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一章

女の子と食事はデートというのだろうか?2

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 夜ごはんは、まあいつも通りだった。
 あえて話すとすると、まず各々の家庭の食卓を思い浮かべてみてほしい。
 そして、夜ごはんのことを思い出してみてほしい。
 まあ、だいたいそんな感じだ。
 もし、そんなかで口数が多い場合はそれのって感じだ。口数が少ないんじゃない。無言なんだ。
 で、そんな俺は今を迫られていた。『あの子と私、どっちが大切なの!』みたいなことを言われたわけじゃない。ただの、ソシャゲの話だ。
 深刻そうに切り出しておいてと思うかもだが許してくれ。えっ?全然深刻そうじゃなかったって?
 とにかく、実際究極の二択であることは変わりない。ソシャゲの中だが。
 まあ、簡単に説明するのであれば、今俺のやっているソシャゲがあるんだが、つい先程運営から最高レアリティーキャラの選択チケットなるアイテムが配布されたんだ。
 で、選択できるキャラは全部で4体。
 その中でもうち2体のキャラで俺はどちらにするか悩んでいるという状況だ。
 ソシャゲをやっている人なら経験したことがあると俺は信じているんだが、その2体のキャラのうち1体はとてつもない強キャラなんだ。ぶっ壊れレベルのな。でもな、俺の好みじゃない。
 で、もう1体のキャラは俺のドストライクの好みのキャラなんだが、別に強キャラってわけじゃない。
 もちろん、イベントのこととかを考えるのであれば強キャラを選ぶのが普通で自然な流れだと俺は思うんだが、さすがにドストライクのキャラだと話は別なんだ。例えるなら、ラブコメのラノベやマンガで結ばれてほしいキャラが主人公と結ばれなかったときのような感じだ。
 そして、俺は結果的にドストライクの好みのキャラを選ぶことにした。なぜかって?
 だって、強キャラならまた新キャラが出たときにも言われるだろうしな、うん。(自己暗示)
 まあ、みんなも参考にしてみてくれ。
 そうして、俺はなんとか究極の二択を乗り切った?のだった。

❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈

「お兄ちゃん朝だから起きて!」

「う~ん」

 妹のそんな声を聞きながら部屋にある時計を見る。
 時刻は6時30分。
 いつも通りだなと思いながら、

「早く準備して朝ごはん食べてね」

いつも通りのことを言われる。キモいがなかったし、妹様の機嫌は大分ご機嫌らしい。(なにがあったのやら......)
 てか、そろそろ目覚まし時計を買おう。
 俺はそう決意する。このままじゃちょっとだらしなさすぎる。毎朝毎朝、妹に起こしてもらう兄とかなんかいやだ。
 そう思いながら手早く支度を済ませ、学校に行く準備を整える。
 俺は朝ごはんを食べ、昨日と同じくらいの時間に家を出るのだった。


 学校に行く途中で響鬼をみつけ、昨日のソシャゲでの苦悩について話す。
 響鬼も同じソシャゲをしているので、同じことを思ったとか。(強キャラを選んだそうだが)

 そして、特に何かあるわけもなく放課後になった。
 俺は追記できていた連絡通り、昇降口で待っていると、

「お待たせしました。待ちましたか?」

 彼女は来たようで、俺にそう声をかけてくる。
 髪型は昨日と同じツインテールにまとめられており、やっぱり可愛いな~、とか思う。

「いや、俺もさっき来たばっかだから。それじゃ、行こうか」

 もちろん、嘘は吐いていない。実際、さっき来たばっかなのだ。
 だからデートとかでよくみるあれとは全く関係ない。

「はい」

 そうして俺は歩き出すと、彼女に手を差し出す。
 しかし、彼女はそんな手を気にする様子もなく俺の隣に並んでくる。
 て、スルーかよ!なんかしらのリアクション寄越せよ!と、心の中で突っ込むのだった。(むなしい)



 あらかじめ行こうと予定していた『ファミレス』に向かってる途中、カラスを見かけた。
 赤里鈴音の目がなぜか見えた。(美味しそう的な意味で。気のせいだろう。)
 まあ、鳥が好きなのだろう。
 カラスが特定で好きだとかそういうことはないだろう。あんな見た目なわけだし。
 とまあ、そんなこともあったが『ファミレス』に無事到着する。
 ちなみに、俺はここでバイトをしようと考えている。
 つまり、下見も兼ねているというわけだ。せっかくだからな。
 中を見る限りこの時間はあまり混んでいないようで、ポツポツと席が空いてるのを確認できる。
 そして、俺たちは普通に店に入ると人数を聞かれ、空いてる席にとおされる。
『店員には俺たちがどう見えるのだろうか?』とか思いながら俺はメニューを見る。
 俺は『ほろ苦い大人のティラミス』なるものに決める。

「その、赤里さんはどれにするか決まった?」

「....ニ.....より、え、ああ、はい。決まりました。」

 何か考えこどでもしてたのか、反応が少し遅れて返ってきたが、決まってるようなので俺は普通に『呼出』ボタンを押した。


 彼女はイチゴパフェを頼んだようだった。
 もちろん、メニューにはイチゴパフェじゃなく、なんか長い名前が載ってたのだがちゃんと覚えてない。
 で、それを要約した結果イチゴパフェだということだ。
 それを頼んだ彼女本人はとても幸せそうな顔で食べてはいるのだが、といった感じのようでもあるようだった。気のせいかもしれないけど。
 俺はといえば、『ほろ苦い』とかいてあったはずのティラミスが思ってたより苦かった。
 もしかしたら、俺は苦いものが苦手なのかもしれない。
 と、普通の時間が過ぎ去っていってたはずなのだが彼女が、

「ワニのが.......わね」

と、そんなことを呟いたのが聞こえて、て、ワニ!?今食べてるのイチゴパフェはず。それなのにワニ!?
 不思議に思って俺は、

「その、ワニを食べたことあるんですか?」

「えっ!い、いえ、ないわ!ないですよ?」

思わずそう訊くと、彼女は誰が見てもわかるほどあきらかに動揺しながらそう返した。
 もちろん、今の彼女の答えが嘘であったということは誰でもわかる。
 つまり、赤里さんはワニを食べたことがあるということだ。
 俺はどうすればいいのかわからず黙っていると、彼女は「はぁ~」とどこか諦めたように一度ため息をつくと、

「あるわよ!ワニ、食べたことがあるわ!あなた、確か柊悠といったわよね?」

と、人が変わったようにそんなことを言ってきた。
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