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第3章 おてんば姫の冒険録
21 冒険者の心意気
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♢♢♢
「一人残さず取り押さえろっ!」
「やれるもんならやってみろやコラァ!」
警棒を持って襲い掛かってくる警備隊を、冒険者たちは素手で次々と殴り倒していく。圧倒的な実力差は思わず笑ってしまう程だ。先程までとは打って変わったその活躍ぶりにアデルは面白そうに目を細めた。
「なんだ。腑抜けてたわけじゃねぇんだな。やるじゃねえか」
しかし、その言葉に冒険者たちは苦笑いを漏らす。
「いや、さっきまでは確かに腑抜けてたさ。もう何もできねぇって、完全に諦めてた。でも、ポーション貰って、体全快して、なんもしなかったら……そりゃもう冒険者じゃねぇだろ?」
何か吹っ切れた。そう感じたアデルは爽やかな笑顔を返す。ぐだぐだ言うだけで何もしない奴は嫌いだが、がむしゃらに立ち向かう奴は嫌いじゃない。
「そうだな」
「コイツらには随分世話になったんだ……目一杯お返しするのが礼儀だよなぁ?」
「おおよっ!」
生き生きと殴り掛かっていく冒険者たち。あっという間に警備隊が一人、また一人と倒れていく。
「お、おいっ!それでも誇り高いアリステア兵かっ!冒険者ごときに遅れをとるとは何事だっ!しっかり戦わんかっ!あっ!こらっ!何をする!離せっ!」
アデルは慌てる男爵の襟元を掴み、軽々と持ち上げる。
「おいお前。お前こそ冒険者舐めてんじゃねーか?俺たちは毎回魔獣相手に命削ってんだ。お前達みたいに人間相手の戦争ごっこに現を抜かすほど暇じゃねぇんだよ。そこら辺の兵士がっ!熟練の冒険者にそう簡単に勝てると思うなよっ!」
アデルの言葉に冒険者たちは一斉に声を挙げる!
「そいつの言う通りだ!」
「冒険者舐めんなっ!」
「お前ら皆覚悟しろよっ!」
「ヒッ……」
冒険者たちの勢いに恐れをなし、思わず逃げ出す警備隊たち。しかし、扉の前にそびえ立つゴーレムを見て、その顔が絶望に染まった。
「ヒッ!な、なぜここに魔物がっ!」
「そうそう。逃げられるなんて思うなよ?このギルドは完全に包囲してるからな。さぁ、楽しもうぜ?」
♢♢♢
―――冒険者たちは、警備隊の連中を縛り上げると、シャーリー男爵と同様に床に転がす。その数ざっと三十人程。
「こう数が多くちゃ転がしておいても邪魔だな」
「まとめて大監獄の地下牢に入れてやれば良いんじゃねーか?」
「そりゃいいや!」
言うが早いか、縛り上げた警護兵たちを近くにあった荷馬車に次々と放り込んでいく。
「おらっ!今度はお前らがネズミと仲良くするんだなっ!」
「そ、そんな!た、助けてくれ……」
「よし!大監獄に出発だっ!兄さん!乗ってくかいっ!?大監獄はここから良くみえる、あの細長い塔だ!」
威勢の良い冒険者たちの声にアデルは軽く首を降る。
「いや、俺はこっちのほうが早い。先に行ってるから、お前達はそいつらを頼む」
ニヤリと笑うと、アデルの体が黄金色に光輝く。あまりの眩しさに思わず目をつぶった冒険者たちが次に見たのは、空中に掛かった大監獄までの道だった。
「……はっ?」
「じゃあ後でな」
スタスタと空に掛かった道を歩くアデルを、呆然と眺める冒険者たち。
「なぁ、これってやっぱり夢かな?」
「ああ、都合の良い夢見てんじゃねぇかな。お前ちょっとほっぺたつねってみろよ」
「……おう」
「イテテテテ!何で俺のほっぺたつねるんだよ!」
「お、おう、悪い」
「夢じゃねぇよな?」
「夢じゃねぇみたいだな……」
「一人残さず取り押さえろっ!」
「やれるもんならやってみろやコラァ!」
警棒を持って襲い掛かってくる警備隊を、冒険者たちは素手で次々と殴り倒していく。圧倒的な実力差は思わず笑ってしまう程だ。先程までとは打って変わったその活躍ぶりにアデルは面白そうに目を細めた。
「なんだ。腑抜けてたわけじゃねぇんだな。やるじゃねえか」
しかし、その言葉に冒険者たちは苦笑いを漏らす。
「いや、さっきまでは確かに腑抜けてたさ。もう何もできねぇって、完全に諦めてた。でも、ポーション貰って、体全快して、なんもしなかったら……そりゃもう冒険者じゃねぇだろ?」
何か吹っ切れた。そう感じたアデルは爽やかな笑顔を返す。ぐだぐだ言うだけで何もしない奴は嫌いだが、がむしゃらに立ち向かう奴は嫌いじゃない。
「そうだな」
「コイツらには随分世話になったんだ……目一杯お返しするのが礼儀だよなぁ?」
「おおよっ!」
生き生きと殴り掛かっていく冒険者たち。あっという間に警備隊が一人、また一人と倒れていく。
「お、おいっ!それでも誇り高いアリステア兵かっ!冒険者ごときに遅れをとるとは何事だっ!しっかり戦わんかっ!あっ!こらっ!何をする!離せっ!」
アデルは慌てる男爵の襟元を掴み、軽々と持ち上げる。
「おいお前。お前こそ冒険者舐めてんじゃねーか?俺たちは毎回魔獣相手に命削ってんだ。お前達みたいに人間相手の戦争ごっこに現を抜かすほど暇じゃねぇんだよ。そこら辺の兵士がっ!熟練の冒険者にそう簡単に勝てると思うなよっ!」
アデルの言葉に冒険者たちは一斉に声を挙げる!
「そいつの言う通りだ!」
「冒険者舐めんなっ!」
「お前ら皆覚悟しろよっ!」
「ヒッ……」
冒険者たちの勢いに恐れをなし、思わず逃げ出す警備隊たち。しかし、扉の前にそびえ立つゴーレムを見て、その顔が絶望に染まった。
「ヒッ!な、なぜここに魔物がっ!」
「そうそう。逃げられるなんて思うなよ?このギルドは完全に包囲してるからな。さぁ、楽しもうぜ?」
♢♢♢
―――冒険者たちは、警備隊の連中を縛り上げると、シャーリー男爵と同様に床に転がす。その数ざっと三十人程。
「こう数が多くちゃ転がしておいても邪魔だな」
「まとめて大監獄の地下牢に入れてやれば良いんじゃねーか?」
「そりゃいいや!」
言うが早いか、縛り上げた警護兵たちを近くにあった荷馬車に次々と放り込んでいく。
「おらっ!今度はお前らがネズミと仲良くするんだなっ!」
「そ、そんな!た、助けてくれ……」
「よし!大監獄に出発だっ!兄さん!乗ってくかいっ!?大監獄はここから良くみえる、あの細長い塔だ!」
威勢の良い冒険者たちの声にアデルは軽く首を降る。
「いや、俺はこっちのほうが早い。先に行ってるから、お前達はそいつらを頼む」
ニヤリと笑うと、アデルの体が黄金色に光輝く。あまりの眩しさに思わず目をつぶった冒険者たちが次に見たのは、空中に掛かった大監獄までの道だった。
「……はっ?」
「じゃあ後でな」
スタスタと空に掛かった道を歩くアデルを、呆然と眺める冒険者たち。
「なぁ、これってやっぱり夢かな?」
「ああ、都合の良い夢見てんじゃねぇかな。お前ちょっとほっぺたつねってみろよ」
「……おう」
「イテテテテ!何で俺のほっぺたつねるんだよ!」
「お、おう、悪い」
「夢じゃねぇよな?」
「夢じゃねぇみたいだな……」
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