしいよ。今月中には入るらしい。内緒で聞いたのよ」

 魔法円や陣の作成者は自分が作成している事を気軽に言わない方がよいとされている。寄ってたかって1枚くらい無料で作ってくれとか、こんな物を作成してほしいと持ちかけられたりするらしい。そして、成功すればアイディアは自分だと言って報酬を要求しり、失敗すれば苦情を言い出すとしたトラブルが後を絶たないらしいのだ。
 前回の門番へのアピールはセーフだ。自分が作成しているとか自分がオリジナルとは言っていない。こんな物があると紹介しただけなのだ。

 門を出れば雪は相変わらず激しく降り続いている。リアはスノースパイクを取り出し、頭からローブを被りツリーハウスへと帰っていった。
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