世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

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一章

週末は、妹とラブラブ遊園地のはずだった……10

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 今は、昼ごはんを終え、遊園地をあとにしようとしていた。
 さて、俺はどこで選択を間違えたのか。
 とりあえず、俺の目の前にいる美少女こと、妹の彩華あやかは怒っている。
 それも、現在進行系でその気持ちは増していってる気がする。

 小一時間ほど前のこと──


 俺たちは昼食を食べるため、WOODYウッディーに向かった。
 その間、しりとりをすることになった。
 手持ち無沙汰だからな。
 物の指定のない、三文字しりとり。

「それじゃ、私の『わ』からで、私から」

「しりとりの『り』じゃなくてか?」

「なに?」

 ギロリと俺を睨みつける目は、口答えなど、言語道断と言わんばかりのまじの目だった。

「わ、わ、輪ゴム」

「む~、ムース」

すずり

「リグレ」

「りぐれ? ってなによ」

 ここまで、せっかくスムーズにきてたというのに。
 
「リグレッションの略だ。リグレというらしい」

「ふーん。でも、本当だ。わかった」

 そして、結局、リグレはありと判断されたらしい。

「連打」

 び、微妙だ。いや、さっきのをありにしてもらって、これはなし、なんてできない。

「だ、だんて」

「はぁ……」

 どこか呆れたようなため息が聞こえてきた。おい。その反応はやめろ。

「手損」

「えっ、……? いや、それん付いてるけど」

「わかってるから。話しかけてくるな」

 そこからお店まで、無言が続いた。



 お店に着くと、店員さんに適当な席に案内してもらい、メニューを見る。
 事前に調べていた通りのものだったので、すんなりと食べるものが決まる。

「なあ、彩華あやか。その、決まったか?」

「まだ、だけど……。それが? てか、初めて来たんだから、そんなすぐに決まるわけないでしょ」

 チクッとくる物言いに心にグサッと刺さる。
 まあ、ジェットコースターでのことが原因だろう。
 彩華あやかは、相変わらずメニューを見ながら、どうするか悩みながらこう聞いてきた。

「ねえ、お兄ちゃん。もちろんだと思うけど、おごってくれるんだよね?」

「えっ……っ!」

 もともと、そのつもりではいたのだが、彩華あやかの方からその言葉を聞くことになるとは思ってもいなかった。
 そのために、少し驚く。

「もしかして、違うの?」

「いや、そのつもりだよ。ただ、意外だっただけ」

「なんで?」

「お兄ちゃんのくせにカッコつけてキモいって、言われると思ってた」

「私をなんだと思ってるの? お兄ちゃん」

 絶対にわざとキモいをつけただろ。
 それにしても、彩華のことを、どう思ってるか、か。
 最近、似たような質問をされた。
 俺は一体、彩華のことをどう思ってるのか。あのときは、確か『妹』と答えた気がする。ずるいとは言われたけど……。

「なに考えこんでるの。そんな考えこむようなことじゃないでしょ」

「妹だと思ってる」

「……っ!」

 彩華は驚いたような表情を浮かべた。
 まあ、そりゃそうだろう。がきたのだから。

「そういうことじゃないでしょ」

 彩華あやかは、呆れたように吐き捨てる。
 まあ、そりゃそうだよな。
 それぐらい、わかってたさ。わかってて、敢えてそう答えた。
 質問の答えを出せないから。

「決まった」

「えっ、なにが?」

「はあー、お昼ごはんを何にするのか、決まった」

「ああ」

 店員さんを呼んで、注文する。
 なんの変哲もない日常だ。

 それから、料理が来るまでの間、終始無言が続いた。
 口を開くことさえ、はばかられるような気がしたから。
 といっても、料理がきたからといって、特段変わることはない。
 ただ、俺の携帯が軽快な音ともに鳴り始めた。

「へえー、お兄ちゃんって、誰かとお出かけしてるってときなのに、マナーモードにもしてないんだ。マナーもないんだ」

「悪い。その、忘れてた」

 嘘だ。忘れてたわけがない。
 敢えて、マナーモードにしてなかったのだ。急なことにも対応ができるように。

「出たら? マナーもなってない、お兄ちゃん」

「本当に悪かった。ちょっと、出てくる」

 そう言って、その場をあとにする。


 しばらくの電話を終え、戻ってきたときには、すでに彩華あやかは食事を終えていた。

「悪い、遅くなった。少し厄介な話でな」

「ふ~ん。それで、誰から?」

「え……っ!」

「そんな驚くことじゃないでしょ。てか、私を放っておいて、電話をしてきたんだから、内容ぐらい教えるのが道理でしょ。目の前に私がいて、あのときの約束を差し置いてもしなきゃいけないことだった、ということなんだから」

 彩華あやかの迫力ある物言いに、圧倒されてしまう。
 はあ。本当、正論過ぎてぐうの音も出ない。

「それで、誰からだったの?」

「えっと、からだ」

「バイト先の? お兄ちゃんって、バイトなんてしてたっけ?」

「ああ、ちょっとな。それで、どうしても外せない用事があって、俺にシフトを代わってほしいらしいんだ」

「それで」

「その、代わろうかな、と……」

「はっ? 別に、お兄ちゃん以外にもいるでしょ」

「それが、俺以外に頼めるやつがいないらしくてな」

「はあ、わかった」

 どこか呆れたようなため息とともに、すんなりと折れた彩華あやか。なにかあるのではないかと、逆に不安になる。

「そのかわり、最後に一つだけ」

「なに?」

「次はないから」

「はっ?」

「だから、次はないから」

「そ、それだけ?」

「いや、たとえアルバイトなんだとしても、仕事なんだから仕方ないでしょ。それに──」

「それに?」

「どうせ、もう引き受けたんでしょ」

「それは……」

 まさしく、図星だった。
 一言、相談してからにすべきなのか、実に悩んではいたのだが、引き受けてしまった。
 なんとなく、断りずらかったのだ。

「早く食べたら?」

「えっ……?」

「いや、昼ごはん。お兄ちゃんのそれ、まだ残ってるでしょ」

 すでに冷めきっているであろうオムハヤシは、半分ほど食べかけてある状態で、まだ残っている。

「お兄ちゃん、これからなんでしょ?」

「ああ、うん」

 彩華あやかは俺のことをジト目で見ながら、呼出ボタンを押す。
 どうやら、なにか頼むらしい。
 きっと、俺が半分約束を破ることへの、ささやかな罰みたいなものだろう。
 そして、俺は食べかけのオムハヤシを食べながら、彩華あやかは食後のデザートを注文していた。太るぞ。
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