世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

文字の大きさ
7 / 44
一章

女の子と食事はデートというのだろうか?4

しおりを挟む
「えっと、お願いって、なに?」

 俺がそう訊くと、彼女は顔を赤く染めて、しばらくの間モジモジしてる。
 すると、意を決したように、

「とてつもなく不服ではあるんだけど、してくるやつから守って欲しいの。その、あんたも覚えてるでしょ、あのときのこと」

 そう言われて、またあのときのことを思い出してしまう。
 けど、それで俺はなんとなく理解する。

「で、この時間って、混雑してるじゃない?そのせいで、痴漢してくるやつがたまにいるのよ。だから、そいつから守って欲しいのよ」

 だから、どこの駅で降りるのかということを訊いたのかと理解する。
 つまり、ちょうどよかったということだ。

「別に、それはいいんだけどさ、俺でいいのか?」

「だから最初に不服って言ったのよ。でも、しょうがないからあんたで我慢するわ」

 お前は頼んでる側だろ!と思いながらも、言わないでおいた。めんどくさくなるからな。
 けど、腹立つものは腹立つんだよな~。

 一体今、どんな状況なのか?簡単に説明するなら、満員電車の中にいる。
 そう、俺は今、赤里の前に立って痴漢のやつから守っている。場所的には、電車の座席の端っこの方のドアとの角に立っている。
 というか、マジで小さいなー!
 周りの人から見たら、どう見ても俺が痴漢してるようにしかみえないだろ!
 まあ、制服を着てくれてるおかげでなんとかなってるけど。

「あんまり、こっち見ないでよ......」

 彼女は恥ずかしそうに、顔をそらしながらそう言った。
 そんな彼女の仕草に、俺はドキドキしてしまう。
 俺は思わず視線をそらすが、ここまで密着してるせいで、彼女のいい匂いが鼻孔をくすぐる。
 そのせいで、ただでさえドキドキしてる俺の心臓が余計にドキドキする。

 電車の中で、まだ春であるけど、やっぱり満員電車の中ということで、暑い。かなり、暑い。
 つまり、汗をかいているというわけだ。
 で、だ。なにが言いたいのか、というと、汗で制服がベタついてるせいで、下着が透けて見えている。
 そう、下着が透けて見えているのだ。
 別に、胸が大きいわけではない。胸が大きいわけではないんだけど、それとこれとは別なのだ。

「ねえ、今私の胸が小さいとか思ったでしょ?」

「お、思ってないよ」

 なんて鋭い地獄勘。
 というか、赤里のお陰で少し正気を取り戻す。
 と、そんな風にドキドキしたり、正気を取り戻したりしながら、一つ目の駅に到着する。
 運がいいのか、はたまた運が悪いのか、今俺たちがいるドアとは反対側のドアが開いた。
 けど、乗客は減るどころか、さらに増え、より密度が濃くなる。
 そのせいで、赤里とより密着することになる。
 別に大きいわけではないが、女の子特有の膨らみがあたるせいで、ドキドキするとともに、変にそれを意識してしまう。
 そして、電車が動き出すと、ガタゴトと揺れる。
 それによって、ただでさえあたっていた柔らかい感触がよりわかりやすく触れてしまう。
 そして、電車が揺れるたびに彼女は『あぁ........うん......ああん......はぁはぁ........ああぁぁん......』という色っぽい声を漏らしてる。
 柔らかい感触が先程からあたってることも相まって、俺はいけない気持ちになってくる。
 いい加減、俺は我慢の限界にきてしまい、彼女の顔をみると、顔を真っ赤にしていた。
 そのおかげで、俺は自分の正気をギリギリで取り戻す。
 てか、マジでやばかった。このままだったらヤッてたかもしれない。

「も、漏れそう......」

 彼女はそう言葉を漏らす。
 て、漏れそう?ちょ、待て!

「それは我慢しろよ」

「やばい、そろそろ本当に限界なんだって!」

「だったら、なんで電車に乗る前にトイレ行かなかったんだよ!」

「なっ!それぐらいのこと察しろ、バカ!」

 と、意味がわからないことを言ってくれたせいで、俺は完全に正気を取り戻す。
 そして、ようやく二つ目の駅に到着した。


 あのあと、彼女は顔を真っ赤にして『その、ありがとう。でも、絶対に忘れなさい!』と、そんなことを言うと、走って行ってしまった。
 まあ、走って行った理由が、どっちなのかはわからない。


「ただいま」

「遅かったね、お兄ちゃん。で、どこをほっつき歩いてたの?夕食の時間までには帰って来てって言ってるよね?」

 俺は家に帰ると、玄関で妹が仁王立ちしていた。
 まあ、妹が言ってることは家でのルールのようなものだから、完全に俺が悪い。
 そもそも、離婚して出ていったお母さんの代わりを妹がやってくれてるところもあるので、余計に怒ってるのもわかる。
 わかるんだけど、一つだけ言い訳をさせてくれ。
 遅くなるって、連絡したんだぞ?それなのに、ここまで言われるっ、ちょっと理不尽じゃね?
 いや、悪いのは俺なんどけども......。
 というか、単に妹の機嫌が悪いだけなのかもしれないけどな。

「けど、誰だかは知らないけど、女の子とのデート中にちゃんと『遅くなる』って連絡したから、これくらいで許してあげるけど、時間ぐらい守ってくれる?」

 いや、普通にブチ切れてる。
 だって、これぐらいって時点でおかしいからな。
 というか、連絡してなかったときのことは想像もしたくない。

「てか、デートなんかしてないんだけど?」

「はっ?」

 やば、俺今、地雷踏んだか?というか、めっちゃ怖いんですけど......。
 俺は、言わなきゃよかったと後悔する。

「女の子と、食事、してきたんだよね?それって、『デート』、だよね?てか、デート以外になにがあるっていうの?」

 よく考えてみれば、確かにデートだ。傍から見たら、完全にデートだ。
 けど、俺の人生初のデートがあれって。
 やば、デートだと思ったら顔が緩んで......。

「お兄ちゃん、キモい」

 いや、マジのトーンでそれを言うのはやめてほしいんだけど。
 いや、わかる。それを言った理由はわかる。
 だって、お前からみたら『妹に怒られて喜んでるようにしか見えないからな!』

「それじゃ、お兄ちゃんは夜ごはんをとっとと食べちゃって」

 「キモいをつけるな!」とは言わずに、「はい」と答えたのだった。
 で、待たせてるのは妹に申し訳ないので、

「遅くなったのは俺が悪いんだし、洗いものぐらいやっとくよ」

 と、妹に言うと、「それじゃよろしく。私はお風呂入ってくるから」と言って、行ってしまった。
 まあ、洗いものをする必要もなくなったわけだしな。
 そして、俺も夜ごはんを食べ始めるのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。

甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。 平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは── 学園一の美少女・黒瀬葵。 なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。 冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。 最初はただの勘違いだったはずの関係。 けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。 ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、 焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

君と暮らす事になる365日

家具付
恋愛
いつでもぎりぎりまで疲れている主人公、環依里(たまき より)は、自宅である築28年のアパートの扉の前に立っている、驚くべきスタイルの良さのイケメンを発見する。このイケメンには見覚えがあった。 何故ならば、大学卒業後音信不通になった、無駄に料理がうまい、変人の幼馴染だったのだから。 しかし環依里は、ヤツの職業を知っていた。 ヤツはメディアにすら顔を出すほどの、世間に知られた天才料理人だったのだ! 取扱説明書が必要な変人(世間では天才料理人!?)×どこにでもいる一般人OL(通訳)の、ボケとツッコミがぶつかりあうラブコメディ!(予定)

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...