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2章 冒険者としての生活
竜言語魔法
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白兎亭に戻って着替えた俺は、街からほど近い草原地帯にやって来た。
何をするかと言えば、使い方がわかった魔法の練習と検証である。
「じゃあ、まずはライトからだな」
もとの世界では無かった不思議物質でもある魔力を指先に集める。
発動体は使うと危なそうなので無しだ。
それをフィラメントと3ボルト程度の電圧を想像して発光をさせようとする。
電圧が低かったせいか、赤く薄暗い灯りがついた。
一応成功である。
断続的に電気として魔力を供給し続けながら、この現象を観察する。
見ただけでわかるとは思えないが、一体どのような作用でこの魔法が成立しているのかが気になって仕方がない。
領主の館でのろうそくの実験を見れば、酸素が無ければ火がつかないという元世界とほぼ同じ結果であった。
そこへきて、魔力を供給するだけで、火になったり風になったり土になったり水になったりと、するのはどういった原理なのだろう?
「まぁ、それを言い出すとチートツールとか色々と無視しまくりなんだけどな」
俺は火や水など他の魔法も一通り使用してみて、問題無く使えるようになっている事を確認して、使用感や現象として現れる瞬間の違い等を比較していった。
わかったことは、行程が増えるとそれに比例して時間と消費が増え、現象で現れる物の質量にも比例して消費が変化するようだ、
質量に比例するので、火や風に比べて水や土は消費が大幅に増える傾向がある。
光は随分と消費が少なかったが集めようとすると加速度的に消費がふえた。
レベルが足りないのかレーザーは使えなかった。
仮説ではあるが魔力1対して質量1の現象に変換され、行程1つにつき魔力1、というようになっているのでは無いだろうか?
ただ、エーリカも言っていたが変換の際に 魔力のロスが出てくるので、100%変換される事は無くロス分の魔力は消費してしまう。
魔力が何らかのエネルギーであれば、このロスは熱に変わってしまう筈であるが、どの様に消費されているのかは今のところ不明だ。
魔法の発生過程は謎だらけではあるが、発動したあとは、物理法則の影響を受けるようだ。
何も考えずに【ファイヤーボール】を打ち出しても、空気抵抗の影響を受けてしまうので、すぐに失速してしまい、悲しいくらい射程が短かった。攻撃魔法等を遠くに飛ばそうとするなら、初速を上げるか推進力が必要になるのである。
いくつか方法は思いつくが、爆発とかしそうだ。この世界のマジックユーザーはどのように解決をしているのだろうか?
今度エーリカに聞いてみよう。
もう一つ気になったのは、形を整えて水や土を出す事が出来るならば、複雑なものは無理としても、コップや皿などといった単純な形の物品をイキナリ作り出せるのではないかという事だ。
しかし、結論か言えば、これはうまく行かなかった。
全く出来ないという事は無さそうだったが、俺自身の造形技術や想像力が足りないのか、非常に歪な形の物しか出来なかった。
材質にしても土や木のような物しか作り出せなかった。
もしかしたら、魔法のレベルが足りないせいかもしれない。
魔法の暴発が怖いので、一旦この検証は保留にして、もうちょっと魔法を使いこなせるようになってから魔法のレベルをあげようと思う。
そして、使う勇気も無いのに名前の響きだけでスキルを取ってしまった『竜言語魔法』の検証を行う。
このスキルは、もちろんあのドラゴンが持っていたスキルである。
誘惑に負けて人気の無い森に行ってこれをセットした時は正直死ぬかと思った。
頭や体の内側から自分が破裂するのでは無いかという、急激なレベルアップの比ではない苦しみを味わった。
気絶して意識が戻ったときには3日も経過していて、気がついた時にはゴブリンの集落のごみ捨て場のようなところに全裸で転がっていてビックリしたものだ。
たぶんHPが減らないので、これ以上どうしようも無く身ぐるみはがれただけで捨てられたのだろう。
意識が戻って起きあがった事で、ゴブリンに気が付かれて、慌ててアイテムボックスから武器を出して全裸で応戦しながら逃げたりと、ちょっと思い出したくない事態になったのだ。
必死だった事もあって、アレで少し戦闘にも慣れたような気がする。
それはさておき、竜言語魔法である。
流れ込んできた知識では、膨大な魔力でゴリ押しする魔法で、重力に負けないように巨体を維持したり、空を飛んだりといった事に主に使われていてるようだ。
維持だけでなく、強化にも使われているし、仕組みまでは分からないが、いわゆるブレスを噴いたり天候もある程度操れつれるようだ。
俺自身が操れるかどうかは別問題であるが……。
無難そうな防御力アップを試してみよう。
通常の魔法でも防御力アップは存在するがたぶん比較にならないほど強いはずだ。
うまくいけば、今まで散々痛い想いをしてきた数々の事が、平気になるかもしれない。
期待を込めて、竜言語魔法を使う。
言語と付いているだけあって、発動するのに言葉を発する必要があるようだ。
自分の喉から、人とは思えないような複数の音が混ざったような音が出た。
正直血でも吐きそうな勢いであるが、スキル取得時に体に何か変化があったのか、普通に発声が出来た。
「いたたったたったたったたたったた!」
全身に何か刃物を刺されたかのような痛みが襲う。
「結局痛いのかよ! ちょ、マジやめて」
耐えきれずに中途半端なところで中断して体を確認してみると、なんと鱗が皮膚の中から生えてきていた。
なんかグロい。
「うえ、物理的に防御力を上げるのかよ、人外の世界にようこそってか!?」
これ元に戻るよな? 戻らなかったらどうしよう……。
何をするかと言えば、使い方がわかった魔法の練習と検証である。
「じゃあ、まずはライトからだな」
もとの世界では無かった不思議物質でもある魔力を指先に集める。
発動体は使うと危なそうなので無しだ。
それをフィラメントと3ボルト程度の電圧を想像して発光をさせようとする。
電圧が低かったせいか、赤く薄暗い灯りがついた。
一応成功である。
断続的に電気として魔力を供給し続けながら、この現象を観察する。
見ただけでわかるとは思えないが、一体どのような作用でこの魔法が成立しているのかが気になって仕方がない。
領主の館でのろうそくの実験を見れば、酸素が無ければ火がつかないという元世界とほぼ同じ結果であった。
そこへきて、魔力を供給するだけで、火になったり風になったり土になったり水になったりと、するのはどういった原理なのだろう?
「まぁ、それを言い出すとチートツールとか色々と無視しまくりなんだけどな」
俺は火や水など他の魔法も一通り使用してみて、問題無く使えるようになっている事を確認して、使用感や現象として現れる瞬間の違い等を比較していった。
わかったことは、行程が増えるとそれに比例して時間と消費が増え、現象で現れる物の質量にも比例して消費が変化するようだ、
質量に比例するので、火や風に比べて水や土は消費が大幅に増える傾向がある。
光は随分と消費が少なかったが集めようとすると加速度的に消費がふえた。
レベルが足りないのかレーザーは使えなかった。
仮説ではあるが魔力1対して質量1の現象に変換され、行程1つにつき魔力1、というようになっているのでは無いだろうか?
ただ、エーリカも言っていたが変換の際に 魔力のロスが出てくるので、100%変換される事は無くロス分の魔力は消費してしまう。
魔力が何らかのエネルギーであれば、このロスは熱に変わってしまう筈であるが、どの様に消費されているのかは今のところ不明だ。
魔法の発生過程は謎だらけではあるが、発動したあとは、物理法則の影響を受けるようだ。
何も考えずに【ファイヤーボール】を打ち出しても、空気抵抗の影響を受けてしまうので、すぐに失速してしまい、悲しいくらい射程が短かった。攻撃魔法等を遠くに飛ばそうとするなら、初速を上げるか推進力が必要になるのである。
いくつか方法は思いつくが、爆発とかしそうだ。この世界のマジックユーザーはどのように解決をしているのだろうか?
今度エーリカに聞いてみよう。
もう一つ気になったのは、形を整えて水や土を出す事が出来るならば、複雑なものは無理としても、コップや皿などといった単純な形の物品をイキナリ作り出せるのではないかという事だ。
しかし、結論か言えば、これはうまく行かなかった。
全く出来ないという事は無さそうだったが、俺自身の造形技術や想像力が足りないのか、非常に歪な形の物しか出来なかった。
材質にしても土や木のような物しか作り出せなかった。
もしかしたら、魔法のレベルが足りないせいかもしれない。
魔法の暴発が怖いので、一旦この検証は保留にして、もうちょっと魔法を使いこなせるようになってから魔法のレベルをあげようと思う。
そして、使う勇気も無いのに名前の響きだけでスキルを取ってしまった『竜言語魔法』の検証を行う。
このスキルは、もちろんあのドラゴンが持っていたスキルである。
誘惑に負けて人気の無い森に行ってこれをセットした時は正直死ぬかと思った。
頭や体の内側から自分が破裂するのでは無いかという、急激なレベルアップの比ではない苦しみを味わった。
気絶して意識が戻ったときには3日も経過していて、気がついた時にはゴブリンの集落のごみ捨て場のようなところに全裸で転がっていてビックリしたものだ。
たぶんHPが減らないので、これ以上どうしようも無く身ぐるみはがれただけで捨てられたのだろう。
意識が戻って起きあがった事で、ゴブリンに気が付かれて、慌ててアイテムボックスから武器を出して全裸で応戦しながら逃げたりと、ちょっと思い出したくない事態になったのだ。
必死だった事もあって、アレで少し戦闘にも慣れたような気がする。
それはさておき、竜言語魔法である。
流れ込んできた知識では、膨大な魔力でゴリ押しする魔法で、重力に負けないように巨体を維持したり、空を飛んだりといった事に主に使われていてるようだ。
維持だけでなく、強化にも使われているし、仕組みまでは分からないが、いわゆるブレスを噴いたり天候もある程度操れつれるようだ。
俺自身が操れるかどうかは別問題であるが……。
無難そうな防御力アップを試してみよう。
通常の魔法でも防御力アップは存在するがたぶん比較にならないほど強いはずだ。
うまくいけば、今まで散々痛い想いをしてきた数々の事が、平気になるかもしれない。
期待を込めて、竜言語魔法を使う。
言語と付いているだけあって、発動するのに言葉を発する必要があるようだ。
自分の喉から、人とは思えないような複数の音が混ざったような音が出た。
正直血でも吐きそうな勢いであるが、スキル取得時に体に何か変化があったのか、普通に発声が出来た。
「いたたったたったたったたたったた!」
全身に何か刃物を刺されたかのような痛みが襲う。
「結局痛いのかよ! ちょ、マジやめて」
耐えきれずに中途半端なところで中断して体を確認してみると、なんと鱗が皮膚の中から生えてきていた。
なんかグロい。
「うえ、物理的に防御力を上げるのかよ、人外の世界にようこそってか!?」
これ元に戻るよな? 戻らなかったらどうしよう……。
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