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「そ、それでそのタルは今どこに?」
職を無くした暇人は何をするのか分からない。リアはタルからまたしつこく付け回されるのは避けたかった。
「この街にいるとまたあなたに被害が及ぶと思ったワタはタルをアンバーの街に行かせました。祖母がいるそうです」
「そうですか、えっとなんかすいません」
「いえ、あなたが謝る事ではないですよ。こちらこそ不快な思いをさせた事を謝ります。本当に申し訳ございませんでした」
まさか、その女性職員に後をつけられていたとは思わなかった。麻袋があるからと買いだめをするのも問題かと思われた。
その後にヨモと一緒にお昼にしたがやはり嵐が来たとからかわれた。そしてヨモは調理試験に受かり春になったら、王都に引っ越す事になったと伝えられた。
「引っ越し先は決まっているの?」
「ええ、王都の商人ギルドからちょっと行った所らしいの。1件以前食堂だった所があるみたい。結構人通りも多くて家賃もそれなりにしそうな場所なのよ」
「え?いきなりそんな所大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ないでしょう?でもそこの主人がご厚意で安く貸してくれる事になったの。なんでも弟がよくしてくれたからって。持つべきものは家族よねぇ」
「ラッキーね」
「そう、フフ。まあ、死亡届が受理されて夫のヴァイの預金が私の方に入ってきてお金に余裕が出来たから決断できたんだけどね。以外とため込んでたわ。クオったら」
「そっかぁ」
「リアはどうするの?」
「まだ決めかねてる。おじさんから連絡ないし」
郵便は商人ギルドに留めて貰っている。
「ツリーハウスは居心地が良さそうだもんね。離れたくないわよね」
「それもある」
「あ、そういえばタルがツリーハウスを見つけられなかったって言ってたけど、どういうこと?」
「と、途中で尾行に気が付いて巻いたのよ。しかもその日はすごい吹雪だったし、場所を間違えたんじゃない?」
「ああ、タルってそんな感じだわ」
タルの姿を見ても危機感すら感じなったリアでした。
▽
▽
それから何事もなく通常の日々を過ごしていた。魔法陣の練習をしては飽きて魔法円を作成、アイディアなど考え、買い出しに街に向かう。
「これは何ですか?」
リアはギルにまた新しい魔法円の試作品を見てもらう為に商人ギルドにやってきていた。
「「雪だるま」の魔法円よ」
「「雪だるま」とは…?」
「こんな形をした雪の人形よ」
リアは雪だるまの絵を描いて見せた。
「そうですか。で、これはなんの役に立つのですか?」
「なんの役にも立たないわ。これは鑑賞用よ」
「鑑賞用…」
「そう、たまには役に立たないグッズがあってもいいんじゃない。遊び心は大切よ」
「いえ、しかし…雪かきの「スノーショベル」は大変ヒットしました。主に門の外の仕事をする人達には大変好評です。しかも冬は行き来が難しいとされる街道が開通出来て大変便利になりました。もちろん、スノースパイクも好評ですよ」
3m以上の雪が積もる街道では冬はいつも春まで閉鎖なのだ。
「わぁ、よかったですね」
「ええ、ですからね。そんなあなたの次の作品が鑑賞用でこんな…」
「別に売れればそんな事関係ないでしょ?」
「はっきり、言いますがこんな物売れませんよ」
「なぜ?」
「役に立たないからです。分かりませんか?」
「そんなに高く設定しようとしてないわ。この魔法円も簡単な物だし。ここを応用させて書き替えれば2段や3段も出来ます。後は自分で目や鼻を作れば可愛い雪だるまの完成よ。あと、カマクラって言うのも、これで応用が出来て…」
リアはギルに説明をしようとするがそれをギルが制止した。
「はあ、分かりました。一応特許の申請はしておきます。買い取りは考えさせて貰いたいですな」
「そんな場合は自分で売っていいの?」
「街中ではあまりやらないで貰いたいですね」
「商人ギルドの前に雪だるまを作っていい?」
「は?何でですか?」
「宣伝です」
「商人ギルドに来た人がこれなにかなって思って貰えるでしょう?そしらどうやって作ったのか聞かれるでしょ?そして魔法円がありますって言えば5人に1人は買ってくれるかも」
「…そんなバカな」
スーパーの試食コーナーを知らないな…
「…分かりましたよ。1枚100ルーで買い取ります」
「それでいいわ」
「言い訳ないでしょう?儲けがでないでしょうが!インクや羊皮紙だってただではないのですよ!」
ギルからなぜかキレられた。
「ふふふ、そう思うでしょう?実は大丈夫なの」
「は?」
「実は羊皮紙は通常の大きさの2分の1のサイズでいいの。それに羊皮紙も通常の羊皮紙に使う部分の切れ端を集めた言わばゴミなのよ。捨てていた部分を勿体ないからくれないかと言ったらゴミだからただでやると言われてもらったものなのよ。インクもいつもの半分で書くことで節約になったし、と言ってもまあ儲けはそんなにないけど、楽しいでしょ?」
「あなたがそれでいいとおっしゃるのでしたら構いませんけどね。そんなに裕福な家庭ばかりではないですから、こんなものに金を落とす人はいますかね…」
「商人ギルドの前に価格表を売っている人がいるでしょう?あんな感じで…」
「あれはギルドがお願いをしているんですよ。それに冬の外に立たせておくのですか?死にますよ」
「じゃあ、ヴァイを作っているヨモの所のカウンターにでも置いて貰えれば…」
「ああ、ヨモね。あなたと仲がよろしかったですね。まあたぶん通るかと思いますけどね」
ギルはブツブツと言っている。許可を取るのはギルなので面倒なのだろう。
職を無くした暇人は何をするのか分からない。リアはタルからまたしつこく付け回されるのは避けたかった。
「この街にいるとまたあなたに被害が及ぶと思ったワタはタルをアンバーの街に行かせました。祖母がいるそうです」
「そうですか、えっとなんかすいません」
「いえ、あなたが謝る事ではないですよ。こちらこそ不快な思いをさせた事を謝ります。本当に申し訳ございませんでした」
まさか、その女性職員に後をつけられていたとは思わなかった。麻袋があるからと買いだめをするのも問題かと思われた。
その後にヨモと一緒にお昼にしたがやはり嵐が来たとからかわれた。そしてヨモは調理試験に受かり春になったら、王都に引っ越す事になったと伝えられた。
「引っ越し先は決まっているの?」
「ええ、王都の商人ギルドからちょっと行った所らしいの。1件以前食堂だった所があるみたい。結構人通りも多くて家賃もそれなりにしそうな場所なのよ」
「え?いきなりそんな所大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ないでしょう?でもそこの主人がご厚意で安く貸してくれる事になったの。なんでも弟がよくしてくれたからって。持つべきものは家族よねぇ」
「ラッキーね」
「そう、フフ。まあ、死亡届が受理されて夫のヴァイの預金が私の方に入ってきてお金に余裕が出来たから決断できたんだけどね。以外とため込んでたわ。クオったら」
「そっかぁ」
「リアはどうするの?」
「まだ決めかねてる。おじさんから連絡ないし」
郵便は商人ギルドに留めて貰っている。
「ツリーハウスは居心地が良さそうだもんね。離れたくないわよね」
「それもある」
「あ、そういえばタルがツリーハウスを見つけられなかったって言ってたけど、どういうこと?」
「と、途中で尾行に気が付いて巻いたのよ。しかもその日はすごい吹雪だったし、場所を間違えたんじゃない?」
「ああ、タルってそんな感じだわ」
タルの姿を見ても危機感すら感じなったリアでした。
▽
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それから何事もなく通常の日々を過ごしていた。魔法陣の練習をしては飽きて魔法円を作成、アイディアなど考え、買い出しに街に向かう。
「これは何ですか?」
リアはギルにまた新しい魔法円の試作品を見てもらう為に商人ギルドにやってきていた。
「「雪だるま」の魔法円よ」
「「雪だるま」とは…?」
「こんな形をした雪の人形よ」
リアは雪だるまの絵を描いて見せた。
「そうですか。で、これはなんの役に立つのですか?」
「なんの役にも立たないわ。これは鑑賞用よ」
「鑑賞用…」
「そう、たまには役に立たないグッズがあってもいいんじゃない。遊び心は大切よ」
「いえ、しかし…雪かきの「スノーショベル」は大変ヒットしました。主に門の外の仕事をする人達には大変好評です。しかも冬は行き来が難しいとされる街道が開通出来て大変便利になりました。もちろん、スノースパイクも好評ですよ」
3m以上の雪が積もる街道では冬はいつも春まで閉鎖なのだ。
「わぁ、よかったですね」
「ええ、ですからね。そんなあなたの次の作品が鑑賞用でこんな…」
「別に売れればそんな事関係ないでしょ?」
「はっきり、言いますがこんな物売れませんよ」
「なぜ?」
「役に立たないからです。分かりませんか?」
「そんなに高く設定しようとしてないわ。この魔法円も簡単な物だし。ここを応用させて書き替えれば2段や3段も出来ます。後は自分で目や鼻を作れば可愛い雪だるまの完成よ。あと、カマクラって言うのも、これで応用が出来て…」
リアはギルに説明をしようとするがそれをギルが制止した。
「はあ、分かりました。一応特許の申請はしておきます。買い取りは考えさせて貰いたいですな」
「そんな場合は自分で売っていいの?」
「街中ではあまりやらないで貰いたいですね」
「商人ギルドの前に雪だるまを作っていい?」
「は?何でですか?」
「宣伝です」
「商人ギルドに来た人がこれなにかなって思って貰えるでしょう?そしらどうやって作ったのか聞かれるでしょ?そして魔法円がありますって言えば5人に1人は買ってくれるかも」
「…そんなバカな」
スーパーの試食コーナーを知らないな…
「…分かりましたよ。1枚100ルーで買い取ります」
「それでいいわ」
「言い訳ないでしょう?儲けがでないでしょうが!インクや羊皮紙だってただではないのですよ!」
ギルからなぜかキレられた。
「ふふふ、そう思うでしょう?実は大丈夫なの」
「は?」
「実は羊皮紙は通常の大きさの2分の1のサイズでいいの。それに羊皮紙も通常の羊皮紙に使う部分の切れ端を集めた言わばゴミなのよ。捨てていた部分を勿体ないからくれないかと言ったらゴミだからただでやると言われてもらったものなのよ。インクもいつもの半分で書くことで節約になったし、と言ってもまあ儲けはそんなにないけど、楽しいでしょ?」
「あなたがそれでいいとおっしゃるのでしたら構いませんけどね。そんなに裕福な家庭ばかりではないですから、こんなものに金を落とす人はいますかね…」
「商人ギルドの前に価格表を売っている人がいるでしょう?あんな感じで…」
「あれはギルドがお願いをしているんですよ。それに冬の外に立たせておくのですか?死にますよ」
「じゃあ、ヴァイを作っているヨモの所のカウンターにでも置いて貰えれば…」
「ああ、ヨモね。あなたと仲がよろしかったですね。まあたぶん通るかと思いますけどね」
ギルはブツブツと言っている。許可を取るのはギルなので面倒なのだろう。
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