魔法使いの幼馴染を助けたら俺も魔法使いになってしまった件について ~灰色の対極~

若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)

文字の大きさ
79 / 143
第三章 灰色の対極

3-21

しおりを挟む
 その後、券売機の列に並んで、そのやばそうなホラータイトルの券を買った。券売機についてはいろいろ難しそうな印象があったけれど、人数や座席などを選ぶだけ。学生証を持ってきていなかったから一般の大人と同じ料金で券を買った。二人分。

 私も出すよ、と彼女が言ったけれど、それを制止する。こういうときにお金が出せなくては、男が廃る、というものだ。……まあ、正直よくわからない感覚ではあるけれど。

 その後は、上映時間というものに行動を左右される。買ったらすぐに見れるというわけでもないらしい。あまりにも知らないから、そのまま向かおうとしたら葵が苦笑しながらそれを止めた。

 「なんか昼ごはん食べよ?」

 そういえば、緊張で忘れていたけれど、昼飯時だ。胃がキリキリしていて食べ物を受け入れられる気がしない。

 映画館の近くにはそこそこに飲食店が並んでいる。駅前ということもあるが、その盛んに運営されている雰囲気はどこか都会的だとも感じる。

 「葵は何を食べたい?」

 こういうときは、僕が何かおすすめの場所とかを用意して、そうしてエスコート?みたいなやつをやるべきなのだろうが、自分で行動したらどこかへまを更に積み重ねそうだから、諦めて彼女に聞く。

 彼女は頭を傾けて髪を揺らす。考えるようなしぐさを取る。

 「うーん、ファミレスでいいんじゃないかな」

 



 そうして来たのは、緑色の看板が下げられているよく見るファミリーレストラン。母と何度か行ったこともあるし、葵とも何度か食べに行ったことがある。

 そう言えば、トラックに轢かれたあの日の昼食もここだったような気がする。もうすごい昔のようにも感じるのが不思議だ。

 ここに来たのはいいものの、デートの行先で普通のファミレスに来ていいのだろうか。

 今日に関してはこんな葛藤ばかりだ。デートというものを意識しすぎているために、その行動すべてを誤っているような気がする。いつもの彼女との距離感を図ることができない。

 「環は何頼むの?」

 「……そうだなぁ」

 映画の料金が結構かかったので、財布と相談しなければいけない。バイトというものをしとけばよかったのだと後悔をするけれど、母がそれを許してはくれないし、なんなら魔法使いになってからはそんな時間を見出すことはできなかったから、どうしようもない後悔なんだけれど。

 ──ああ、僕は魔法使いではなく、悪魔祓いでしかなかった。

 現実を認識する。葵に渡されたメニュー表、注文票とボールペンを目に映しながら、いろいろな思考が飛び交う。

 ──こんなことを考えるべきではないのに、そうして思考は、──劣等感が──。

 『いいじゃないか。別にそれで』

 ──甘い声が、言葉が聞こえてくる。それを受け容れてしまえば楽になるだろうに、そう劣等感が、対極が声をかけてくる。

 五月蠅い。五月蠅いから、聞こえないふりを続ける。それでも、言葉は心に反響し続けるのだけれど。



 ◇

 あらゆることに視線を逸らして、葵と昼食をとった。ドリンクバーを頼んで、そうして彼女が取りに行く、と悪戯めいた顔をして持ってきたのは、いろいろと掛け合わせたミックスのジュース。混沌とした色が広がっていて面白かった。それを飲んで噴き出す僕の姿、それを彼が笑う姿、心地がよかった。

 楽しいことに身を浸しておかなければいけない。楽しいことに視線を移して、そのほかの事には視線を向けてはいけない。彼女の声にだけ耳を貸していれば、そうして世界は安寧を保ってくれる。だから、無視を続けろ。無視を続けろ。

 『──────』

 対極は、ずっと僕に語りかけている。意識をするな、無視を続けろ。無視を続けろ。この瞬間だけは、自意識を殺めて、殺めて、殺め続けよう。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて

 「それじゃあ、そろそろ映画の時間だから行こうか」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「うん」

 彼女の声に意識を逸らせ。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「おいしかったね」

 彼女の声音に安心感を留めろ。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「あのジュースはびっくりだけどね」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 抱く感情、意識、感覚、すべてのものを殺め続けろ。

 『────殺めて』

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて──。





 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて──。

 「いやあ、めっちゃくちゃ血がすごかったね!!」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「心臓に悪かったよ、本気で」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「環が叫んでるの新鮮でかわいかったよ?」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 「かわいい、って言われると戸惑います」

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 ──僕は、いつまで自分を殺し続ければいいのだろう。





 いつの間にか、時刻は夕暮れ時になっていた。なんならそこにもう太陽はない。ちらつくオレンジ色の雲だけがそこにある。もう夜が来てしまう。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて。

 心がどこまでも自身への殺意を肯定する。ケリをつけなければいけないから、いい加減にそれを止めなければいけないのに、すべての感情が自分を殺め続ける。それを劣等感でさえも、対極でさえも肯定している。

 殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて殺めて──。

 「──ここ、だったよね」

 「──え?」

 殺めて。殺めてる意識を殺めて、そうして意識を取り戻す。

 葵から、声をかけられて、正常な意識を、思考をする。

 目の前に広がる景色。見覚えのある交差点。信号、当時の状況をそのままに再現したように、僕と彼女しかいない静かな空間。僕たちの存在を許容してくれる、そんな静かな世界。

 「……そう、だね」

 ここから、すべてが始まったのだ。

 ここから、非現実的なすべてが。

 彼女がここで僕を生かしてくれなければ、辿り着くことのできなかった今がある。

 今を紡ぐために、彼女が流した血がある、感情がある。そして、僕の感情もそのために積み重ねたのだと、そう実感する。

 ──言葉を吐くなら、今だ。

 自分を殺めている場合じゃない。対極でさえ働かな今の自意識で、今の在原 環で、彼女に言葉を伝えなければいけない。

 今日言えなかったら、もう一生、今の在原 環の言葉は届くことがない。だから、今しかないのだ。

 「──あのさ」

 深呼吸。すべてが固着した空気。天使の時間と見まがうほどに、重苦しく肺に蔓延る酸素ども。抵抗感のある気まずさ。彼女が息を飲み込むのが伝わるほどに繊細になった聴覚。どこか自分の鼓動さえ聞こえてきそうな

 「ここで、葵が助けてくれなかったら、僕はここまで来ることはできなかったんだ」

 「……うん、知ってる。その話は前にもしたじゃん」

 困ったように彼女は笑う。以前は見慣れなかった困り顔。最近ではよく見てしまう困り顔。見たくはないはずの顔なのに。それを拭うために僕は努力をしたつもりだったけれど、そのどれもが否定された。

 僕は、魔法使いじゃないから。

 彼女はそんな自分でも肯定してくれると言葉を吐いてくれた。寄り添ってくれた。駄目なことでもいいのだと、依存する先として自らを差し出した。その優しさに甘えていたくなる。

 でも、幼馴染というだけの関係性でそれは許されるわけがない。

 僕は、彼女が好きだ。『本当にそうなのだろうか』

 僕は、彼女と恋人になりたいのだ。『関係性を変えることで、依存を肯定したいだけなのではないか』

 僕は、彼女に踏み出したいのだ。『いいや、お前は踏み出すことで逃げる選択肢を見ているだけだ』

 言葉を吐くべきだ。『言葉を吐くべきではない』

 思いを伝えるべきだ。『伝えるべきではない』

 彼女に、きちんと向き合わなければいけないのだ。『向き合ってはいけないのだ』

 対極が倫理観をなぞる。それがどれだけ後ろめたいことなのかを理解させるために、意識の裏で罪をなぞり続ける。どこか吐き出しそうな感覚がある。でも、どうでもいい。

 「葵──」

 「──……うん」

 「──好きなん」

 好きなんだ、と適切な言葉を吐こうとした。

 彼女に対して真っすぐに向き合うために。

 でも、言葉は紡がれなかった。

 紡ぐことはできなかった。

 声はかき消された。

 言葉はなかった。

 声はなかった。

 仕方がない。

 彼女の声。

 それが。

 彼女の声。

 それだけが。

 交差点前にて。

 響いて還るから。

 「──ダメ、だよ」

 言葉を彼女は呟いた。

 「──今の環じゃダメ」

 ──自分を殺める言葉を。

 ───僕は再び繰り返した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...