世界一の彼女として、愛してくれますか?──俺は求めてないのだが、ラブコメ展開になるのはどうしてだろうか?

R.K.

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一章

日常の幸せ 2

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 なんてことない普通の平日。
 つまりは学校への登校日。
 あの日以来の学校への登校。
 そんなわけで、俺は久しぶりに彼女と会する。そう、そこではすでに赤里あかりが待っていた。とてもニコやかな笑顔を浮かべて。
 なんなのだろうかその笑顔。なんなのだろうかそのとびっきりの笑顔っ! ただまあ、笑顔だけ切り取れば、周りがこうもざわざわするぐらいには美少女なんだなと思い知らされる。
 そう、先ほどから駅へ向かってゆく男子、女子とわずから、あの子あそこで誰か待ってる様子だけど、かわいいね、彼氏でも待ってるのかな? なんて声が俺の耳にも聞こえてくるぐらいにはざわざわ聞こえてくる。
 さて、この状況で出ていくのは些か気が引けるのであって、どうするのが正解かという話なわけなのだ。
 そもそも、あのとき言われた時間よりも5分ぐらい早く着いたはずなのだ。それなのに、こうもざわざわしだすぐらいには先に着いてるとは……。
 つまり、なにか話でもあると、そういうことなのだろうか? そういうことじゃなきゃ、早く理由も……早く行く理由は色々あるか。
 でも、あのニコニコ笑顔は、確実になにか話があるやつだ。いや、そんな気がするというだけで、確実でもなんでもないんだけど。
 それにしても、どうやって出ていくのが正解なのか、それが今一番の問題だ。
 スルーして行くというのも、一つの手ではないかとも思ったが、さすがにそれは怖いもの知らずというものだ。
 というか、今までの俺はどうやって赤里と会っていたんだ?
 こんだけざわざわしてる中、俺が気にせず赤里の元まで行けるはずもないし、まじでどうしてた?
 気にしてなかった? 気にならなかった? そんなことは絶対にない。これだけ周りでざわざわしてたら気づかないわけがない。
 なら、どうしてたんだ? いつもの俺はどうして……。
 ああ、そうか。俺はこの状況が初めてなのか。
 いつもが違ったから、この状況がいつもじゃないから、俺は今こんな状況になってるわけか。
 なるほど、それがわかったからといって、解決はしないが、そうか。いつもは俺じゃなく、赤里の方から来てたから、こんな状況になったことがなかったんだ。
 そして、初めて行くことになった日も、そんなにざわざわするほどの時間が経ってなかった。
 つまりはそういうことだ。初めての状況に出くわした俺は、かなり困惑している。
 そう、そうなのだ。現状がわかったからといって、どうにかなるのか? という問題は解決してない。
 そんなことを考えてる間も、時間は絶えず過ぎ去っていく。
 さあ、どうするか。
 なんの手立てもなければ、なんの考えも浮かばない。
 だからと言って、赤里に見つかりたいかと言えば、否である。全くもって、否なのである。
 だって、見つかったところで、どうせグダグダ文句を言われることになる。
 けど、ここで行かなければそれはそれで大変な目に遭う。というか、時間も過ぎ去っていかんとしてる。
 なるほど、なるほど、なるほど……。
 まじで、どうすればいいんだ?
 そうして、駅前で一人ぼうっとしてると、ついに赤里に気づかれた。
 うん、相変わらずのニコニコ笑顔は怖いから、それやめて? と、心の中で呟きながら、見つかってしまったら仕方ないと諦めるしかない。

「ねえ、悠? 久しぶりね?」

「お、おう、久しぶりだな」

「イラスト、放置してなにしてたのかは、今は聞かないであげる。それと、今日来るのが遅かったのも、久しぶりの学校で色々時間がかかった、ってことで多めに見たげるわ。それで、そのあと学校を無断で休んだ日のことなんだけど、わかってるわよね?」

 おう、わかった。わかったからさ、そのありえへんほどの不気味な笑顔やめてくれへんか?
 怖いんだよ! なんて笑顔だ、こんちくしょう。

「なあ、とりあえず学校、行かね?」

 そして、周りでざわざわしてるやつ、俺のこと邪魔って言うのやめろ? 俺の親友たる響鬼ひびきといるのでは? という錯覚しちゃうだろうが。

「学校休むなら、ちゃんと連絡しなさいよね。大体どうして連絡しなかったわけ? 私、そのせいでその日遅刻したんだけど?」

「いや、本当、悪かった。あのときは、なにもする気が起きなかったというか、なにもできなかったんだ。なにをすればいいのかもわからない、それほどまでに無気力だったんだ」

 そう、あのときの俺は、まるで俺一人だけが白黒の世界に飛ばされてしまったかのような、そんな状況だった。そんなときに、一筋の光として、電話がなった。

「はあ、まあいいけどね。今さらだしさ。いや、よくはない。絶対許さないから」

 ああ、許さないですか、そうですか。それはいいから、早く学校に行かね? 時間がやばくなることはないだろうけど、ここに居ると俺の心がチクチク刺されて、もたないのだが?

「なあ、学校──」

「そうそう、これを渡すの忘れてたわ」

 そうして、俺にくっつくと、いわゆる盗聴するための道具を俺に寄越してきた。
 なんとなく、いつも通りだな、なんて思う。
 そして、チクチクと刺してくる周りの奴ら、いい加減やめろ? 俺がイケメンじゃないことぐらいわかってるっての。もう一つ言うなら、俺がこんな美少女とつり合わないことぐらい、とっくの昔から知ってるっての。
 そう、一億と二千年前ぐらいからなっ!
 兎にも角にも、学校へ行けばそんな悩みとはおさらばできる。少なくとも、気にしなくていいぐらいにはどうでもよくなるはずなのだ。

「なあ、赤里」

「なに?」

「その、学校へ──」

「ああ、そうそう。悠、イラストのこと、ちゃんと確認しておいてちょうだい」

「なあ!」

「なに?」

「わざとだよな? わざと遮ってるよなっ!?」

 これはさすがの俺でも気づくぞ? 絶対にわざとだろ。学校行こうと言わせないようにしてるだろ。
 俺がチクチク刺されてるのわかってて、あえてここに滞在してるだろ!
 というか、その笑顔はそういうこと……かはわからんが、そういうことなんだろ?

「まあ、もういいわよ。この辺で許したげる」

「えっ?」

「大体わかってるわよ。あんなの見た次の日だったしね。なにかトラブってるんだろうなってことぐらい。それに、別に遅刻だってしてないし。それじゃ学校行くわよ」

「そうか」

 散々チクチク刺されたいかいはあったということでいいのだろうか? 全然割に合わない気もするが。
 そんなわけで、俺たちは学校へ行くのだった。
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