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第1章
英雄たちの帰還
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初秋、間引きの連中が帰って来た。
夏の間、何人か入れ替え立ち換えしていたようだが全員の冒険者たちが帰ってきた。街はお祭り騒ぎだ。今回の間引きは全員無事で帰還したことで大いに沸いた。
ピストル弾もだが、錬金術師による質のよいポーションが手に入りやすくなっていた為、ケガをして離脱した者も、また参加したりと、うまく回った。
ロゼは影ながら2重に支えていたことになる。無自覚だが。
間引きした魔獣の肉を料理し住民に振舞われた。
魔獣の肉はマジックバックに入っている。いくらでも入る魔法のカバンだ。しかし、時間無制限とはいかず肉は次第に劣化する。その前に住民みんなでおいしく頂くのだ。
このマジックバックは時の精霊と契約している者しか製作できず、とても高価な物だ。しかもいくらでも入るマジックバックは国宝級だ。持っている貴族も少ない。
まして時間停止などになればおとぎ話級だ。
イージュレン領主は数個、所有しており間引きのときのみ貸し出すのだ。他の領土には有料で貸し出している。
3日3晩、お祭り騒ぎは続いた。この時ばかりは街は屋台に出店に夏の終わりの祭りとして皆が楽しんだ。5年に一度ということもある。
5年前の間引きの後は死者を葬ったり、家族に報告したりとお祭りムードの横で悲しんでいる者もいたようだが、今年は全員帰ってきた。皆が楽しめている。
ピストル弾の発案者ということもあり、ロゼは皆から感謝された。もう「なぜ行かなかったか」など言う者もいない。
ロゼを見た者たちは成人してはいるようだが線の細い男の子ではないか、屈強な男たちと混じって間引きはさすがにつらかろう、という事になった。
ロゼも皆とともに、英雄たちを迎え入れた。セドも無事に帰ってきて肌も焼け男らしくなって戻って来た。無理やり連れて行こうとしたことを謝られた。随分大変な思いをしたようでもう二度と参加したくないとの事だ。
魔獣の素材は高く売れた。そのほとんどを参加した冒険者に報酬+として渡された。税金として多く取られることがあるようのだが、今回は見逃された。次回も参加してもらうためにレオンが領主に直談判したのだ。
レオンやるではないか。
後日、セドは無事に領主から紹介状を貰い受けた。時期が既に10月に入っていたため、王都への移動は春になるようだ。
冬の間、英雄たちは若い冒険者たちの指導を行うようだ。セドも講習の先生か…
ロゼにもまたピストル弾の講習をお願いされたが、もう英雄たちには敵わない。実践での経験は英雄たちの方が上だ。英雄の誰かに頼んだらいいということになった。
ロゼは今年の冬は、錬金術に集中したいのだ。低級ポーションも大変だったのに中級ポーションが簡単なわけがない。
夏の間、ザリの弟子として頑張っていたものの週3日だ。やはり歩みが遅い。未だ、集中が切れると低級ポーションすら失敗してしまう。
失敗してショックを受けているロゼを見て、ザリは
「いや、10回に1回は失敗するもんだよ」
ロゼは完璧主義だなぁと笑っているが、それは果たして慰めているのか、そういうものなのかは分からない。
でもやっぱり全部成功したい。
中級ポーションを取得してから王都に行きたい。だが成人するまでまだ2年ある。冬からは毎日ザリの工房に行けるしなんとかなるだろう。
秋にはロゼは13歳になった。エトたちも来年14歳と言っていたから同じ歳のようだ。
錬金術のアカデミーは成人でなければ入れないわけではなさそうだ。でも保護者の許可がいる。やはり15歳になってから王都に行こうと思う。後2年、長いな…。
イージュレンの森に雪が降り始めた。すぐに歩くのが困難になるくらいは積もるだろう。
「今日で薬草園は春まで閉める。薬草は全部刈る。春になったらまた生えているだろ。刈った後、池の水を蒔いて行こう。ミタよろしくな」
「わかった」
ミタは水の精霊と契約をしている。最後に魔素がしみ込んだ池の水を地面に蒔いてもらう。
「師匠、では今日で終わりですか?来年はもう一緒に来て貰えないのですね」
エトは不安そうに言っている。
「まあそうだけど…なんの不安がある?エトはもう俺を超えているぞ。後は道だな。忘れないように。…春なって最初の日だけ同行するから心配するな」
エトがずっと不安な顔をしているので仕方なく譲歩した。
「師匠はエトに甘いよな~。俺たちなんてクマの魔獣の前に放り出されたんだぞ!」
ウキは憤慨している。
「おまえらは戦闘担当だろう」
「「いやいや、それでもないよ~」」
2人はないないと首を振っている。一緒に精霊たちも首を振っている。
ものすごくかわいい。
夏の間、何人か入れ替え立ち換えしていたようだが全員の冒険者たちが帰ってきた。街はお祭り騒ぎだ。今回の間引きは全員無事で帰還したことで大いに沸いた。
ピストル弾もだが、錬金術師による質のよいポーションが手に入りやすくなっていた為、ケガをして離脱した者も、また参加したりと、うまく回った。
ロゼは影ながら2重に支えていたことになる。無自覚だが。
間引きした魔獣の肉を料理し住民に振舞われた。
魔獣の肉はマジックバックに入っている。いくらでも入る魔法のカバンだ。しかし、時間無制限とはいかず肉は次第に劣化する。その前に住民みんなでおいしく頂くのだ。
このマジックバックは時の精霊と契約している者しか製作できず、とても高価な物だ。しかもいくらでも入るマジックバックは国宝級だ。持っている貴族も少ない。
まして時間停止などになればおとぎ話級だ。
イージュレン領主は数個、所有しており間引きのときのみ貸し出すのだ。他の領土には有料で貸し出している。
3日3晩、お祭り騒ぎは続いた。この時ばかりは街は屋台に出店に夏の終わりの祭りとして皆が楽しんだ。5年に一度ということもある。
5年前の間引きの後は死者を葬ったり、家族に報告したりとお祭りムードの横で悲しんでいる者もいたようだが、今年は全員帰ってきた。皆が楽しめている。
ピストル弾の発案者ということもあり、ロゼは皆から感謝された。もう「なぜ行かなかったか」など言う者もいない。
ロゼを見た者たちは成人してはいるようだが線の細い男の子ではないか、屈強な男たちと混じって間引きはさすがにつらかろう、という事になった。
ロゼも皆とともに、英雄たちを迎え入れた。セドも無事に帰ってきて肌も焼け男らしくなって戻って来た。無理やり連れて行こうとしたことを謝られた。随分大変な思いをしたようでもう二度と参加したくないとの事だ。
魔獣の素材は高く売れた。そのほとんどを参加した冒険者に報酬+として渡された。税金として多く取られることがあるようのだが、今回は見逃された。次回も参加してもらうためにレオンが領主に直談判したのだ。
レオンやるではないか。
後日、セドは無事に領主から紹介状を貰い受けた。時期が既に10月に入っていたため、王都への移動は春になるようだ。
冬の間、英雄たちは若い冒険者たちの指導を行うようだ。セドも講習の先生か…
ロゼにもまたピストル弾の講習をお願いされたが、もう英雄たちには敵わない。実践での経験は英雄たちの方が上だ。英雄の誰かに頼んだらいいということになった。
ロゼは今年の冬は、錬金術に集中したいのだ。低級ポーションも大変だったのに中級ポーションが簡単なわけがない。
夏の間、ザリの弟子として頑張っていたものの週3日だ。やはり歩みが遅い。未だ、集中が切れると低級ポーションすら失敗してしまう。
失敗してショックを受けているロゼを見て、ザリは
「いや、10回に1回は失敗するもんだよ」
ロゼは完璧主義だなぁと笑っているが、それは果たして慰めているのか、そういうものなのかは分からない。
でもやっぱり全部成功したい。
中級ポーションを取得してから王都に行きたい。だが成人するまでまだ2年ある。冬からは毎日ザリの工房に行けるしなんとかなるだろう。
秋にはロゼは13歳になった。エトたちも来年14歳と言っていたから同じ歳のようだ。
錬金術のアカデミーは成人でなければ入れないわけではなさそうだ。でも保護者の許可がいる。やはり15歳になってから王都に行こうと思う。後2年、長いな…。
イージュレンの森に雪が降り始めた。すぐに歩くのが困難になるくらいは積もるだろう。
「今日で薬草園は春まで閉める。薬草は全部刈る。春になったらまた生えているだろ。刈った後、池の水を蒔いて行こう。ミタよろしくな」
「わかった」
ミタは水の精霊と契約をしている。最後に魔素がしみ込んだ池の水を地面に蒔いてもらう。
「師匠、では今日で終わりですか?来年はもう一緒に来て貰えないのですね」
エトは不安そうに言っている。
「まあそうだけど…なんの不安がある?エトはもう俺を超えているぞ。後は道だな。忘れないように。…春なって最初の日だけ同行するから心配するな」
エトがずっと不安な顔をしているので仕方なく譲歩した。
「師匠はエトに甘いよな~。俺たちなんてクマの魔獣の前に放り出されたんだぞ!」
ウキは憤慨している。
「おまえらは戦闘担当だろう」
「「いやいや、それでもないよ~」」
2人はないないと首を振っている。一緒に精霊たちも首を振っている。
ものすごくかわいい。
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