文字の大きさ
大
中
小
1 / 32
第一章 リリアとロルフの秘密の関係!?
第1話 テイムしなけりゃ始まらない!
◇◇◇
「ふ、ふふふ、さぁ~、こっちにいらっしゃい?怖くない、怖くないわよ~~~……テイムっ!テイムっ!」
リリアは、この春アリシア王国で冒険者となったばかりの14才。
動物など、生き物が大好きだったリリアは、冒険者として生きていくと決めたとき、迷うことなくテイマーの道を選んだ。
テイマーは従属する魔物の強さによって強さが決まる職業。
当然強い魔物を多数従えなければならないが、多くの場合弱い魔物で経験を積んで、少しずつ従魔の数を増やしていく。
が、しかし、リリアはいまだ一匹の従魔も従えることが出来ていない。何故ならば……。
「だーかーらー、魔物は瀕死の状態にしてからじゃねーとテイムできねーっていってんだろ?」
後ろから呆れたような声が聞こえると、威嚇しながらじりじりと後退していた一角ウサギは慌てて茂みに逃げ込んでしまった。
「あ~~~~っ!また逃げられた~~~っ!バカっ!バカっ!ロルフのバカっ!もうちょっとで仲間になってくれるかも知れなかったのに!」
しなやかで引き締まった体格に漆黒の髪。月の光のような淡い金の目を持つロルフは、黒豹の獣人だ。
リリアと同じ王都の冒険者ギルドに所属している。
リリアより3才年上の17才だが、すでにBランクを持つ若手ナンバーワンの実力者でもある。
驚くほど整った顔をしているが、残念ながら口が悪い。
最初は先輩として接していたものの、あうたびにちょっかいをかけられるのですっかりケンカ友達と化していた。
「馬鹿はお前だ。めっちゃ威嚇してたじゃねーかっ!ぜってー仲間になんかならねーよ!魔物なんざどっちが上か最初に教えてやんねーと従うわけねーだろうがっ!そもそもお前、攻撃魔法とか武器とかつかえねーじゃん?どうやって仲間にすんの?」
「う、うう、いつか私の心が通じて仲間になってくれる子がいるもん」
それはいつのことかとロルフは思う。
なにせ、冒険者ギルドに所属したものの、従魔のいないリリアに冒険者の仕事はこなせない。
当然冒険者ランクは最低ランクのEのまま。
通常どんな新人でも、1ヶ月もたてばDランクにはなれるのだ。
冒険者として収入のないリリアは、収入のために始めた冒険者ギルドの雑用係のほうがすっかり板についており、いまでは冒険者たちのマスコット的存在となりつつあった。
しかし、ロルフにはそれが面白くない。
「だからいつもいってんだろ?お前独りじゃ冒険者なんて無理なんだよ。大人しく田舎に帰れ」
「ロルフだって独りじゃんっ!友達いないじゃんっ!ぼっちじゃんっ!」
「はっ!?俺は群れてねーだけだっ!独りでもつえーからなっ!てめえと一緒にすんじゃねーよっ!」
「も、もう、スライムでもいいから。仲間が欲しいよぉー」
ぐすぐすと泣き出すリリアを呆れたように眺めていたロルフは、背後から感じる嫌な気配にサッと身構える。
「なら俺のパーティーにいれてやろうか?」
ニヤリと笑いながらやってきたのは、獅子獣人のディラン。
見上げるほどの身長に逞しい筋肉を持った大男で、同じ獅子獣人の女性5人とパーティーを組んで活動している冒険者のひとりだ。
野性的ながらも外見は整っており、男らしいワイルドさがたまらないと夢中になる女性も多い。
「ひとりじゃあやってけねーだろ?俺の女になれば俺が守ってやるぜ?」
そう言いながらもパーティーの女性たちといちゃつくのをやめようとしない。
「えっ?いや、マジで結構です。ディランさんのパーティーとか色んな意味で付いていけませんし」
リリアの言葉にロルフはニヤリと悪そうな顔で笑っている。
「ふふん。おっさんはお呼びじゃないとよ」
「あん?若僧が。調子に乗ってんじゃねーぞ?」
獣人同士はとにかく喧嘩っ早い。
些細なことでもすぐに喧嘩に発展してしまう。
(はぁ、面倒くさい。もうちょっと森の中で探してみよう)
リリアは睨み合う二人を置いてさっさと森の中の探索を開始するのだった。
感想 3
あなたにおすすめの小説
お菓子の妖精に転生した私、氷の大公爵様に拾われて毎日甘やかされています 〜ポケットの中の専属パティシエは、やがて公爵様の婚約者になりました〜
星乃和花元パティシエ見習いの私は、異世界でお菓子の妖精「シュクリ」に転生した。
森で行き倒れかけていたところを拾ってくれたのは、氷の魔人と恐れられる大公爵ノアゼット様。
お礼に作った特製プリンが、彼の偏食と魔力不調を治してしまい、私はそのまま専属パティシエとして大切にされることに。
胸ポケットに入れて持ち歩かれたり、砂糖星を狙われたり、王宮で菓子勝負をしたり、人間の姿に戻ったり。
甘いお菓子が、冷たい公爵様の心を少しずつ溶かしていく。
小さな妖精パティシエと、彼女だけに甘すぎる大公爵様の、癒やし系スイーツラブコメ。
・ー完結済:本編28話+番外編3話ー・
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
※作品の無断転載、AI学習など一切を固くお断りいたします。(Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI)
異世界で森の家での生活を始めます! 〜前世のオタク知識で快適スローライフをしていたら、過保護なお兄様と神獣に外堀を全力で埋められました〜
雪平もち孤独な前世を終え、異世界で念願のまったりスローライフを始めた元喪女のセレス。 美味しいご飯と可愛い神獣(もふもふ)に囲まれて幸せいっぱい……のはずが、実の兄妹ではない「無駄に顔が良い過保護なお兄様」のせいで、毎日が大騒ぎ&大炎上の連続に!? 勘違いと独占欲がノンストップで駆け抜ける、異世界断崖絶壁ラブコメディ、ここに開幕!
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばるエリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
妹が嫌がったので、呪われた辺境伯へ身代わりで嫁ぎました。ところで、毎晩私の寝台で眠る黒狼は旦那様ですか?
月白ゆいか妹ミリアが嫌がったため、伯爵令嬢エレナは呪われた辺境伯ルーファスのもとへ身代わりで嫁がされる。
婚礼初夜、夫はエレナに「夜は必ず寝室の扉に鍵をかけろ」と告げ、彼女を一人残して去ってしまった。
けれど夜半、鍵をかけたはずの寝室で、エレナの寝台の足元に大きな黒狼が眠っていた。
黒狼はエレナを襲わない。むしろ毛布を戻し、彼女を守るようにそばにいる。
金色の目。胸の傷。昼間の夫と同じ反応。
「もしかして、旦那様ですか?」
怖い噂だけで夫を判断したくないエレナは、黒狼の正体と呪いの秘密に自分から向き合っていく。
これは、身代わりで嫁がされた令嬢が、呪われた辺境伯を怪物ではなく夫として呼び、自分の居場所を選び直す物語。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。