53 / 142
掘り出し物市
しおりを挟む
今日はひと月に2度の掘り出し物市だ。
街中には貴族も平民も大変にぎわっている。
ゆっくり店先を見ながら歩いているとキラッと何か光ったように見えた。
それに吸い寄せられるようにカシウスはその店の前に立った。
その店だけなぜか路地裏に出店しており、お客さんも誰もいないようだった。
「おや、これは珍しい。この店にお客さんが来るとは。」
店主
あれ??なぜかこの場所はおじぃさんと僕の声しかしない……。
それにマルスがいない……
一緒に来たはずのマルスが後ろにいなかった。
後ろを見て唖然としているとおじいさんが口を開いた。
「大丈夫じゃよ、連れとはまた会える。ここは選ばれた人だけが見付けられる店なんじゃ」ニコッ
おじぃさん
「選ばれた人だけの店……?僕選ばれたの?」
カシウス
カシウスがキョトンとした顔で問いかける。
「あぁ、そうじゃぞ。ここは神の店。神から愛された者だけが買える事の出来る店。ここ数百年ぶりじゃな~」
おじいさん
数百年ぶり…………数百年ぶり………
「え!!!数百年ぶりっておじいさんめちゃくちゃ長生き!!エルフとか長命種族ですか!?」
カシウス
カシウスが目をキラキラさせてまた聞く。
「あはははっ、君は面白いな~そこが気になるか~、神が気に入るわけだ」
おじいさん
おじいさん……神様と知り合いなの?
「あの………」
カシウス
「あぁ、すまんすまん。わしは神の眷属でな~まぁ……うん。神獣に近しい者といえば分かるかな……」
おじいさん
「その姿は本当の姿ではないのですか?」
カシウス
目を見開くおじいさん
「まぁ……誰にも見えないしいっか……」
おじいさん
おじいさんが突然眩しい光に包まれて……光が収まると……
綺麗な顔に……綺麗な白い羽根……
「ええええぇ!!!!おじいさんが天使になったー!!!!!」
カシウス
「あはは、おじいさんは偽の姿だからね?あの方が店主ぽいだろ?」
天使
コクコク頷くカシウス
「さぁ、ここにある者は君が手にしていい物だよ?どれを選ぶ?」
天使
天使が手を差し伸べるのは先程か
ら売り出されていたキラキラした
色々な物だ。
ネックレス、腕輪、指輪、剣、
魔法の杖………。
一番気になるのは……………一番キラキラしていない…一見普通に見えるこの魔法の杖だ。
魔法の杖を手に取ると杖はぱあっと光姿を変えた。
てっぺんには虹色に輝く水晶のような球体が付いていて、持ち手の杖の方は勝利の葉の模様のようなものが彫られていた。
「わあぁぁ……凄い。綺麗な杖」
カシウス
「ほう~~それを選んだか」ニコッ
「?」
カシウス
「君を神が愛するのも分かるよ、その控えめな所も、心が美しいのも。その杖は心が美しいと本来の姿を示す、持ち手を選ぶ杖だ。神具のひとつ、虹の杖だ。生涯君の相棒になるだろう」ニコッ
天使
「あの……値段は…その」
カシウス
「ふふっ、値段なんてないさ。神具に値段がつくわけないだろ?それにこれは神からの導き、すなわちプレゼントだよ、翼」
天使
…………俺また忘れてた
それは前世の俺の名前だ。
カシウスの大きな瞳からポロッと一粒涙がこぼれた。
「おや?君達も翼についていくのかい?」
天使
腕輪と指輪が光りながらカシウスの指と腕に装着された。
驚いたカシウスは突然の事に涙が引っ込んだ。
呆然と指輪と腕輪を見つめているカシウス。
「その指輪と腕輪も君を選んだみたいだね、そのこたちも宜しくね。指輪は幸福の指輪、腕輪は癒しの腕輪という名前だよ。使い方は自然とそのこたちが導いてくれる」
天使
「あ、あの……」
目線を指輪と腕輪から天使様に戻すと天使様は笑顔を浮かべて光り輝いていた。
「もうお別れの時間みたいだ~まったく神様も天使使いがあらいよね……じゃ、また会える気がするよ!またねーカシウス!」
天使
ぱあぁぁぁぁと眩い光りと共に
天使さんは消えた。
「なんか……凄い体験をした気がする」
カシウス
それにこの指輪と腕輪は…隠蔽魔法がかかっていて多分他の人からは見えないようだ。
「あっ!!カシウス様!!!探していたんですよ!!!!どれだけ心配したか!」
マルス
マルスが真っ青な顔でカシウスの
袖を掴んだ。
「あ、マルス……ごめんね?」
カシウス
いつもより素直なカシウスに違和感を感じるマルスだけど、とりあえず市場のメインストリートに戻ってきた。
「カシウス様、何かありましたか?」
マルス
「ん?なにもないよ」
カシウス
心なしか心ここにあらずな雰囲気なカシウスを心配するマルス。
カシウスの頭の中ではさっきの出来事がぐるぐるとまわっているのだった。
それほど衝撃だったのだ
街中には貴族も平民も大変にぎわっている。
ゆっくり店先を見ながら歩いているとキラッと何か光ったように見えた。
それに吸い寄せられるようにカシウスはその店の前に立った。
その店だけなぜか路地裏に出店しており、お客さんも誰もいないようだった。
「おや、これは珍しい。この店にお客さんが来るとは。」
店主
あれ??なぜかこの場所はおじぃさんと僕の声しかしない……。
それにマルスがいない……
一緒に来たはずのマルスが後ろにいなかった。
後ろを見て唖然としているとおじいさんが口を開いた。
「大丈夫じゃよ、連れとはまた会える。ここは選ばれた人だけが見付けられる店なんじゃ」ニコッ
おじぃさん
「選ばれた人だけの店……?僕選ばれたの?」
カシウス
カシウスがキョトンとした顔で問いかける。
「あぁ、そうじゃぞ。ここは神の店。神から愛された者だけが買える事の出来る店。ここ数百年ぶりじゃな~」
おじいさん
数百年ぶり…………数百年ぶり………
「え!!!数百年ぶりっておじいさんめちゃくちゃ長生き!!エルフとか長命種族ですか!?」
カシウス
カシウスが目をキラキラさせてまた聞く。
「あはははっ、君は面白いな~そこが気になるか~、神が気に入るわけだ」
おじいさん
おじいさん……神様と知り合いなの?
「あの………」
カシウス
「あぁ、すまんすまん。わしは神の眷属でな~まぁ……うん。神獣に近しい者といえば分かるかな……」
おじいさん
「その姿は本当の姿ではないのですか?」
カシウス
目を見開くおじいさん
「まぁ……誰にも見えないしいっか……」
おじいさん
おじいさんが突然眩しい光に包まれて……光が収まると……
綺麗な顔に……綺麗な白い羽根……
「ええええぇ!!!!おじいさんが天使になったー!!!!!」
カシウス
「あはは、おじいさんは偽の姿だからね?あの方が店主ぽいだろ?」
天使
コクコク頷くカシウス
「さぁ、ここにある者は君が手にしていい物だよ?どれを選ぶ?」
天使
天使が手を差し伸べるのは先程か
ら売り出されていたキラキラした
色々な物だ。
ネックレス、腕輪、指輪、剣、
魔法の杖………。
一番気になるのは……………一番キラキラしていない…一見普通に見えるこの魔法の杖だ。
魔法の杖を手に取ると杖はぱあっと光姿を変えた。
てっぺんには虹色に輝く水晶のような球体が付いていて、持ち手の杖の方は勝利の葉の模様のようなものが彫られていた。
「わあぁぁ……凄い。綺麗な杖」
カシウス
「ほう~~それを選んだか」ニコッ
「?」
カシウス
「君を神が愛するのも分かるよ、その控えめな所も、心が美しいのも。その杖は心が美しいと本来の姿を示す、持ち手を選ぶ杖だ。神具のひとつ、虹の杖だ。生涯君の相棒になるだろう」ニコッ
天使
「あの……値段は…その」
カシウス
「ふふっ、値段なんてないさ。神具に値段がつくわけないだろ?それにこれは神からの導き、すなわちプレゼントだよ、翼」
天使
…………俺また忘れてた
それは前世の俺の名前だ。
カシウスの大きな瞳からポロッと一粒涙がこぼれた。
「おや?君達も翼についていくのかい?」
天使
腕輪と指輪が光りながらカシウスの指と腕に装着された。
驚いたカシウスは突然の事に涙が引っ込んだ。
呆然と指輪と腕輪を見つめているカシウス。
「その指輪と腕輪も君を選んだみたいだね、そのこたちも宜しくね。指輪は幸福の指輪、腕輪は癒しの腕輪という名前だよ。使い方は自然とそのこたちが導いてくれる」
天使
「あ、あの……」
目線を指輪と腕輪から天使様に戻すと天使様は笑顔を浮かべて光り輝いていた。
「もうお別れの時間みたいだ~まったく神様も天使使いがあらいよね……じゃ、また会える気がするよ!またねーカシウス!」
天使
ぱあぁぁぁぁと眩い光りと共に
天使さんは消えた。
「なんか……凄い体験をした気がする」
カシウス
それにこの指輪と腕輪は…隠蔽魔法がかかっていて多分他の人からは見えないようだ。
「あっ!!カシウス様!!!探していたんですよ!!!!どれだけ心配したか!」
マルス
マルスが真っ青な顔でカシウスの
袖を掴んだ。
「あ、マルス……ごめんね?」
カシウス
いつもより素直なカシウスに違和感を感じるマルスだけど、とりあえず市場のメインストリートに戻ってきた。
「カシウス様、何かありましたか?」
マルス
「ん?なにもないよ」
カシウス
心なしか心ここにあらずな雰囲気なカシウスを心配するマルス。
カシウスの頭の中ではさっきの出来事がぐるぐるとまわっているのだった。
それほど衝撃だったのだ
516
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
私の、虐げられていた親友の幸せな結婚
オレンジ方解石
ファンタジー
女学院に通う、女学生のイリス。
彼女は、親友のシュゼットがいつも妹に持ち物や見せ場を奪われることに怒りつつも、何もできずに悔しい思いをしていた。
だがある日、シュゼットは名門公爵令息に見初められ、婚約する。
「もう、シュゼットが妹や両親に利用されることはない」
安堵したイリスだが、親友の言葉に違和感が残り…………。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?
だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。
七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。
え?何これ?私?!
どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!?
しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの?
しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高!
ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!?
悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?
mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。
乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか?
前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる