世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

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一章

週末は、妹とラブラブ遊園地のはずだった……9

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「それで、次はなに行くの?」

 時間は有限なのだから、無駄にするなんてもったいない! と、言わんばかりの様子で聞かれる。
 正直、しっかりとプランを立ててきてるから、一応、すべて決まっては、いるのだが……。

「えっとな、その……」

「なに?」

「ジェットコースターに乗ろうと──」

「はっ……? 私、ジェットコースターが嫌だって知ってるよね?」

「だから、聞いたんだよ。アトラクションとかを好きにしていいか」

「……っ! 汚い。てか、最低。キモい」

 さすがの彩華でも、ここは分が悪いことはわかってるらしい。
 そりゃそうだ。自分で言った言葉なんだから、覆りようがない。
 ただ、最後の抵抗と言いたげに罵倒してきた。まあ、俺レベルになると、このぐらい致命傷程度で済む。

「あっ、見えてきた。あれに乗ろうと思ってる」

 俺は指差しながら、彩華にそう伝える。
 ここまで来たら、最後まで付き合ってもらおうか。

「ねえ、お兄ちゃん。私、少しお花摘みに行こうと思うんだけど……」

「うん? ああ、わかった。それじゃ、ここで行ってきなよ」

「いや、お兄ちゃんは並んでていいよ」

「なに言ってるんだよ。これは、お前と遊園地を回るために立てたプランなんだから、ちゃんと待ってるよ。気にしないでくれ」

 どうだ……! 逃げ道なんて、最初からありはしない。
 諦めてジェットコースターに乗ってもらうぞ。観念したまえ!

「そ、そっかー……」

 明らかに棒読みでそう言って、トイレの方に向かう。
 けど、途中で一度立ち止まって振り返ると、まるで親の敵でも見るかのような目でこっちを見て、すぐに向かっていった。
 まあ、親は同じなんだけどな。


 そうして、少しの間待ってると、トイレから戻ってきた彩華は青ざめた顔をしていた。

「おい、大丈夫か? 顔真っ青だぞ」

「お兄ちゃんのせいでしょ。心配するぐらいならジェットコースターに乗るのをやめて」

「いや、それは無理」

 彩華はちっ、と舌打ちをして元の様子に戻る。
 て、まさかあれが演技だったとは……。
 そうして、俺たちはジェットコースターに乗るために行列の最後尾に並ぶ。

「ジェットコースターはやっぱり人気だな。結構な人数が並んでる」

「それなら、他のアトラクションに行く?」

「まあ、ジェットコースターには乗るけどな」

「ちっ……」

 どうやら、どうにかしてでもジェットコースターに乗りたくないらしい。
 ただ、もはやもう既にときは遅い。
 ここまで来てしまったら、逃げ道なんてものは存在しないからな。
 そして、順番は刻一刻と迫る。

「そろそろだな」

 ジェットコースターに乗れることへの高揚感から思わず、そう言葉が漏れる。
 そして、いよいよ順番が来た。
 もちろんのように、俺と彩華は隣同士。

「それでは楽しんで行ってらっしゃい!」

 爽やかイケメンの男性のスタッフが、そう言ってジェットコースターをスタートさせる。
 ガタガタとジェットコースターが登りだす。
 すぐに上に辿りつき、今か今かとその時を待つ。
 そして──

「イェ~イ!」

「うぎゃゃゃゃゃゃゃーーー!」

 俺と彩華はまるで対極の反応を示しながらジェットコースターを俺は楽しむ。
 というか、俺に至っては陽キャが遊園地に来たときのノリとほぼ同じと言ってもいい。
 陰キャの俺は、それぐらいにテンションが上がりながら、ジェットコースターを楽しむ。
 いや、もはや楽しむというより、最高。正直、なにを言ってるのかわからないが、まあそんな気持ちなんだ。
 そして、ジェットコースターは一度、速度を減速させる。
 が、別に終わったわけじゃない。
 それどころか、これからが本番だ。

「えっ? なに? これで終わり?」

 彩華はそう呟くなり、その考えが間違ってることにすぐに気づいたらしい。
 なぜなら、ジェットコースターはまた登り出したから。
 そう、このジェットコースターは一度に二度も楽しめる素晴らしいジェットコースターなのだ。

「まさかっ……!」

 そして、ジェットコースターはまた走り出す。
 しかも、最初よりも高いところからスタートして……。

「キャャャャャャャャャーーー!」

 彩華は思った通り、叫び出した。
 もちろん、俺の方は陽キャのそのノリ。
 まさか、俺が陽キャのノリで遊園地を堪能できるとは、思ってもなかった。
 ジェットコースターというのは、こうも人を変えてくれる素晴らしいアトラクションだったらしい。
 俺は終始ジェットコースターを楽しんだのだった。


「なんなの、あの乗り物。終わったかと思ったら、不意打ちでくるし」

「そういうアトラクションだからな」

 どうやら、家の妹様はご機嫌斜めらしい。
 まあ、それはもう仕方がない。
 というか、ほぼ俺のせいのようなものだ。嫌がることをさせたんだから仕方ない。

「でも、もう顔色も良くなっきたみたいだからよかった」

 ジェットコースターを乗り終えた直後の彩華の顔色はもう、真っ青も真っ青だった。
 なんというか、魂の抜け落ちた入れ物のような状態だった。
 もちろん、これを機になにかしようだなんて、これっぽっちも考えてない。断じてない。
 まあ、そんなわけだから少し休憩することにした。

「もう二度と、ジェットコースターなんて乗り物は乗らない」

 どうやら、相当にこたえたらしい。
 俺としても、彩華をジェットコースターに乗せるのはほどほどにということは覚えた。

「でも、まあ。お兄ちゃんと一緒だったらいいけど……」

「えっ、なにか言ったか?」

 急にぼそっとなにか言ったものだから、聞き逃してしまった。

「べ、別になんでもない! 気にすんなバカ」

 確かに、俺の妹様は頭脳明晰であるため、圧倒的に彩華よりは頭が悪いと言えるのだが、一体なぜ急にそんなことを言われてるんだ? 全くわからん。
 その理由を知るにはなんて言ったのか聞けばわかるかもしれないが、ご機嫌斜めなときはそっとしとくに限る。
 触らぬ神に祟りなし。触らぬ妹にも祟りなし。そういうことだ。
 そんなわけで、少しの間ベンチで休憩する。

「なあ、時間的にも丁度いいし、昼ごはんにしないか?」

「別にいいけど、なに食べるの?」

「うん? ああ、いろいろあるところだから安心しろよ。好きなの頼んだらいい」

「お兄ちゃんにしてはいい考え……」

 俺への評価は既に最低の位置にあるらしい。
 いや、どう考えてもジェットコースターのせいだろうが……。
 まあ、そんなわけで昼ごはんを食べる運びとなった。
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