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第三章
30 ステラード・グランシャリオ・ストレイドの独白
しおりを挟む正確な事は分からない。
でも、私はいつからか違うと気付いていた。
目の前の人はフェイトじゃない。
騙されていたのだ。
けれど。嬉しかった。
今度は先生は、私を置いてどこかに行ったりしなかった。
私は、一人ぼっちじゃなかった。
たとえ破滅しか待っていなくても、私の人生には救いがあったのだと、そう思えた。
誰からも必要とされない王女様は、とうとう誰かに必要としてもらえたのだ。
それが、正常な関係で無かったとしても。
先生は私を救ってくれたのだ。
些細な事だけれど、小さな事かもしれないけれど、確かに心を救ってくれた。
きっと私はもうすぐ死んでしまう。
けれど、怖くはなかった。
苦しかったし痛かったけれど、悲しくはなかった。
ステラ「さようなら」
別れを告げて、私は意識を落とす。
もし、叶う事なら。
もし、許されるのなら。
もし、もういちどやり直すチャンスを与えてもらえるのなら。
今度は普通に、先生を好きになりたい。
依存でも、誰かの代わりでもなく。
叶わなくてもいいから、普通に。
また一人ぼっちでも、誰からも認めてもらえなくてもいい。
それだけが叶えば。
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