55 / 139
ふたりの王子 ―変化
しおりを挟む
「姪を可愛がっていたようだな」
「…そうだな。それがなんだ」
「ベルナルが言うような子には思えなくなってきたよ。素直で明るいいい子だったと思うようになった」
「それは幼い頃の印象だろう?大人になれば女は化ける物だ」
「俺にも小さな姫がいる。王太子に見染められ城に連れていかれ、挙句に魔の森に置き去りにされたと知らされたら思うと…」
「思うと…なんだ」
「…さあな」
ベルナルたちは宿に向かっていたがコルクスがふいに立ち止まった。
「悪いが俺はこの件から降りる」
「は?」
「貴族籍を抜くよ。そして今の家庭を大事にする」
「陛下がお許しにならない」
「お前がいる」
「俺だけに犠牲になれって言うのか?」
「王になるのが犠牲なのか?国民の為に頑張れよ。俺も一国民としてお前を応援しているよ」
「俺は自由にならない王位なんかいらない」
「お前も貴族籍から抜けてなかったんだから、お互い様だ」
「母が許さなかったんだ」
「そんなのは知らん。兎に角俺には家庭がある、これ以上付き合えないよ。家族の元に帰るよ」
「もうすぐ、街道は閉鎖だぞ」
「俺も平民生活は長い。心配無用だ。それじゃぁな、アリアナ姫が見つかるといいな」
コルクスはそのまま馬屋に向かい宿には戻って来なかった。ベルナルは一人になった。
「誰も信じずにここまで来た代償がこれなのか。俺の周りには誰も残らなかったな…」
生きているか死んでいるかも分からない人を探すのは苦痛でしかない。王位を継ぐ…知りもしない女と結婚をして?コルクスが羨ましい。愛する人と結婚をして帰りたい家庭があるのだから。
……陛下とのメール便でのやり取り……
【どういうことだ?コルクスから連絡が来て第二王位継承権を放棄すると言い出している。そして貴族籍も抜けると言っている。アリアナはどうなった】
コルクスから先手を打たれたようだ。抜かりない。
【探していますが、見つかりません。知っている場所には痕跡もありませんでした。私もお手上げです。この冬のシーズンで見つからなければ私も撤退します】
【王妃はどうするつもりだ】
【王妃より王が大事だと思いますよ。今の幼い王子たちを育成し王位を継がせる方がよいでしょう。私も協力しますのでアリアナは諦めてください】
【春になったら戻るように】
【承知しました】
……
メール便を惜しげもなく使い、事の成り行きを説明する。「未来を導く王妃」には興味があるがそれは端から見ていたらの話で当事者になって探し出せとなると負担が増す。寒い中、馬を走らせて当てもなく女を探すなど、苦行だ。
「そろそろ俺も腹を括るべきなのか…」と、ベルナルは寂れた宿から降り続く雪を見ていた。
「…そうだな。それがなんだ」
「ベルナルが言うような子には思えなくなってきたよ。素直で明るいいい子だったと思うようになった」
「それは幼い頃の印象だろう?大人になれば女は化ける物だ」
「俺にも小さな姫がいる。王太子に見染められ城に連れていかれ、挙句に魔の森に置き去りにされたと知らされたら思うと…」
「思うと…なんだ」
「…さあな」
ベルナルたちは宿に向かっていたがコルクスがふいに立ち止まった。
「悪いが俺はこの件から降りる」
「は?」
「貴族籍を抜くよ。そして今の家庭を大事にする」
「陛下がお許しにならない」
「お前がいる」
「俺だけに犠牲になれって言うのか?」
「王になるのが犠牲なのか?国民の為に頑張れよ。俺も一国民としてお前を応援しているよ」
「俺は自由にならない王位なんかいらない」
「お前も貴族籍から抜けてなかったんだから、お互い様だ」
「母が許さなかったんだ」
「そんなのは知らん。兎に角俺には家庭がある、これ以上付き合えないよ。家族の元に帰るよ」
「もうすぐ、街道は閉鎖だぞ」
「俺も平民生活は長い。心配無用だ。それじゃぁな、アリアナ姫が見つかるといいな」
コルクスはそのまま馬屋に向かい宿には戻って来なかった。ベルナルは一人になった。
「誰も信じずにここまで来た代償がこれなのか。俺の周りには誰も残らなかったな…」
生きているか死んでいるかも分からない人を探すのは苦痛でしかない。王位を継ぐ…知りもしない女と結婚をして?コルクスが羨ましい。愛する人と結婚をして帰りたい家庭があるのだから。
……陛下とのメール便でのやり取り……
【どういうことだ?コルクスから連絡が来て第二王位継承権を放棄すると言い出している。そして貴族籍も抜けると言っている。アリアナはどうなった】
コルクスから先手を打たれたようだ。抜かりない。
【探していますが、見つかりません。知っている場所には痕跡もありませんでした。私もお手上げです。この冬のシーズンで見つからなければ私も撤退します】
【王妃はどうするつもりだ】
【王妃より王が大事だと思いますよ。今の幼い王子たちを育成し王位を継がせる方がよいでしょう。私も協力しますのでアリアナは諦めてください】
【春になったら戻るように】
【承知しました】
……
メール便を惜しげもなく使い、事の成り行きを説明する。「未来を導く王妃」には興味があるがそれは端から見ていたらの話で当事者になって探し出せとなると負担が増す。寒い中、馬を走らせて当てもなく女を探すなど、苦行だ。
「そろそろ俺も腹を括るべきなのか…」と、ベルナルは寂れた宿から降り続く雪を見ていた。
46
あなたにおすすめの小説
平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした
タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。
身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。
だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり――
それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。
それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。
義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。
指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。
どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。
異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。
かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる