世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

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一章

女の子の部屋でドキドキゲーム時間《タイム》7

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 最後のアイテムボックスまでの少しの間、なんとかテクニックで抜けないかと、なんども試してみたが成功しなかった。
 スリップストリームもなんどもやろうとしたが、残念ながら成功することはなかった。
 というのも、俺の思考が読まれているのではないかと思うほど、絶妙によけるのだ。
 もう少しでスリップストリームが決まるというところで、右や左にずれたりとなかなか成功しない。
 最後のアイテムボックスまでの少ししかない残りの道で、なんどもそれをすることもできず、平行線のように順位は変わらずにゲームは進んでいく。
 今はすでに、スリップストリームをすることは諦めた。
 スリップストリームをすることだけにとらわれて、葵との距離がひらいてしまっては元も子もない。
 そんなわけで、今は純粋に追いかけている。
 もしかしたら、途中でミスをするかもしれないという淡い期待もあるのだが、最後のアイテムボックスで、赤こうらなどといった、相手を妨害するためのアイテムさえ出れば、一位になることぐらいならできる。
 あとは、トゲゾーこうらがこないことを祈るだけだ。
 そんなわけで、なんとか葵においていかれないように、ついていってるのだ。


 葵が選んだのは桃冠王女というキャラだった。
 とても彼女に似合ってると思う。
 部屋の色と同じ、ピンクを基調としたデザインの服を着たキャラだ。
 俺が選んだのは、赤い配管工というキャラだ。
 赤いとキャラの名前に入ってるからわかるかもだが、赤を基調としている。
 だが、一番は赤い帽子を被ってるところだろうか?


 と、そんなことを思い出していると、最後のアイテムボックスに近づいてきた。
 順位は相変わらずの平行線で二位のままだ。
 俺の運命はこのアイテムボックスにかかってるといっても過言ではない。
 このレースの順位が、そのアイテムボックスのアイテムで決まるのだから。
 赤こうら!赤こうら!
 俺はそう願う。
 最後の希望のアイテムボックスを余裕で取ることに成功する。
 どれがきてもおかしくはない。バナナ、緑こうら、アイテムボックスもどき、何種類ものアイテムの中から一つのアイテムを狙う。
 クルクルと回りだしたアイテム欄が止まったのは、赤こうらのところではなかった。
 同じという意味では同じだが。
 俺が引いたアイテム、それはキノコだった。
 トリプルキノコではない、ただのキノコだ。
 けど、今の俺には十分過ぎるアイテムだった。
 このアイテムさえあれば、なんとか葵を抜くことができる。
 こうなったらやることは一つしかない。
 アイテムがなくなる前に、使うことだ。
 CPUからのオバケや赤こうら、運が悪ければ緑こうらに当たってアイテムを失うことになる。
 こうなってしまっては、せっかくできた最後のチャンスを失うことになってしまう。
 ただ、一つだけここには問題がある。
 葵がを引いてる場合だ。
 もし引いてるのであれば、順位が変わったときを狙って使ってくるだろう。
 そのことを考えるのであれば、ゴールする前ギリギリを狙うしかない。
 つまり、俺はCPUのオバケや赤こうらがこないことを祈るしかない。
 それと、緑こうらに当たらないように務めるだけだ。
 葵に逃げ切りなんて、させるつもりはない。
 だから、俺はアイテムを温存させたまま、葵をいつでも抜けるような位置でおいかける。

 そして、ゴールが見えてくる。
 このコースは、少し遠くからでもゴールが見えるため、まだ先ではあるが、ここまで来たのだという緊張が俺を支配する。
 最後の真っ直ぐの道。ゴール手前といっても差し支えない場所で、俺はキノコを使った。
 けど、俺はもう一つのことを忘れていた。
 それは、サンダーの存在だ。
 サンダーというアイテムは、使った本人以外のすべてのキャラクターを小さくするというものだ。
 このとき、持っていたアイテムを失うことはもちろんのこと、スター、キラーのアイテムを使ってる最中以外のキャラクターは、バナナをくらったときと同じダメージをくらう。
 つまり、俺が使ったキノコは意味がなくなったということだ。
 通常であれば、キノコを使えばスピードアップするところだ。
 けど、サンダーが直撃したのなら別だ。
 スピードアップしたところで、サンダーの影響でスピードが落ち、一度止まる。
 結果、使ったキノコは無駄になる。
 そんなわけで、俺と葵の差は埋まることなく勝負の決着がついた。
 葵の逃げ切りを許す形になってしまったが、いい勝負だったと思う。
 そもそも、CPUと俺たちの差がひらきすぎてるせいで、時間差で12位のキャラクターがサンダーを引いた、
 それが、俺たちがゴールする手前の場所だったせいで、タイミングよく俺の使ったキノコが無意味なものとなってしまった。
 そういうことだった。
 俺は負けたが、悔いは全く残ってなかった。
 それだけ、いい勝負ができたと思ったから。

 5レース目の結果は、僅差で俺の負け。
 本当にギリギリだった。
 そこで、俺は自分のいた場所がかなり移動していたことに、今さらのように気づいた。
 最初、俺は部屋の床に座って、マリヲカートをプレーしていたのだが、今は葵に近づいて行くように、葵が普段使っているであろうベットの上に腰を掛けていた。
 俺がその状況に、少し唖然としていると、

「はぁ~。よかった、勝てた~。悠くん本当に強かったから、負けちゃうかと思ったよ~」

 一度ため息をついてから、葵は気の抜けたようなことを言った。
 でも、その気持ちもわかるような気がした。
 実際、俺もそんな気持ちだ。
 葵の、「負けちゃうかと思った」というのは事実だろう。
 煽りでもなんでもない。
 事実、俺と葵はそれだけの勝負をしていた。
 ハラハラ、ドキドキするいい勝負だったと思う。
 最初、勝負を始める前のときに感じていた罪悪感も、もはや少しも感じていなかった。
 そもそも、これだけ強いのに久しぶりにやるなんて言うのは、まさに信じがたいことだ。
 と、俺がそんな思いを抱いていると、

「ねえ、悠くん。勝負をする前に私が言ったこと、ちゃんと覚えてる?」

 葵が、イタズラをする前の子供のように、そんなことを言ってきた。
 俺は、もちろんのように覚えている。
 というのも、それが一番の目当てだったといっても過言ではない。
 だから、俺はこう言った。

「ちゃんと覚えてるよ。それで、どんな命令をするんだ?」

「う~ん。そうだな~、ちょっと考えさせて?」

 彼女はそう言うと、俺をベットに押し倒してきた。
 そんな彼女の行動と、言葉が噛み合ってない状況に俺は面食らってしまった。
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