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一章
女の子の部屋でドキドキゲーム時間《タイム》5
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葵の家は、そこそこの坂道をちょっと疲れるくらいの時間登ったところにあった。
方向的には、俺の家とは真反対で、帰りは少し急がないといけないなと思う。
そして、俺は葵の家に入った。
家に入ると、元気のいい葵のお母さんに、「葵とはどういう関係なの?」と、とてもニヤニヤしながら真っ先に訊かれた。葵は、「もう、お母さん......!余計なこと聞かないでよ!」と、顔を少し赤らめて、恥ずかしそうにそう言った。
俺は「ただの友達です」と、質問に答えると、「これ、つまらないものですが、どうぞ」と、そう言いながら、来る前に買っておいた、三日月堂のクロワッサンを手渡す。葵のお母さんは「これは、ご丁寧に。ありがとう」と、ほほ笑みながらそう言うと、引っ込んでいった。
それにしても、葵のお母さんは恋バナ好きの女子校生という感じだな。
たぶん、娘が男友達を連れてきたのは初めてのことだったのだろう。
そんなふうに思いながら、なにとはなしに葵を見る。
葵はなぜか『しゅん』としていた。
けど、次の瞬間にはいつもの葵に戻っていて、「それじゃ、付いてきて...!」と言って、俺を自分の部屋まで案内してくれる。
ただ、俺はこのときの葵の顔が、どうにも頭からはなれてくれなかった。
今も葵の『しゅん』とした顔を鮮明に思い浮かべている。
少し悲しそうで、それでいてなにかを諦めたようなそんな顔。
普段の葵からは想像もできないような顔なだけに、あまりにも印象的だったのだとそう思うしかなかった。
そんなことを思っているうちに、葵の部屋に着いたようで、「ここが私の部屋」と言う声で、意識が現実に戻ってきたような感覚をおぼえる。
そして、葵が扉を開け中に入ると、そこには実に女の子らしい空間が広がっていた。
俺の部屋といえば、ラノベや漫画なんかが部屋のほとんど支配しているのに比べ、葵の部屋はぬいぐるみだとか、そういったものが部屋のほとんどを支配している。
実にかわいいと思う。俺の思ってる葵のイメージとよく一致する。
壁紙は淡いピンク色で、なんとなく葵らしいと感じる。
基本的に部屋の中は綺麗に片付けられており、白と淡いピンクを基調とした葵の部屋は、より綺麗にみえた。
俺の部屋なんて、あちこちにものが転がっていて、ときどき怪我をすることもある。
そういうこともあり、妹からはよく『片付けをしろ』と言われる始末だ。
そんなわけだから、俺はちょっとした感動を覚えていると、
「......もう、悠くんってば............!そんなに部屋の中を見られると、恥ずかし、い」
本当に恥ずかしいらしく、葵の発した言葉は尻窄みしている。
俺はそんな葵の様子が、一層かわいくみえて、少しいじめたい気持ちが芽生える。
これが、そういう人の気持ちなのかと、少し理解できた気がする。
けど、俺は素直に言うことにする。
「ご、ごめん......!女の子の部屋とか初めて入ったから、ちょっと物珍しかったもんで、さ......」
「私だって、男の子を部屋にあげるなんて初めてのことだって言ったじゃん!......それで、どう?もしかして、子供っぽいとか思った?」
葵にそう言われ、確かに子供っぽいとも思う。
けど、やっぱり葵らしい。
なんというか、そういうところも含めて葵らしいと感じる。
だから、俺はこう言った。
「確かに、少し子供っぽいところもあると思うけど、全体的に可愛らしくて、葵らしい部屋だなって思ったよ」
自分でも、言ってて少し顔が火照っているのがわかる。
「そっ、か......。私らしい、か...」葵はそう呟くと、「ちょっと待ってて!」と俺に言うと、部屋を出ていく。
俺は葵にそう言われたということもあり、大人しく待ってることにする。
そして、しばらくすると葵がお菓子とジュースののった、アンティーク調のおぼんをもって戻ってきた。
お菓子のちかくには、俺の買ってきた三日月堂のクロワッサンが二つ、皿にのっていた。
そして、葵は楽しそうにこう言った。
「ねえ、悠くん。これから、私と『ゲーム』しない?」
そう言った。
俺としては別に構わなかった。
というか、どっちかといったら、その方が助かる。
というのも、特にこのあと用事があったわけじゃないという理由から葵の家に来ただけだ。
なにをするのか?とか、具体的なことも決まってなかったし、なにをしたらいいのかということもわかってなかった。だから、俺はちょうどいいと思い、葵のそんな提案を受けることにする。
「わかった。それで、なんのゲームをしようと思ってるんだ?」
「えっ...?ほんとに?やったー!それじゃーね──......マリヲカートとかどうかな?私、このゲームは昔やってたけど、最近はやってなかったから、久しぶりにやるんだけど、できるかな......」
「マリヲカートか......」
正直、俺はかなり上手いほうだと思ってる。
だからこそ、久しぶりにやるという葵の言葉にどうしようか悩む。
ちなみに、マリヲカートとはアイテムを使ったりして、順位を競い合うレースゲームだ。
ただ、なにか罰ゲームとかがあるわけでもないわけだし、少し手加減すればいいかなと思い、俺は「それじゃ、マリヲカートやろう」そう承諾した。
しかし、そんなときだった。
葵の口から爆弾発言が投下されたのは。
「ねえねえ、せっかくだし勝負しない?勝った人が、負けた人に、なんでも命令できるっていう、罰ゲームつきで......!」
勝負。
しかも、勝った人が負けた人になんでも命令できるというもの。なんでもということは、ほんとになんでもいいということだろう。
正直、今の俺は負ける気がしない。
ただ、葵のことを思うと、少し罪悪感のようなものを感じる。
俺はときどきやっているが、葵は久しぶりにやるのだ。
操作とかも、もうほとんど忘れてしまっていてもおかしくないだろう。
けど、ここで俺は引き下がるなんてことはできない。
なぜなら、勝てると思ってるなら、この勝負を受けないメリットがないからだ。
だから、
「......わかった。その勝負、受ける」
俺はそう言った。
葵への罪悪感を感じながらも、自分の中にある欲望を抑えることなんてできなかった。
方向的には、俺の家とは真反対で、帰りは少し急がないといけないなと思う。
そして、俺は葵の家に入った。
家に入ると、元気のいい葵のお母さんに、「葵とはどういう関係なの?」と、とてもニヤニヤしながら真っ先に訊かれた。葵は、「もう、お母さん......!余計なこと聞かないでよ!」と、顔を少し赤らめて、恥ずかしそうにそう言った。
俺は「ただの友達です」と、質問に答えると、「これ、つまらないものですが、どうぞ」と、そう言いながら、来る前に買っておいた、三日月堂のクロワッサンを手渡す。葵のお母さんは「これは、ご丁寧に。ありがとう」と、ほほ笑みながらそう言うと、引っ込んでいった。
それにしても、葵のお母さんは恋バナ好きの女子校生という感じだな。
たぶん、娘が男友達を連れてきたのは初めてのことだったのだろう。
そんなふうに思いながら、なにとはなしに葵を見る。
葵はなぜか『しゅん』としていた。
けど、次の瞬間にはいつもの葵に戻っていて、「それじゃ、付いてきて...!」と言って、俺を自分の部屋まで案内してくれる。
ただ、俺はこのときの葵の顔が、どうにも頭からはなれてくれなかった。
今も葵の『しゅん』とした顔を鮮明に思い浮かべている。
少し悲しそうで、それでいてなにかを諦めたようなそんな顔。
普段の葵からは想像もできないような顔なだけに、あまりにも印象的だったのだとそう思うしかなかった。
そんなことを思っているうちに、葵の部屋に着いたようで、「ここが私の部屋」と言う声で、意識が現実に戻ってきたような感覚をおぼえる。
そして、葵が扉を開け中に入ると、そこには実に女の子らしい空間が広がっていた。
俺の部屋といえば、ラノベや漫画なんかが部屋のほとんど支配しているのに比べ、葵の部屋はぬいぐるみだとか、そういったものが部屋のほとんどを支配している。
実にかわいいと思う。俺の思ってる葵のイメージとよく一致する。
壁紙は淡いピンク色で、なんとなく葵らしいと感じる。
基本的に部屋の中は綺麗に片付けられており、白と淡いピンクを基調とした葵の部屋は、より綺麗にみえた。
俺の部屋なんて、あちこちにものが転がっていて、ときどき怪我をすることもある。
そういうこともあり、妹からはよく『片付けをしろ』と言われる始末だ。
そんなわけだから、俺はちょっとした感動を覚えていると、
「......もう、悠くんってば............!そんなに部屋の中を見られると、恥ずかし、い」
本当に恥ずかしいらしく、葵の発した言葉は尻窄みしている。
俺はそんな葵の様子が、一層かわいくみえて、少しいじめたい気持ちが芽生える。
これが、そういう人の気持ちなのかと、少し理解できた気がする。
けど、俺は素直に言うことにする。
「ご、ごめん......!女の子の部屋とか初めて入ったから、ちょっと物珍しかったもんで、さ......」
「私だって、男の子を部屋にあげるなんて初めてのことだって言ったじゃん!......それで、どう?もしかして、子供っぽいとか思った?」
葵にそう言われ、確かに子供っぽいとも思う。
けど、やっぱり葵らしい。
なんというか、そういうところも含めて葵らしいと感じる。
だから、俺はこう言った。
「確かに、少し子供っぽいところもあると思うけど、全体的に可愛らしくて、葵らしい部屋だなって思ったよ」
自分でも、言ってて少し顔が火照っているのがわかる。
「そっ、か......。私らしい、か...」葵はそう呟くと、「ちょっと待ってて!」と俺に言うと、部屋を出ていく。
俺は葵にそう言われたということもあり、大人しく待ってることにする。
そして、しばらくすると葵がお菓子とジュースののった、アンティーク調のおぼんをもって戻ってきた。
お菓子のちかくには、俺の買ってきた三日月堂のクロワッサンが二つ、皿にのっていた。
そして、葵は楽しそうにこう言った。
「ねえ、悠くん。これから、私と『ゲーム』しない?」
そう言った。
俺としては別に構わなかった。
というか、どっちかといったら、その方が助かる。
というのも、特にこのあと用事があったわけじゃないという理由から葵の家に来ただけだ。
なにをするのか?とか、具体的なことも決まってなかったし、なにをしたらいいのかということもわかってなかった。だから、俺はちょうどいいと思い、葵のそんな提案を受けることにする。
「わかった。それで、なんのゲームをしようと思ってるんだ?」
「えっ...?ほんとに?やったー!それじゃーね──......マリヲカートとかどうかな?私、このゲームは昔やってたけど、最近はやってなかったから、久しぶりにやるんだけど、できるかな......」
「マリヲカートか......」
正直、俺はかなり上手いほうだと思ってる。
だからこそ、久しぶりにやるという葵の言葉にどうしようか悩む。
ちなみに、マリヲカートとはアイテムを使ったりして、順位を競い合うレースゲームだ。
ただ、なにか罰ゲームとかがあるわけでもないわけだし、少し手加減すればいいかなと思い、俺は「それじゃ、マリヲカートやろう」そう承諾した。
しかし、そんなときだった。
葵の口から爆弾発言が投下されたのは。
「ねえねえ、せっかくだし勝負しない?勝った人が、負けた人に、なんでも命令できるっていう、罰ゲームつきで......!」
勝負。
しかも、勝った人が負けた人になんでも命令できるというもの。なんでもということは、ほんとになんでもいいということだろう。
正直、今の俺は負ける気がしない。
ただ、葵のことを思うと、少し罪悪感のようなものを感じる。
俺はときどきやっているが、葵は久しぶりにやるのだ。
操作とかも、もうほとんど忘れてしまっていてもおかしくないだろう。
けど、ここで俺は引き下がるなんてことはできない。
なぜなら、勝てると思ってるなら、この勝負を受けないメリットがないからだ。
だから、
「......わかった。その勝負、受ける」
俺はそう言った。
葵への罪悪感を感じながらも、自分の中にある欲望を抑えることなんてできなかった。
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