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21騎士団長様と隠れ家生活は楽しいです!

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 ブライアンと隠れ家での生活はとても楽しい。
 使用人が傍にいて世話をしてくれるのとは違って、お互いに役割を決めて家事をしたり、庭の手入れや、ペガサスの世話をするのは新鮮だ。

 今日はシンヤが食事を作る番だった。

 この世界の食材は、元いた世界とほとんど同じような物ばかりで、調理方法にさほど違いはないので、そう難しくはないだろう。
 と、いう考えは甘かった。

 ――俺、料理なんて、した事なかった!

 ブライアンが料理している所を見てはいたが、肝心のどう作っていたのかは、きちんと観察していなかった。

 ――ブライアン様のいきいきした顔しか見てなかった!

 この隠れ家にきてから、ブライアンの様々な表情が見れて嬉しい。
 シンヤも、監視されているような生活から解放されて、すっかり明るい気分になっていた。

「シンヤ、手伝おう」
「ブライアンさまあ」
「どうした?」

 泣きついて料理ができないと訴えたら、笑われて頭をなでられる。
 ただの卵料理だというのに、フライパンにこげついたり、きれいに丸めたりできなくて困り果てていた。
 ブライアンに指導してもらったら、あっという間に出来上がって、目を丸くする。

 ふかふかの玉子焼きだ。
 出汁に変わるものがないので、洋風でオムレツに近い味だけど、見た目が玉子焼きなだけで、なんだか感動する。

 ブライアンが凝視しているので、シンヤは、はっとして、フォークで小さくきった玉子焼きをその口に運ぶ。

「はい、あ~ん」
「え」
「食べてください」
「あ、あ~」

 パクッと食べさせたら、ブライアンは顔をほころばせる。
 味はともかく、満足してくれた様で嬉しい。

「ありがとうシンヤ」
「えへへ」
「今度は私が」
「は、はい!」
「「あ~ん」」

 ブライアンに食べさせてもらいながら、何してるんだと我に返るが、楽しいからまあいいや、とシンヤも笑った。

 日が落ちる前に、庭の手入れに勤しむ。

 庭の草木は、屋敷を隠す役目と、ペガサスの餌の役目を担うため、枯れ草だけを丁寧にむしる。
 ブライアンと協力して、ひろい庭の左右から順番にむしっていく。
 ペガサスは、大人しくシンヤの傍でしゃがんでいた。

 このペガサスは、リードルフからもらったらしい。
 いつの間に、そんな仲になっていたのだろう。

 ペガサスはシンヤにもよく懐いており、身を擦り寄せてきた。

「かわいいなあ」
「シンヤ、そろそろ中に入ろう」
「あ、は~い!」

 ペガサスの頭をなでていると、ブライアンに呼ばれて、作業を切り上げた。
 ブライアンの背中を見つめながら、この生活がずっと続けば良いのにと、願った。

 でも、シンヤは気づいていた。

 なんだか、ブライアンではない、人の気配と視線を感じるのだ。


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